花消費のアプローチ

花き業界
 花にはどのような効果・効用があるだろう?
 贈り主の思いを乗せたギフト、冠婚葬祭やハレの日を彩る必需品(愛や哀悼・感謝や門出ほか)、日常生活に彩りや癒し・季節感を加える万能アイテムなど。コミュニケーションの円滑化や、心に余裕を持った生活を謳歌する上で花は最適商品だと筆者は考えている。
年中行事で迎春や節句・お盆など、文化的側面から花に意味を持たせて飾る習慣(五穀豊穣や縁起物、健やかな成長ほか)も育んでもきた。 一方、安価な提案も生花店によって実施されているが、経済的に一定の余裕が無いと目に留まる事も少ないのではないか?と、シビアな見方を盛り込んで行くことが肝要ではないだろうか。 多くの生活者が「花より団子」ならぬ『団子より花』と感じて頂けたら、残念なニュースを目にする機会も減少していくのではないか?と仮説を立ててみた。

 現在の花を購入するヘビーユーザーは50代以降の女性が中心であり、仏花やホームユース、贈答への利用が大半を占めている。特に仏壇や墓参りなどの文化的背景が強く影響している事も特徴となっているようだ。 花き業界として現在のヘビーユーザーに引き続き花のある潤い豊かな暮らしを楽しんでいただきつつも、花のある暮らしがより身近になるよう業界活性化を目指していく上で、22~35歳の若年層にフォーカスする事が重要であると考えている。
コロナ禍のリモートワークを経て、この若年層がサブスクや生花店店頭で花を購入する頻度が高まった。統計データを見ると、その他年代以上に花を購入する頻度が高まっている事が見て取れる。 今までは良い商品を生産いただき、ジャストインタイムで流通させ、生花店の店頭で購入していただく流通が中心であった。しかし今後はより一層、アプローチを強化していくことが重要になってくると、確固たる方針は手元に無いが、ボンヤリとイメージしている。

 少し研究してみようと考えた。独自の哲学をお持ちの方や、現在申し分なく繁盛している方も多数いらっしゃるだろうが、自身の成長も考慮しまとめてみる事にした。

先ずは年代に対してのアプローチを検討した

22~35歳の若年層(いわゆるZ世代・ミレニアル世代の前半)

特徴:
・SNSを活用した情報収集や発信が活発である
・自己表現やライフスタイルの充実を重視する
・サステナビリティ(社会・経済・環境などを持続可能にする)やエシカル消費(人や環境・社会に配慮した商品を選択)に関心強い
プロモーション方策
1. SNS映えする花の提案
・アレンジメントなどのワークショップ開催し、SNSでのシェアを促進しよう
・季節やイベントに合わせた「フォトジェニック(お洒落な写真)な花束」のサブスクサービスが有効
2. パーソナライズ体験
・誕生日や記念日に合わせた「自分だけの花束」作成サービスを提供
・スマホアプリで花診断→お勧めの花を提案
3. コラボレーション
・カフェやアパレルブランドとのコラボで「花×ライフスタイル」を演出

35~50歳の子育て世代

特徴
・家族イベントや子供の成長に関心強い
・忙しい日常の中で癒しや潤いを求めている
・実用性やコストパフォーマンスを重視する
プロモーション方策
1. 家族イベントとの連動
・入学、卒業、誕生日などの節目に「家族で贈る花ギフト」キャンペーンを提案
・子供と一緒に作れる「親子フラワーアレンジメント教室」
2. 定期便+癒しの提案
・「週末の癒し」や「玄関に季節の彩り」をテーマにした定期便
・花とアロマ・音楽などを組み合わせた「癒しセット」
3. 教育的価値の訴求
・花を通じた情操教育や季節感の学びを提案

50歳以上の花のヘビーユーザー

特徴
・花に対する愛着や知識が深い
・仏事、季節行事、贈答などでの利用が多い
・対面での丁寧なサービスを好む傾向あり
プロモーション方策
1. 伝統行事との連動
・お盆、お彼岸、法事などに合わせた「仏花定期便」
・季節の行事に合わせた「和の花ギフト」
2. 地域密着型サービス
・地元の花屋との連携による「顔の見えるサービス」
・花の育て方講座やサロン的な交流イベント
3. 感謝・贈答文化の再発見
・「ありがとうを花で伝える」キャンペーン
・長寿祝い・退職祝いなどの節目に特化したギフト提案

それぞれの世代に合わせて、「花のある暮らし」の価値を再発見させるストーリー性がカギになるのではないか?

