生産者、専門店の大切さ

花き業界
 米の値上がりで、主食用の米の作付けの割合が、微増だが増えている。青果も花も、作付面積が減少しているのは高齢化が大きな一因だが、一方には「米と野菜」「米と花」等の複合経営を行っている生産者の、作付面積を減らす動きもある。米の利益が出にくくなっているため、元気な人は青果や花の生産をするが、高齢で身体の具合が悪くなったりすると、生産経費のかかる青果や花の作付けを減らす人もでるのだ。「and経営」で米の卸値が上向けば、資材費高でも、他の作物への生産意欲も湧こうというものだ。

 機械化、DX化、出荷調整作業の省力化等、米の場合、生産から出荷調整まで請負業者に委託出来るので、生産者は一定の年齢になっても農業が続けられる。青果も花もそのような体制にしなければならない。農協も、特に収穫後の出荷調整、あるいは製品化等のお手伝いをすることが当たり前であればありがたい(勿論、有料サービスだ)。人手不足については、農業は外国人労働者に手伝ってもらう方針で、国も進んでいる。このように生産者を支援する方向に向かい、日本の素晴らしい作物を減らさないようにすべきである。外国人観光客は日本の果物のみずみずしい甘さ、ばらつきの無さ、そしてバラエティに富んだ品種にビックリする。また、以前テニスプレーヤーの錦織選手が日本に帰国した時に「久しぶりの日本はどうですか?」とマスコミから聞かれたところ、「アメリカとの大きな違いは、野菜とフルーツの甘味が全然違う。すごく特別なスーパーマーケットに行かなくても、普通のスーパーでも野菜やフルーツがおいしい。その違いはとても感じました」と答えたそうだ。日本のスーパーの野菜は本当に新鮮なのだ。花は食料ではないが、生鮮品として同じように素晴らしい品質で、世界に誇るものなのである。

 人手不足に対応するため、花き業界においても機械化、省力化等の合理化、外国人労働者の雇用等の対策が進むが、専門店のフローリストの人材確保が、実は一番の課題ではないかと思う。量販店の花売り場は、加工業者が規格化した花束を卸すことによって、省力化が進む。一方、専門店では、ヨーロッパや北アメリカをみても、フローリストがハンドメイドの花束を作り、丁寧な接客を行う。つまり専門店は、技術力のある優秀な人材を確保しなければならないのだ。専門店は後継者不足での廃業も多いが、今後はますます良い人に働いてもらえる社風、職場環境や会社のブランド化などが必要になる。専門店は花のトレンドを作り、消費を引っ張ってくれる重要な役割を担っている。ここで優秀な人材が働いているということが、花き産業のパイを大きくすることに繋がる。花き業界を挙げて応援していく必要があると思っている。


投稿者 磯村信夫 8:00