サービスを受ける側と提供する側とでは、視点が異なるのが常である。たとえば、ネット通販の躍進はその典型である。ラストマイル物流の進化により、共働きなどで買い物の時間が取りにくい状況であっても、ワンクリックで翌日には指定場所に荷物が届くという利便性を享受できている。 だが、その裏では配達員が指定場所まで何度も配送を繰り返し、時間とコストがかかっている。人件費の増大、燃料の浪費、CO₂の排出増大、渋滞の悪化、他業務への人員補填の困難など、多くの負荷を招いているのではないか。
そのような背景から、受益者側と提供者側との間でWIN WINの関係を保つため、受け取り手段が多様化している。任意配送先変更、宅配ボックス投函、営業所での取り置き、置き配などの選択肢が広がっている。特に置き配は、コロナ禍以降、対面受け取りを避ける動きやセキュリティ意識の高まりから普及が進んだ。今も進化を続けており、置き配の場所を細かく指定できるサービスも登場している。 国土交通省も「ラストマイル配送の効率化等に向けた検討会」を立ち上げ、今後の受け取り方法や対面受け渡しのあり方について議論が続けられる予定である。
物流各社の努力により再配達率は徐々に改善傾向にあるものの、まだ8%ほどの再配達率であり、国が目標としている6%の再配達率にはいまだ及ばない。改善策としての置き配は便利な一方で、シェアが高まれば盗難等のリスクも増す恐れがある。また、カラスによる被害や誤配・紛失も増えている。現時点では多くの運送業者において補償がないのが実情だ。海外、例えばアメリカでは置き配が標準である一方、盗難被害が社会問題化しており、2023年には年間で約1億1,900万個が盗難に遭い、被害額は約1.2兆円に上るとされる。 再配達や置き配を含む配送の在り方について、最適な仕組みづくりが求められている。
花きの市場流通において、荷主となる生産者は全国(海外含む)に及び、受け取り市場は100箇所以上にのぼる。不在再配達はないものの、配送距離の長期化、連続運行時間や時間外上限の規制により、集配送が困難になる場面が増える見込みである。さらに生産者の高齢化に伴う生産量減少により、今までトラック満載で運行出来た場面が半分にも満たなくなるケースもある等、各地で深刻な状況が出ている。 このような状況下では、大手運輸会社や通販会社が利用しているような集配送センターの設置が、コールドチェーン物流のひとつの解決策として考えられるが、設備投資には場所や資金という高いハードルがある。投資対効果を見極めた上で、生産・物流・販売の各者による協議が必要である。
そもそも、なぜ花きを流通させるのか。そこには「癒し」や「安らぎ」「笑顔」といった、人の心に寄り添う価値がある。大切な方への思いを伝える手段として花が最適であると同時に、ストレス軽減やリラックス効果に関する学術的なエビデンスも存在する。花のある空間は心拍数、ストレスホルモン、血圧の低下に寄与することが示されている。このような研究結果を活かし、業界として花の価値を全国に広め、国民の生活の質向上に貢献したいと考えている。
高尚な目標を追求することと同時に、足元の流通改善にも注力する必要がある。生産量の減少、高温対策などの課題に取り組みつつ、生産者に高品質な生産物を安定的に継続していただく。そして生花店の繁栄を後押しし、安らぎのある生活空間を広げていくことが目前の使命である。そのためにも、中継物流の整備、脱プラスチック、品種改良、情報発信など、山積する課題をひとつずつ着実に進めていきたい。
二十四節気では8月7日頃「立秋」で秋が始まり、8月23日頃「処暑」で暑さが少しずつ和らぎ始め、9月7日頃「白露」で朝晩露が降りるようになり秋の気配が強くなり、9月23日頃「秋分」で昼と夜の長さがほぼ同じになる。9月が目前に迫る中、本来であれば季節の移ろいを楽しめる日本の四季であるが、体感的には依然として夏の様相が続いている。 アパレル業界では「長夏」として9月~10月を第五の季節(五季)とする動きもある。9月~10月も暑く秋物が売れない事から、マーケットニーズに応じた製造・販売を検討している。
植物を扱う花き業界においても、生産環境に加え消費環境の変化を見据えたPRを行い、花のある暮らしの価値を広く発信していきたい。

Canon EOS 6D MarkⅡ/SP AF 28-75mm F/2.8 XR Di LD Aspherical [IF] MACRO (Model A09)/ISO6400/28mm/1.3ev/f6.3/1/160s
萩原 正臣 9:00