 次に、異業種へアプローチを掛けてみたいと筆者は強く感じている。 手のない生花店の営業活動をサポートし、仲卸や市場が新規開拓を行い、開拓できた際に地域の生花店とパートナーシップを組んで、企業価値向上や利用客の同店利用に対する動機づけを花で後押しする。SNSでの拡散効果などにも期待が持てるのではないか?と考えている。花の露出が増えることでより身近に感じていただき、定期的な花のある暮らしがご家庭でも広がる可能性を模索していきたい。

以下は思いつくままの仮説で恐縮だが、色々考えてみた。

🌸1. ビジネスホテル
• 切り口:ロビーや客室に季節の花を設置し、癒しや高級感を演出出来ないか?
• 提案方法:宿泊者にアンケートで「花のある空間」を調査し価値向上を肯定
• 懸念材料:コスト削減志向がきっと強く、花に予算を割きにくいか?
• 達成確率:★★★☆☆(中)程度か?


🍽️2. 外食産業(和食・洋食・中華他)
• 切り口:料理と花のコラボレーションで「フォトジェニックな食事」を演出
• 提案方法:SNSを意識したビジュアルや試験導入を提案
• 懸念材料:花粉や香りが料理に影響する懸念あり?手入れも懸念事項か?
• 達成確率:★★★★☆(高)程度は行けるのではないか?


🚗3. カーディーラー
• 切り口:ショールームに花を飾り、来店体験を向上させる
• 提案方法:季節毎のテーマ展示と連動した装花プラン・納車時プレゼントなど
• 懸念材料:車が主役なので、花が目立ちすぎると逆効果か?コスト面も懸念
• 達成確率:★★★☆☆(中)程度か?もう少し低いか?


🏠4. 不動産・住宅メーカー
• 切り口:モデルルームに花を設置し、暮らしのイメージをサポートする
• 提案方法:内覧時の印象アップ、写真映えを演出して契約を後押し
• 懸念材料:維持管理の手間とコストが嫌がられるか?
• 達成確率:★★★★☆(高)ぐらい行けるのではないか?利益率高により


🧳5. 観光会社
• 切り口:花をテーマにしたツアーや体験型イベントの企画
• 提案方法:地域の花と連携した地域産業や観光資源の利用を目指す
• 懸念材料:季節性強く、通年での展開が難しいか?(地産地消)
• 達成確率:★★★☆☆(中)程度か?もう少し下か?


👗6. アパレル業界
• 切り口:店舗ディスプレイや撮影背景に花を活用
• 提案方法:ブランドイメージに合わせた花のコーディネート
• 懸念材料:頻繁な入れ替えが必要でコストがかかる
• 達成確率:★★★★☆(高)程度は行けるのではないか?
• 補足事項:筆者利用店舗から服のコーディネートが配信され興味大と感じる


🪑7. 家具メーカー
• 切り口:家具展示と花の組み合わせで「暮らしの空間を提案」
• 提案方法:カタログや展示会でのビジュアル強化が吉
• 懸念材料:花が家具の印象を左右するリスクも少々あるか?苔ならマッチ?!
• 達成確率:★★★☆☆(中)程度か?


🚚8. 引っ越し業界
• 切り口:引っ越し後の「新生活応援」として花をプレゼントする企画
• 提案方法:成約特典やサプライズギフトとして提案、ワンランク上は有償で
• 懸念材料:物流やタイミングの調整が必要、引っ越し直後は段ボールだらけ?
• 達成確率:★★★☆☆(中)程度か?


☕9. カフェ
• 切り口:テーブルやカウンターに季節の花を飾り、癒しとSNS映えを演出
• 提案方法:花とドリンクのセット販売や、花をテーマにしたイベント開催
• 懸念材料:スペースや管理の手間、香りが飲食に影響する可能性あるか?
• 達成確率:★★★★☆(高)程度か?行けるのではないか?


