年初ということもあり、取締役会では現地スタッフと昨年の振り返りや本年の抱負を語り合いましたが、お取引先様との取り組みがさらに前進する実感が得られ、一緒に推進していくことを約束してきました。
さて、今日は 「人の心理」 について少し触れたいと思います。
筆者はプレーヤー、中間管理職、そして経営層へと立場を変えてきましたが、長く悩み続けてきたテーマに 「なぜ人は理解しているのに動けないのか?」 というものがあります。相手への不満を語るつもりも、自分の失敗談を披露したいわけでもありません。多くの人が、立場や性格、状況の違いによって同じ悩みに直面していると感じてきたため、一般論として整理してみることにしました。
■自分を振り返ると、動けなかった理由として思い当たること
• やり方・目標が曖昧でピントが合っていない
• 目の前の案件より急ぎのミッションを抱えていた
• 単に忘れてしまっていた
• 聞きたいけれど聞きにくい雰囲気があった
• 「そもそもあなたの役割は?」と若気の至りで反発心を持ったことも
一方、指示する側になると「なぜ後回し?」「理解している?」「報告は?」と真逆の感情に支配されるようになる時も少なくありません。
しかし、相手は決してだらしない人ではありません。そこに“異なる世界観”があるのではと考え、調べてみました。すると、「理解しているのに動けない」というギャップは、一概に「怠け」ではなく、脳の構造や心理の仕組みが影響を与えているといった内容が見えてきました。
■「理解しているのに動けない」理由
① 脳は“負荷の大きい行動”を回避する
ストレス、不確実性、失敗リスクがあると脳は無意識に避けようとします。いわゆる「気が進まない」状態です。
② “理解”と“実行”は別能力
理解は認知、行動は実行機能の領域。頭では分かっても、行動に必要な回路が動かないと実行できません。筆者も「あるある」です。
③ タスクが大きすぎると麻痺する
大きなミッションは、どう動けばよいか分からず先延ばしになりがちです。どこから手をつければいいかわからない。完璧を求めすぎて動けない。イメージは何となく理解出来るが最初の一歩が分からない等々。こちらも共感しますよね。
④ 完璧主義が行動を止める
「失敗したくない」「完璧にやりたい」という思いが逆に行動を妨げ、結果的に先延ばしになっていきます。
⑤ 納期の「時間距離」が行動意欲を弱める
行動科学では 現在バイアス と呼ばれ、納期が遠いほど脳がその仕事の価値を低く感じると言われています。そのため、「まだ大丈夫だろう」と判断してしまい、先延ばしが起きます。逆に、納期が迫ると急に価値が高まり、一気に着手するのはこの心理によるものです。 筆者も学生の頃、テスト前日になって一夜漬けとなる経験を何度も繰り返してきました。
⑥ 「自分にとっての意味」 が弱いと続かない
会社・チーム・自分、この3つの意味が一致すると行動は加速します。しかし、「指示されたからやる」という状態では、実行力は大きく低下します。納期を守らないのではなく、納期の価値を守る事の意味を理解し切れていない事が大問題であると言えます。
では、どのように関われば良いか?です。星の数ほど改善策はありそうですが、特に重要だと感じるものを4つに絞りました。
① ミッションの翻訳(かみ砕いて伝える)
会社やチームにとっての意味は理解できても、「自分にとっての意味」が不明確だと動けません。花き業界なら、生産者や生花店に向けて「生活者に花のある暮らしを楽しんでもらう」という大きな目的は理解しやすいものの、いざ自分の役割や具体的な行動に落とし込むと、ピントが合わなくなることがあります。
だからこそリーダーは、
なぜこの仕事を任せるのか、何がどう変わるのか、本人の成長につながる理由を言葉で分かるように伝えることが大切です。この“翻訳”を省いてしまうと、成果も出づらく、関係者の成長も鈍化してしまいます。
② 目標を「着手しやすい大きさ」にする
KGI(最終ゴール)とKPI(通過目標)を適切に分解し、小さな階段を示すことで動き出しやすくなります。例えば、「年間300億円の販売」より「今週金曜のカスミソウ100万円達成」のような具体性が鍵です。
③ 進捗管理ではなく「伴走支援」を行う
小さく褒める、相談しやすい環境、また、状況を責めず、どうやって前に進むかを一緒に考える環境作りが大切です。人にもよるでしょうが、一般的に「管理」より「伴走」の方が行動量増え、成果が生まれやすい傾向にあります。
④ 仕事の意味を「一段上」から語る
足元の作業だけを見て話すのではなく、まず「何のためにこの仕事があるのか」という大きな目的を共有し、そこから順に今の作業へつなぐことが重要だと考えます。 例えば、「国民の幸せ」「花の消費拡大」「生産の維持・発展」「社員のやりがい」といった大きな意義と、目の前のミッションがどう結びついているのかを、相手に伝わる言葉で説明し、理解を確認しながら進めていく。そうすることで納得感が生まれ、仕事の精度や合理性も高まっていきます。
ここまで整理してきて、最終的に思うのは、
人は“理解”では動かず、“感情”で動くということです。
結局のところ、人は
理解 → 行動 ではなく
共感(意味の理解)+ 安心感 → 行動という順番で動くのだと感じています。
筆者にとっては、とても有意義な思考整理のコラムとなりました。 皆様になにかしらご参考になればと思います。
Canon EOS 6D MarkⅡ/24-70mm F2.8 DG OS HSM|Art017/ISO100/70mm/-1.3ev/f3.5/1/500s
萩原 正臣 9:00
