東京市場においても、金曜日は大雨に見舞われたが、週末には天候が回復し、比較的落ち着いた取引が行われた。厳しい気象条件の中でも、先を見越した仕入れをしていただいたお取引先様のご判断には、深く感謝申し上げる。これからは、重陽の節句、敬老の日、秋彼岸、中秋の名月と、季節の節目に合わせた花の需要が高まってくる。自然の移ろいを感じながら、花を贈り、飾ることで、少しでも心穏やかな時間をお届けしていきたいと考えている。
さて、おかげさまで、当社は本年9月8日をもって開場35周年を迎えることができた。これもひとえに、長きにわたりご支援くださった皆様のご厚情とご尽力の賜物であり、心より御礼申し上げたい。この節目を迎え、これまでの歩みを振り返るとともに、未来への責任と新たな挑戦への意欲を新たにしている。当社の想いをまとめた特設ページを公開したので、ぜひご覧いただきたい。
大田花き35周年を迎え、新体制始動
このような中で、先週火曜日、東日本板橋花きの株式取得に関する基本合意契約締結を発表した。多くの方々より賛否両論のご意見をいただき、改めて本件に対する関心の高さを再認識した次第である。現在は、両社の企業理念に対する認識と想いが、今後の経営において極めて重要であると考え、議論を深めている段階だ。具体的な運営面の検討はこれからのことであるため、現時点においてはご案内が限られることをご了承いただきたい。情報不足が不安を生むことも承知しており、今後も適宜、必要な情報開示を行っていく所存である。
当社の理念は、生産者が持続的に花き生産に取り組み、所得の安定と向上につながる施策を推進することである。加えて、生活者が花のある暮らしを通じて心の癒しや潤いを感じられる環境を提供すること、そのために生花店と強く連携し、地域特性やニーズに応じたアプローチを推進することを掲げている。これらを実現するために、輸送会社や種苗会社をはじめ、様々な業界関係者とのサプライチェーンを一層強固にし、当社は東日本板橋花きと共に業界全体の発展に寄与する取り組みを強化していく。また、これらの取り組みを推進するには、両社の従業員が豊かな暮らしを享受し、やりがいを持って仕事に取り組める環境づくりが最も重要であると認識している。主体性を持ち、社会に貢献したいという意欲を持ち続けられることこそが、経営陣が強く願うところである。
最後に、環境に配慮した最適な花き流通についても、スピード感をもって検討していく必要がある。40度を超える猛暑や干ばつ、大粒の雹、線状降水帯や大型台風の上陸など、気候変動に伴う厳しい自然環境は、誰かが整えてくれるものではなく、私たち一人ひとりが認識し、取り組むべき課題だ。「何から始めるべきか?」と躊躇する場面も想定されるが、当社がモデルケースとなりうるよう努力を重ね、業界関係者とともに持続可能な取り組みの定着を図っていきたい。
花や緑、枝ものを通じて生活者に四季の移ろいを感じていただけるよう、これからも確かな役割を果たしていきたい。

Canon EOS 6D MarkⅡ/EF75-300mm f4-5.6 USM/ISO100/75mm/0.7ev/f32/5.0s(撮影:千葉県 原岡桟橋(岡本桟橋)にて)
萩原 正臣 9:39