📚10. 本屋さん
• 切り口:「花と本のある暮らし」をテーマにした空間演出
• 提案方法:花に関する書籍とのコラボ展示や、季節の花を使った装飾
• 懸念材料:本が主役なので、花の存在感が控えめである必要があるか?
• 達成確率:★★☆☆☆(やや低)程度ではないだろうか?


🏪11. コンビニエンスストア
• 切り口:レジ横や入口にミニブーケを設置し、手軽なギフト需要を狙う
• 提案方法:季節イベント(母の日、卒業式など)に合わせた限定販売
• 懸念材料:在庫管理や廃棄リスク、スペースの制約が大きいか?
• 達成確率:★★☆☆☆(やや低)程度ではないだろうか?


🏬12. 百貨店
• 切り口:エントランスやフロア装飾、催事場での花の演出他、ギフト提案
• 提案方法:高級感ある花ギフトの常設販売やイベント連動してみては?
• 懸念材料:高価格帯に見合う品質とブランド力が必要となる
• 達成確率:★★★★☆(高)程度まで行けるのではないだろうか?


💼13. 金融機関(銀行・保険など)
• 切り口:来店者へのおもてなしや、契約記念の花ギフトはどうか?
• 提案方法:法人向け福利厚生やCSR活動の一環として提案
• 懸念材料:業務と直接関係が薄く、導入の優先度が低い
• 達成確率:★★★☆☆(中)法人向け限定か?


🚆14. 交通インフラ(鉄道・空港など)
• 切り口:駅構内や空港ラウンジでの花の装飾による空間演出
• 提案方法:地域の花を使った観光PRや季節イベントと連動させるべきか?
• 懸念材料:管理コストと安全面の配慮が必要(空港は〇で地下鉄は△とか?)
• 達成確率:★★★☆☆(中)程度から、もう少し下か?


🏢15. 一般企業(オフィス・ワーキングスペースなど)
• 切り口:オフィスのウェルビーイング向上、来客対応の印象アップ
• 提案方法:定期装花サービスや福利厚生としての導入提案(今後伸張?!)
• 懸念材料:コスト対効果の説明が必要となる
• 達成確率:★★★★☆(高)程度まで行けるのではないだろうか?


🏋️‍♂️16. スポーツ用品店
• 切り口:季節感やイベントに合わせた装飾で来店促進
• 提案方法:スポーツ×自然の健康イメージを訴求
• 懸念材料:花とスポーツの親和性がそこまで高くない
• 達成確率:★★☆☆☆(やや低)上手くいっても単発であろう・・
• 補足事項:キャンプは親和性あるのではないか?観葉中心か?


🏟️17. スポーツ施設(ジムなど)
• 切り口:ロビーや受付に花を飾り、清潔感と癒しを演出
• 提案方法:会員向けの季節イベントや記念日装花
• 懸念材料:汗や湿気との相性確認、維持管理の手間
• 達成確率:★★★☆☆(中)客層的には行けるのではないか?


🍜18. ラーメン店
• 切り口:季節の花で女性客やインバウンド向けにブレイク目指す
• 提案方法:1店舗試験導入し、「#花とラーメン」などで投稿促す
• 懸念材料:狭小でスペース問題や水替えの処理等が懸念事項
• 達成確率:★★★☆☆(中)話題性と差別化視点で期待
• 補足事項:エディブルフラワーのトッピング行けないか?


 以上、仮説渦巻くタラレバブログとなったが、花好きヘビーユーザーへは引き続きニーズを満たす取組みを継続しながら、同時並行して新たな需要の創出を目指す必要性があると筆者は考えている。 そしてそれは、ストーリー性や利用顧客の傾向を加味した成約の可能性を検討し、企業価値や生活者の花のある暮らしを想起させる提案力が重要だ。 筆者は思いついたとしても実行に移す熱意が足りなかったと、過去を振り返り反省している。ブログで公開するだけに、確り手掛けて良し悪しを精査していきたい。

 今回はネット中心に自身の弱い部分を鍛えながら、仮説による問題提起の回となった。 次週は実情に即したもう少し身近な切り口でお話ししたい。


Canon EOS 6D MarkⅡ/EF75-300mm f4-5.6 USM/ISO800/130mm/0ev/f18/13.0s



萩原 正臣 9:00