先週は千葉県・愛知県・神奈川県を訪問し、さまざまな交流や意見交換の機会をいただきました。市場情勢の報告や産地への提言を求められる場面が多く、起承転結に配慮しながら、できる限り分かりやすくお伝えするよう努めています。 各立場の方々の関心に対しては、ポジティブ・ネガティブを問わず真実に触れるきっかけを提供するよう心がけています(ネガティブな内容はフォローを添えて)。「分かりやすかった」「参考になった」といった声や、発言をきっかけに意見が活発に交わされると、お受けして良かった!と感じる今日この頃です。
主催者側が話を聞くのは一回限りで新鮮かもしれません。しかし同業他社や県連関係者に同じ顔ぶれが居ると「また同じ話か」と思う方も多いかもしれません(悪気なし)。
産地の課題は、「高齢化による生産量減少」「生産コストや物流費の高止まり」、「物流問題における集配送環境の混乱」など、国内外を問わず共通しています。地域性や年齢層、生産品目の違いを織り込み、できる限り具体的なお話ができるよう努めています。
そのうえで、「こんな未来を共に目指しましょう」と前向きな方向に話を導いていますが、繰り返しているうちに、まるで自分の言葉どおりに世の中が動いているかのように感じることがあります。これは「自己暗示」や「繰り返しによる信念の形成」といった、誰にでも起こりうる自然な心理現象です。人は、自分の発言と心の中の考えにズレがあると、無意識のうちに整合性を取ろうとします。この不快な心理的ギャップを解消する働きを「認知的不協和の解消」と呼びます。強制的に心理を操作するマインドコントロールとは異なり、自己暗示は日常の中で誰もが経験する一般的な現象です。
ただ、言葉を重ねても現実がすぐに変わるわけではありません。ましてや筆者が会議で発言したとしても、現実の売り買いが突然様変わりする事はあり得ず、むしろ筆者の発言と現場の対応ににギャップが生じた場合『社長の話と全く違うじゃないか!』と、アプローチの仕方を間違えるとストレスが増え、相手をより大きく落胆させる結果になりかねません。
そこで最近感じているのは、「外に向けて話す2倍以上の言葉を、社内に向けて伝える必要がある」ということです。多様な価値観がある今こそ、誰にでも伝わる言葉で寄り添い、理解してもらうことが大切だと実感しています。理想や方針を掲げても、一人ではすべてを実行できません。社員に理解してもらい、取引先と意識を共有しながら、生産者や小売店の皆さまと共に「持続的な繁盛」を実現していくことが何より重要です。また、部下の成長を後押しするのは中間管理職の大切な役割です。変化する環境の中で引き出しを増やし、信頼を得て、互いをパートナーとして尊重し合う関係を築くこと――これこそが市場に求められる姿だと感じています。
生花店の現場にも目を向け、ミスマッチや課題を共有しながら、店頭販売の活性化に向けた取り組みを進めていきます。健全なアプローチを生み出すには、従業員一人ひとりのやりがいと主体性が欠かせません。経験をどう積ませるか、風通しの良い社風をどう築くか、重複作業を減らして時間を有効活用できるか。責任をもって任せ、成長の芽を育てていけるか。個の力には限りがありますが、チームで協力しながら成果を上げていくために、共通理解と信頼関係を築いていきたいと思います。その原点はやはり「コミュニケーション」です。相手を否定しないブレーンストーミングから始めることが、健全な議論と成長の第一歩だと考えています。
生産量の減少が止まらない現状の中、国民のうち年間でまったく花を購入していない方は6割を超えると言われています。購入量が増え、売り先が明確になれば、「もっと作ってほしい」という声も自然と増えるのではないでしょうか。更に、現在、60歳以上の方々が生産者の約8割を占めています。今まさに現場を支えてくださっている方々が安定して利益を得られる環境を整えられれば、後継者やIターン・Uターンでの就農にも弾みがつくのではないかと考えています。もちろん、異なる意見もあると思いますが、完璧なシナリオは容易に描けません。まずは優先順位の高いところから、またはハードルの低い事柄から、一つずつ共に乗り越えていきたいと考えています。
大切なことは、繰り返し伝えることです。できるだけ高い目線で唱え続けることで、「認知的不協和の解消」により、徐々に自分自身の意識も高まっていくでしょう。
国民をもっと幸せにしたい
そのために花や緑は重要なアイテムである
そのためには花や緑を継続安定生産していただかなければならない
そのためには消費拡大が不可欠である
そのためには・・花が持つ力をエビデンス伴い情報発信する事が必要
そのためには・・
そのためには・・
高い目標を見据えながら足元に思いをつなげていきたいと思います。足元ばかり見ていると、できない理由が増えるばかりです。だからこそ、理想を掲げ、関係者が互いを思いやりながら前向きにチャレンジしていきたいと思います。
ポイントは高い目標から認識して近づけて行こうという事です。 一緒に、いい汗をかいてまいりましょう。
Apple iPhone 16/13mm F2.2/ISO125/21mm/0ev/f2.2/1/138s (福岡・天神「ONE FUKUOKA BLDG.」にて)
萩原 正臣 9:00
