花き輸入商社とコミュニケーションを綿密に行い、相場の安定に繋げる

花き業界
 土曜、日曜と寒い雨だった。本日は彼岸の入り。17日(月)のセリは2割安で始まったが……。本年3月需要期は先週の12日(水)、関西から菊類の相場が下がり始めた。

 本年のような状況は、何も手を打たなければ今後とも続くと思われる。卸売会社は中国の一輪菊、小菊を輸入している業者、また、カーネーションを輸入している業者とも綿密な連絡を取り合い、特に仏花需要に対して国産が足りない分を補うため、不足数量を予測し、事前に話し合っておくことが必要だ。この彼岸期における中国産の花を輸入した商社の損害は大きい。外国産でもマレーシアやベトナム等の、通常時にも仲卸や大手小売店があてにしている産地・商社の荷は需要に合わせて増量される。そして国内の菊類やカーネーション、バラの生産者の商品は高品質なものが殆どだが、作付けは需要に合わせて増産しようとしているが、天候によって、今年の場合は不作だったり、遅れが出てしまったりしてしまった。そういう中でも今年の彼岸期は、その方々に安値で多大なご迷惑をおかけした。この反省を胸に、今後に臨んでいきたい。次の母の日には、中国産のカーネーションは仏花向けが中心なので、母の日参りなら良いが、それ以外の母の日商材の輸入のカーネーションはコロンビア、エクアドルを中心に、日頃から信用のある花き商社から、事前検品したものをお願いしていきたい。その後の8月盆の時には、中国産の菊類とカーネーションが一定割合必要になる。卸売会社は輸入数量や品質について輸入商社と十分に話し合い、3月と同じ轍を踏まないよう、花きサプライチェーン全体で利益が出るような相場水準が保てるようにしていきたい。

 なぜ、このようなことを申し上げるかというと、2025年3月は、国産は需要に対して2割足りない。2024年3月比では1割生産が少ない。ただし、お中日前から前年並みに戻る。これが、日本中の主だった卸売会社の見通しだった。現にそのように動いていた。昨年12月に中国の菊やカーネーションを輸入した商社は、大当たりだった。最後まで高値市況が続いたからだ。その分、国産の出荷量が少なかったということでもある。国産の花が少ないことが分かったので、中国の花を輸入している業者はこの3月も意気込んだ。しかし、そのために相場は下がってしまった。

 花の輸入商社は二通りある。一つは年間を通してコロンビアのカーネーションや、マレーシア・ベトナムのスプレーギク、そしてケニアからバラ、南アフリカからネイティブフラワー、台湾からオンシジュームなどをコンスタントに輸入している商社である。取引先の卸売会社と密にコミュニケーションを図り商社活動を行っている。継続的に出荷しているので、輸入商社ももちろんだが、その仕入れ先である現地の農園も商品を貯める等、信用が傷つくことはしない。日本の物日とその他の国の需要期が異なるため、それを利用して日本向けの量を増やしている。一方、中国専門の花を輸入している商社は、コンスタントに卸売会社に出荷しているかと言うと、作り榊をはじめ、市場外にも出荷して市場には物日の時だけ出荷したり、あるいは市場外専門の流通業者で商品が満腹になった時に、「投げ場」として市場に出荷する。このような業者も中には存在する。大田花きと(物日ではあるが)綿密に連絡を取り合いながら取引をしているところは、多くはない。

 特に去年の後半から中国経済が良くないので、仕向け先に日本を選ぶ業者も出てきている。中国向けにデンファレを作っているタイの農家は、何軒も立ちいかなくなっている。このように中国の国内消費が振るわない分、日本に商品が流れている現状がある。この3月は①天候に恵まれず、国内消費が想定よりも不活発であったこと、②国産の出荷量が天候異変によって足りないため、それを聞きつけて去年の12月に成功して儲かった輸入業者が、日本に沢山花を投入してきたこと。この2つが大きな原因になって、相場が崩れてしまったと思われる。

 今後、卸売会社は国産の不足分を埋めてくれている信頼ある花の商社と今まで通りコミュニケーションを密にしていきたい。また、中国の花を輸入している商社については、市場外流通をしている輸入商社まで含め、的確な情報収集を行い、コミュニケーションを活発化することによって指標になる卸売市場価格を一定水準に保つ努力をしなければならない。「差別的取り扱い禁止」と「受託拒否禁止」という、守らなければならない項目が卸売市場にはある訳だが、自分の市場が「投げ場」になったと判断した時、中央卸売市場だとしても受託拒否をする必要があるのではないかと考えている。


投稿者 磯村信夫 16:21