筑豊の花き産地と人との出会いから学んだこと

花き業界
 先週、福岡県のJAたがわ花卉部会通常総会にお招きいただき、講演と意見交換を行いました。

 筑豊地区と呼ばれるこの地域は、日本の成長を支えてきた炭鉱の町で、飯塚市・直方市・田川市・嘉麻市の4市と周辺町村から成っています。英彦山をはじめとする山々に囲まれた盆地で、冬は寒く夏はとにかく暑い、独特の気候の地域です。今回、約20年ぶりの訪問でしたが、懐かしさもありつつ大変新鮮でもあり、改めてこの地域の力を感じる時間になりました。

 総会に先立ち、同じ筑豊地区でトルコ、アスター、カラーなどを生産されているJA直鞍の大規模生産団地を訪問しました。20年前と変わらない顔ぶれが出迎えてくださる一方で、新しい生産者も加わり、秋冬の重要な産地の一つとして大活躍されています。トルコやアスターは連作障害が出やすい作物ですが、工夫をしながら継続して生産を続けておられます。一方で、夏の暑さは年々厳しく、現場ではパートさんが熱中症になることもあると聞きました。植物にとっても、人にとっても厳しい環境です。加えて、人件費やエネルギー・資材も然る事ながら、運賃も上昇しており、燃料サーチャージも始まりました。そういう状況の中で、運送会社と一緒に箱のサイズを見直して運賃軽減を検討していると伺いました。「どうやって無駄を省いていくか」を現場で具体的に考え、実行しようと取り組んでおられました。「早く大田花きでトルコの販売NO.1を実現したい。しっかり送るから宜しくお願いします」とお言葉頂戴いたしました。

 もう一ヶ所、JAたがわ花卉部会に属し、筑豊を代表する生産者の一人、グローテックの佐野さんも表敬訪問いたしました。いわゆる“生産者らしくない生産者”とでも言いましょうか。経営姿勢や考え方の面で、個人的に大変尊敬し、多くを学ばせていただいている方の一人です。訪問した際もバタバタ電話でやり取りされていましたが、どうやらいよいよプラスチックの出荷資材が入手困難という差し迫った課題に直面されていました。それに対し異なる資材を検討、作業フローの見直しを進め、流れが見通せたら決断し即発注を行う。追い込まれた環境の中で、想像力や決断力を研ぎ澄まして経営なさっていました。

 佐野さんの、広大な生産面積で連作障害が出やすいアスターを、隔離ベンチ栽培によって継続出荷可能にしてきた研究と努力。先代から事業を引き継ぎ、二代目として自分流の手を加えながら未来を切り拓いていく力。幾つかターニングポイントがあり、「人との出会い」が切っ掛けになって来たと仰られました。だからこそ、今回の表敬訪問も大歓迎で、違う視点でものを見ている人との接点を大事にしていきたいと、誠実なコメントを頂戴いたしました。その一方でホスピタリティーも大切にされておられ、パートスタッフの働きがいも強く意識し、ワンチームの経営を大切にされておりました。厳しい環境にあることを忘れてしまうほど、やりがいやワクワク感、明るい未来を感じさせる方です。また、そうさせる人柄や引き出しの多さ、相手を思いやる気持ちを重視していらっしゃり、一番大切な理念の部分を学ばせていただきました。

 総会も滞りなく終わり、後段の講演では、業界の現状と今後の方向性について話をしました。内容としては決して明るい話ばかりではありませんが、できるだけ分かりやすく伝えることを意識し、老若男女がメモを取り、質問も上がり、一定の成果を確保する事が出来て安堵いたしました。

 懇親会では、参加された生産者、農協職員、普及所、関係者の皆さま全員にお酌をしながら話をさせてもらい、それぞれが大切にしている想いや考えを直接聞くことができました。
「厳しい時代だからこそ、市場協会や生産協会が行政と連動しながら花き業界を支えて行って欲しい。消費者に素晴らしい花の魅力を伝えて欲しい」。
「もっと良いものを年間通じて安定的に供給して喜んで頂きたい。花形や花色・フォーメーションや側枝の長さ・日持ちなど見て頂いて、ご意見・ご要望を伺いたい」。
「やはり厳しいご時世、品質も然る事ながら安定したロットが必要だろう!」
等々、多種多様な意見を伺う事が出来ました。

 以前訪問した際は品目担当者として参加していたため、トルコギキョウの品種や品質、ニーズに対する注意点などが中心でしたが、今回はあらゆる生産者が様々な品目や異なる視点から、興味・心配・希望・やりがい等について思い思いにお話しされ、コメントし合い、夜通し盛り上がるような熱気が会場を包んでいました。

 大変ためになる時間となり、今後に繋がるきっかけをいただきました。非常に誠実で前向きな方が多い部会であると感じ、今まで以上に取組みを進めていきたいと強く感じました。

Canon EOS 6D MarkⅡ/TAMRON SP 70-300mm f4-5.6 Di VC USD A030/ISO100/191mm/-0.7ev/f5/1/320s

萩原 正臣 9:00