機械におきかえられぬ仕事が多い花き業界。人こそ組織の繁栄の素

花き業界
 この頃、モーツァルトがとても好きになった。BGMで聴く時も、しっかり鑑賞する時も、いつの間にかクラシックを聴く時の半分はモーツアルトの曲になっている。父はベートーベンが大好きでよく聴いていたが、僕はブラームス、ブルックナー、ドヴォルザークが好きで、50歳くらいまではこの3人の音楽を聴いていた。何故最近、モーツァルトが好きになったのか分からないので、モーツァルトについて書かれている小林秀雄の本を読んでみたり、もう一度、映画『アマデウス』を思い返してみたりしたがどうも分からない。自分の中で答えが見つかるのはもう少し先になりそうだ。このように歳を重ねると変化することがいくつもある。そんな時、身体の衰えは自然のことなのでそのままだが、精神や人格はどうだろうかとチェックしている。

 現在、ボーナス支給日の直前だ。大田花きでは評価項目ごとに達成度合いを数値化し、ボーナスに反映させている。ボーナスの金額を最終決定する前には、自身と所属する部署長の評価の数値が、執行役の評価と合致しているかをチェックする会議を持っている。この時にスキルだけでなく、人間性も含めて成長したかどうかをチェックしている。仕事は協調して行うものだ。社内は勿論、サプライチェーン上のお取引先も仲間である。生活者に花や緑を購入してもらうために、助け合ってやっていくという協和性、相手を慮ることができるかが必要になる。ボーナス支給では、スキルや改善力、そしてこの協調性、つまり人格が争点になる。

 仕事の目的は二つある。一つは取引先やターゲットとなる生活者に役に立ち、最終的に生活者が幸せになること。そして二つ目が、仕事を通して自分が人間的に成長することである。人に対する思いやりや、尊敬する気持ち、素直な気持ち等をスキルと共に育むことができる。仕事は人を喜ばせるために行うので、「後楽園(先に憂いを得て後に喜びがある)」のようなもので、困難がいつも待ち受けていると覚悟し、それを切り開いて仕事を行っていく。その仕事の後に人が喜んでくれる喜び、そして仕事を通して自身の人間力が磨かれる喜びがあるのだ。

 花き業界は人間にしかできない分野が多い。即ち、種苗・生産地から卸・仲卸、運送、小売のどこをとっても人が重要で、人が富を生み出す。まさに「人財」である。組織のリーダーはどうすれば人々が生きがいを持って働けるかを考え、人財育成を行っていく必要がある。花き業界の場合、ただ単に「仕事で鍛えられる」だけでは足りない可能性がある。従って、最後に日本経営の核となる方の「こうすれば人が育つ」という育成の格言を皆様方と共有したい。

①「やってみせ 言って聞かせて させてみて 誉めてやらねば 人は動かじ」
②「話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず」
③「やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず」
 
 
 投稿者 磯村信夫  16:20