生物多様性について

経済
 新年度が始まりあっという間にひと月が経過した。明日からいよいよイベントの多い5月に入る。新緑まぶしい初夏に向けて力強く歩みを進めて参りたい。

 5月1日はミュゲの日(スズランの日)である事をご存じだろうか? フランス発祥のイベントで、愛する人やお世話になった人にスズランを贈る習慣があり、もらった人へ幸運が訪れるのである。可愛らしく繊細なスズランは今の住環境や生活者にピッタリではないだろうか!?

 次いで5月5日には端午の節句(子供の日)がやってくる。 日本の伝統行事で、男の子の誕生と健やかな成長を祈る日であり、鯉のぼりや五月人形を飾り、柏餅を食べ、菖蒲の花を飾り、無病息災を願って菖蒲湯に入る風習がある。
古来より薬草として使われて来た菖蒲で病気や邪気を祓うようになった。
正に温故知新であり、古くから伝わる伝統行事を未来に大切に繋いで参りたい。

 続いて5月第二日曜には母の日が訪れる。 母親へ感謝の気持ちを伝える日であり、母親が元気な場合は赤いカーネーション、母親が亡くなっている場合は白いカーネーションをアメリカで贈るようになったのが起源とされている。
カラーバリエーション豊富で鑑賞期間の長いカーネーションは正に外せない定番アイテムのド真ん中であるが、季節的に過ごしやすい5月は色とりどりのフレッシュな花がお花屋さんの店先に溢れてくる。感謝の気持ちを表現できるお花探しの花屋巡りがお勧めだ!

 さて、今年の夏はどのような展開になるのだろうか? 近年最高気温を更新し続け、局地的なゲリラ豪雨のニュースも珍しくない。適度な降雨や適度な気温。四季があるから日本はとっても素晴らしい訳だが、年々春秋が短く、夏酷暑で冬豪雪となるなど、ここ数年の気候変動は国民誰もが目を見張る関心事だ。

 自然を相手にする我々花き業界も、改めて今地球で起こっている様々な事柄に目を向け、対策を講じる必要性がある。後世に確りバトンタッチするためにも、自分事として意識し、出来る事から着手して行く必要性があると改めて感じている。 「自分が生きている内は何とかなるから大丈夫」等と発する者が身近にいたら、その考えを正していかなければならない。 特に花や緑、自然を生業とする花き業界は、重厚長大産業やハイテク産業以上に、環境に敏感になる必要がある。売るに天候・作るに天候。立ち止まり考えてみると、改めて自然の恩恵をより長く、また維持・改善しながら、引き続き地球人として限りある資源を大切に利用しながら共生していく必要があると切に感じる。

 小さな運動ではあるが、業界の方々、読者の方にも、少しでも何かを感じていただき、未来がより良いものとなるよう、その時々のトピックスと共に、自然環境に関するお話を複数回に渡りお届けして参りたい。

 今回は「生物多様性」についてである。

環境省のホームページを参考に、改めて考えてみたい。

私たちの地球には、目に見えない細菌からゾウのような大きなものまで、3000万種類もの生き物がいるといわれています。
すべての生き物は長い歴史の中、異なる環境下で自分たちの居場所を見つけながら、共に進化してきました。
アリもハトも、ライオンもヒトも、タンポポも柿の木も、バクテリアも、それぞれの個性を認め合い、お互いにつながり、直接的・間接的に支え合ってきたからこそ、私たちはいま存在しているのです。

出典: 生物多様性とはなにか? | ecojin(エコジン):環境省

⇒ このことを生物多様性と呼ぶらしい(なるほど!)。

また、多様性には3つのレベルがあるそうだ
森林や里地里山などのことを「生態系」と呼んでおり、次に動植物から微生物などの様々な「種」なるものが存在しており、次いで「遺伝子」がある。
生態系の中にある木々が花や実を付け、やがて地面に落ち、生き物のエサとなり、生き物の糞がまた木々の栄養となって生態系へと戻って行く。命は巡り続けて行くのである。
一本の木が自立しているわけではなく、他の生き物とお互いに支え合いながら生きている。木々がなくなり、虫や微生物がいなくなれば、生態系の秩序が乱れ、他の動植物も生きていけなくなる。
この連鎖は我々の営みにも当然深く関係している。綺麗な水や空気、食料や薬の原材料他、様々な場面で我々は生物多様性の恩恵を受けている 食事・医療・文化・産業、どれをとっても自然の恵みが無ければ成立しない。

ところが、生物多様性の危機が訪れていると言うではないか。
何と日本の野生動植物の約3割が絶滅しようとしているのだそうだ!

その主な原因は以下の通り
1. 開発や乱獲により、種が減少して絶滅の危機が迫っている
2. 里地里山の手入れ不足で自然の質が低下している
3. 外来種などの持ち込みにより生態系が乱れている
4. 気候変動などの地球環境が大きく変化している

このようなことが自然環境の中で発生しており、後世に豊かな自然を引き継ぐためには早急に立ち止まり、考え、行動に移す必要性があると言えよう。

 つい我々は経済行為を優先してしまう。
心落ち着かせ、立ち止まり、考える時間を大切にしよう。
夜も眠れぬほどの熱帯夜を経験したり、災害級のゲリラ豪雨に遭遇したり、商売ベースでも必要とする時に必要とする花が手に入らない実態に直面したとき、気候変動について思いを馳せる瞬間があるのではないか?

 では、何から手を付けるべきなのか?
恥ずかしながら筆者も明確な回答を現時点では持ち合わせていない。
今後複数回関連する記事を書きたいと思っており、その中で整理できたらと考えている。

状況の把握から始め、業界および生活者の皆様のご理解とご協力をいただきながら、地球環境の維持・継続に向けて、共に歩みを進めて参りたい。

Canon EOS 6D MarkⅡ/70mm F2.8 DG MACRO|Art 018/ISO1250/70mm/-0.7ev/f8/1/160s



萩原 正臣 9:30