花き業界は努力をすれば本来の明るさを取り戻せる。

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 プロ野球、セ・リーグで優勝を果たした巨人の菅野投手が、34歳でアメリカのメジャー移籍を目指すという。日本を離れてしまうのは残念だが、大きな夢に向かう菅野投手を応援したい。しかし、WBC2023で日本が世界一になったのだから、アメリカより日本の野球界の方が世界一だと思わせたい。乗用車の世界ではそうなっているのだから、野球界も、そしてどの業界でも日本が世界一という評価が得られるようにしてほしいと思っているのだ。

 花き業界は少子高齢化で国産の供給が減り、円安のため輸入花もよくて横ばいの状況だ。スーパーマーケットの花売り場は、コロナの時よりも縮小気味だが、自社で頑張っているところは、スーパーだけでなくホームセンターの花売り場も健闘している。肝心の花き専門店は、農業者と同じように高齢化で店をたたむ人たちが多い。こうしてみると、縮小均衡で未来が無いように見えてしまうが、楽観的な私は前向きに捉えている。花き業界にはやらなければならないこと、(勿論、得意・不得意があるのは分かっているが)もっとやれることが沢山あると思っている。

 現実は、亡くなる人が増えても、葬式の規模は小さくなる傾向で、かかる金額も少なくなっている。葬儀の金額に占める花の割合は約1割だが、葬儀関係の花を扱う店も、廃業するところが後を絶たない。結婚式は年間60万組の婚姻数のうち半分が挙式をする。その披露宴の総額に占める花の割合は13%ほどだ。しかし、半数の30万組の中でも、少人数での挙式の割合が増えてきている。花き業界の重要な需要である冠婚葬祭がこのような状況だ。
 従って、花き業界はより一層、家庭需要やギフト需要の販促を進めていかなければならない。そのために、時代と共に変わっていく消費傾向を捉える。また、買っていただく生活者のライフスタイルや住環境、家族構成やペットの有無等によっても、飾る場所や好み、水やりの頻度の問題などが変わってくる。ターゲットを明確にプロモーション活動が出来ているか。そのターゲットに向けた品目品種、色を生産者に伝えて作ってもらえているか。こういった努力なしに物日の時だけ一生懸命になっても、物日以外の月が赤字になってしまう。

 量販店は物日等の需要がはっきりしている時には売り場を広げるが、そうではない時には縮む。花き専門店は、物日の時以外も花を置いてくれているので、供給者サイドである生産者も、卸・仲卸も、それなりに息が続いている。しかし、物日以外の時期にこそ売れるようにしなければ相場も立たないし、生産者に利益を得てもらうことが出来ない。人口減、少子高齢化で大変なことが多くあると思うが、やっぱりどうしても、家庭需要やギフト需要を推し進めていかなければならない。卸売市場(卸・仲卸)はサプライチェーン上の最終アンカーである小売店と一緒になって明確にターゲットを想定し、ターゲットにふさわしい花を需給バランスの取れた価格で流通出来るようやっていきたい。

   家庭需要・ギフト需要の他にも、イベントやオフィスでの花も欠かせない。ここに花や緑をどこまで使ってもらえているだろうか。花や緑があるだけで、ストレス軽減効果があり、集中力も増す※。もう一度、日本の花き業界は卸売市場(卸・仲卸)サプライチェーンを中心に、パーソナル需要を、そしてイベント・オフィスの法人需要を攻めていく時だ。 
※参考:(一社)花の国日本協議会が運営する「はじめて花屋」にて、植物の効能について掲載されています。 
「#ビタミンF」  note「ビタミンFのヒミツ」 
 
 
 日本の花き業界は、ゆでガエルのような、あるいは諦めの境地の雰囲気で、同業者間の競争だけに明け暮れて暗い気持ちでいるのでは情けない。花の場合、少子高齢化でも、一人一人の生活空間が広くなるので「花のある豊かな生活空間の提供」という需要の広がりが期待出来る。SDGs運動でも分かる通り、花や緑の関心、自然に対する関心、植物まで含めた生き物等に対する関心が高まっている。この中で戦略も立てず、未来を創らないで日々を送っているのでは、怠けていると言われても仕方がない。奮起して確実に未来を創っていこうではないか。
 
投稿者 磯村信夫 12:41