正しい情報により、花き業界を発展させる

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 本日で9月も終わりだ。暑い夏が終わって涼しくなってきたものの、まだ半袖の人たちも多い。5月から続いた猛暑とも言える天候は、花の作柄に大きく崩した。また、干ばつと集中豪雨で、9月出荷のものだけでなく、これからの年内中の作付けと作柄にも大きな影響が出るだろう。

 その中で今、生産側の情報の不足や不確かさで混乱が生じている。そのため、消費者に対しても積極的な販売促進が出来ないでいる。何がどのくらい前進しているのか、あるいは足りないのか。その全体像が見えてこないのだ。例えば、ある産地のある品目が天候異変の為ダメージを受けて出荷が少ない一方で、同じ品目の他産地のものは順調に出荷されてきている。こういう状況なのである。各品目の出荷状況をチェックしていると、一週間のトータルで4割減、しかし次の週には3割増になって相場は下落。こういった品目がいくつもある。大品目が目につきやすいが、草花や小球根等は出荷量が少ないまま終わったり、出荷の始まりは例年通りなのだが、安い相場の波にのまれて、「採算に合わないから出荷しない」という生産者が出て、結果的に前年対比3割減という品目もある。このような状況をどうしたら良いだろうか。

 消費者への販売は、様々な戦略が立てられる。例えば、秋の彼岸の時に花を買ってお墓参りに行くのは、団塊ジュニア以上の層が多い。基本的には60歳代から80歳代が多いだろうか。その層は、お彼岸でお墓に花を飾っても、まだ家にも飾れるはずだ。家庭用の花を値ごろ感のあるサービス価格で提供する。一方、お彼岸でお墓参りに行かなかった人は、若い人たちが多い。その世代が好きな花を販促することが出来る。しかし、こういった消費者への販促を行おうにも、出荷の実態が見えてこないので、どうすれば良いかということだ。

 大田花きでは、共選の部会長や、その地域の優秀な生産者からの情報で作柄、出荷量、開花状況を把握している。現状は、取引関係で分かる情報と、市場担当者が現地へ足を運び、得る情報が頼りだ。そこから仮説を立てて相場を作り、どこから集荷、どこからどのくらい、どのカテゴリーの買参人に、どんな生活者に買ってもらうかを想定して販売促進を行う。このようにしている訳だが、それだけでは全体が見通せない。もっと明確に、天気予報のような確率の高い情報が欲しい。この産地の出荷情報、そして小売の販売状況をどう取得していくかが、今一番の問題だ。これがかなりの精度で取れれば、必ず消費拡大が出来るし、生産者の採算に合った、需給バランスの取れた卸値になるのではないかと考えている。とにかく正しい情報だ。今のところは特定の人に聞いたり、現地へ足を運び、想像して仮説を立てざるを得ない。

   
投稿者 磯村信夫 14:31