四季のある日本は素晴らしいが、近年季節の移ろいがぎこちなくなってきた。酷暑・残暑の長期化や、春と秋が短くなってきたり、紅葉の色乗りが不十分だったり、急な寒波の襲来も増えてきて、大変慌ただしい今日この頃である。 背景には気候変動が隠れている。出来る事からスピード感を持って着手し、自然と共生してきた当時に針を戻してまいりたいものだ。
さて、先週は温室効果ガスとプラスチックに触れたが、今回は特に「脱プラ」へ焦点を当て、気候変動に関するコラムを一旦締め括りたい。
様々な要素が複合的に絡み合い、今の自然環境に至っている。有識者の中でも意見が分かれるようだが、筆者は環境の素人ゆえ、断定した持論を述べるつもりはない。一般的な潮流を学び、花き業界にフォーカスしてみたいと思う。
ある専門家は温暖化が進み、地球は危機的な状況に向かっていると提唱する。一方で、現在は氷河期であり、想定の範囲内と唱える専門家もいる。 「こんなに暑いのに氷河期ってどういうこと?」と思ったが、その定義は「氷河期=極寒」を指すわけではなく、地球上に恒常的に氷床が存在する事(南極やグリーンランド他)を指し、地質学的見地から「氷河期」と定義しているようだ。氷河期には「氷期」と「間氷期」があり、極寒のイメージは「氷期」(今より4~8℃平均気温低かった)で、約11,700年前に終息しており、今は温暖な「間氷期」が到来していると解釈されている。 一般論としては、人間の営みにより温室効果ガスの濃度が高まり、化石燃料が利用され、プラスチック製品が必要不可欠になったと解釈されているが、生活が便利になった反面、海洋汚染や生物多様性が失われつつある状況に陥っていると認識している。
その中において花き業界は自然環境と密接にリンクし、気候変動の影響を受けやすい。自然との共生を図り、環境良化を目指すべき立ち位置に我々は異業種同様、いや異業種以上に立っていると考えるのが普通ではないだろうか? 温室効果ガスの濃度を下げ、最適な植物分布を促すなどの高難度な取り組みは今後の課題として意識しつつ、先ずは足元から着手してゆく事が肝要である。 ヨーロッパの購買行動では、環境に配慮せずに生産された花を避け、環境認証を取得した生産者の花を積極的に仕入れる傾向が強まっている。また、「どこで、どう育てられたか?」のみならず、「どう包装されているか?」にも関心が高まっており、プラスチックフィルムやセロファンを避け、再生紙やリサイクル素材にシフトする傾向も強い。「低環境負荷」+「環境への意味ある選択」を重要な判断基準とし、生活者の地球環境への配慮が日増しに高まりを見せている。この流れは早晩日本の経済環境でも近しい流れが顕在化してくるものと筆者は予想している。
では、日本の花き業界として何を始めるべきなのだろうか? 「3R+Renewable」を柱に、環境保全や資源循環を進めて行こう!となるだろう。
「3R+Renewable」とは?
(一社)花の国日本協議会が先進的に well-blooming project をスタートさせてくれている。
※取り組みの詳細はこちらからご覧いただきたい→『これからも楽しく、よりよく花の仕事を続けていくために』
花き業界は主に(生産者)⇔(生花市場)⇔(生花店)で構成されており、業界全体に波及させるためには生花市場の理解と推進がまずもって欠かせない。 そこで東京都花き市場協同組合(東京都内の花き卸売会社8社が加盟する団体)は、花の国日本協議会のプロジェクトへ連携していくこととなった。 今後は上記の通りに市場としてできる事、生産者や生花店へ働きかける事を精査しながらモデルケースを作り、各関連団体や日本全国へと徐々に波及させてまいりたい。
(一社)花の国日本協議会は、当面の課題としては以下を考えている。
①勉強会からスタートする
(ア) 専門家の協力を得て理解を進める
(イ) 廃棄物に関するルールを理解し、コンプライアンス遵守を目指す
(ウ) 市場内の美化(ごみ分別徹底→紙リサイクル含)を強化する
②使い捨てプラ容器を無くす・減らす
(ア) 切花湿式容器全般や鉢物トレーの削減を進める(鉢物トレーは進捗中)
(イ) 切花で乾式輸送が出来るものを選択し、実施する
③リユース出来ない使い捨てプラ容器をリサイクル
(ア) リサイクルを目的とした廃棄物の回収可能性の検討
(イ) 回収可能となった段階で、回収ルール・運搬方法を整える
(ウ) 湿式容器の成分を一定化し、リサイクル出来る状況に置き換える
先ずは①②を重点特化し、③へ移行するイメージで計画を立てている。
本取り組みは①を3ヶ年で実施し、②③は並行稼働で2030年目安に達成目指す。これらの取組みを推進する事により、花き業界は地球環境に優しい取り組みを重視している事をご理解頂けるだろう。 一定の成果が表れた段階で、次の施策を検討し、推進着手して参りたい。
社会の潮流から目を背ける事は出来ない。癒しの商品を取り扱っている花き業界が不買運動の対象となる事だけは避けなければならないのだ。 産業廃棄物として処理されている現状を鑑み、リサイクル可能な状態へ移行できればコストも軽減され、少しでも手頃な価格で生活者に花や緑を提供する事が可能となり、生産者や生花店・市場も歩留まりが良くなる事だろう。
これらは長きに渡り営んできた商習慣を変化する取り組みとなる。ストレスや違和感、不安や困難を伴う事になるだろうが、先ずは身の回りの小さい事から着手し、出来ない事を出来るようにするためにはどうすべきか?を関係者で意見交換しながら変化して参りたいとイメージしている。不利益を助長する提案ではない。環境変化に足並みを揃え、より良い未来に向かうための提案であり、宣言である。 意見交換しながら機運醸成し、ご一緒に明るい未来を目指してまいりたい。

Canon EOS 6D MarkⅡ/SP AF 28-75mm F/2.8 XR Di LD Aspherical [IF] MACRO (Model A09)/ISO3200/75mm/0ev/f7.1/1/160s
萩原 正臣 9:00