本年も誠にありがとうございました

大田花き
 2026年の足音が近づき、澄みわたる朝の空気に、年の瀬の静けさが漂い始めました。本年も業界関係者、生産者、生花店の皆様、そして本コラムをお読みいただいている皆様には、格別のご支援を賜り、心より御礼申し上げます。市場は本日の取引をもって本年の営業を終了いたします。しばし英気を養い、来年も力強く歩みを進めてまいります。

 振り返れば、今年は気候変動の影響を一段と実感する一年でした。春先の低温による生育遅延にはじまり、記録的な酷暑、そして例年より早く過ぎ去った秋と、花き業界にとって季節感の揺らぎは大きな課題でした。そのような中でも、生産者の皆様が高温対策や栽培技術を工夫しながら出荷を維持してくださったことで、昨年ほどの混乱を招かなかったことは大きな成果であり、現場の努力が確実に実を結びつつあると実感しています。

 一方で、資材・燃料価格の上昇は生産コストに重くのしかかり、生産者の経営を圧迫しました。市場や生花店でも流通単価に対する考え方が変化し、業界維持への理解は高まりつつあるものの、消費の最前線では物価高による購買心理の停滞も見られました。また、2024年問題をきっかけとする物流変化も本格的に影響を広げています。ドライバー不足や輸送コスト上昇、産地や品目で出荷容器の形状が異なり、青果物とは異なる小ロットの流通など、花きの物流は根本的な見直しを迫られています。当社としても中継物流や効率化の検討を進め、持続可能な流通体制の確立に向けて業界内で協議を重ねてまいりました。

 こうした変化の中で、当社の掲げる「世界を花で笑顔にする」というパーパスは、揺らぐことのない指針であり続けました。しかし、それは当社だけで実現できるものではありません。生産者、物流関係者、生花店、そして生活者の皆様と目的や方向性を深く共有し、同じ未来を見据えることの重要性を、改めて強く認識した一年でもありました。来年はより明確な目標を示し、双方向のコミュニケーションを一層強化することで、業界全体で価値を創造できるパートナーシップを深めてまいりたいと存じます。

 本年4月に代表執行役社長を拝命しましたが、新たな立場は多くの出会いや学びをもたらしてくれました。皆様との対話の中には、業界の未来を切り開くヒントが数多くあります。立場や役割を越え、て力を合わせることで、1+1が3にも5にもなるような化学反応が生まれる――その可能性を確信した一年でもありました。酷猛暑、物価高騰、物流構造の変化など避けられない現実にどう向き合うか。それは私たちの姿勢と挑戦次第であり、技術革新や双方向の情報共有、効率化、生活者への花の魅力発信といった取り組みの積み重ねこそが、花き業界の未来を形づくるものだと考えています。

 花は、暮らしに癒しや安らぎをもたらす欠かせない存在です。社会が不安定さを増す今だからこそ、その力をより多くの方に感じていただきたい。来年は、今年見つかった課題の解決を一歩でも前に進め、「花のある暮らし」をより豊かに広げてまいりたいと思います。

 本年も大田花きをご支援いただき、誠にありがとうございました。皆様のご協力なくして今日を迎えることはできませんでした。あらためて深く感謝申し上げます。
どうぞ良いお年をお迎えください。2026年が皆様にとって花が寄り添い、笑顔があふれる一年となりますように。新しい年も、皆様とともに歩んでまいります。

2025年12月29日
株式会社大田花き
代表執行役社長 萩原 正臣

Canon EOS 6D MarkⅡ/24-70mm F2.8 DG OS HSM|Art017/ISO100/33mm/-1ev/f2.8/1/5s