時代は次の時代に入っている。

経済
 有識者と話していると、昭和・平成と続いてきたグローバル経済と経済一辺倒の価値観の世の中が、2010年頃から変わったと言う。確かに、パタゴニア※が脚光を浴びていることを見ても、世の中の進歩の在り方が変わってきていることが分かる。それは民主主義の在り方も同様だ。例えば、注目されているインドにしても、モディ政権でのヒンドゥー教中心主義や専制政治的な力が主力になってきている。何が時代的にふさわしいのか。何に価値をおくべきなのかが問われている。

 日本も少子高齢化や人口減、国・地方の財政赤字、そしてインフラのメンテナンスや更新すら危うくなってきているような現実等、課題は多い。世界の国々との比較で言えば、差し迫った危機は国防問題と人口問題だろうか。これまでとは違った解決策を打ち出して、少しでも良い生活、国の新しい産業づくり、そして人口減の中でも、各地域で循環型社会の街づくりをして活性化していかなければならない。

 バブル崩壊後のデフレ経済、とりわけ21世紀になってからのマイナス金利、あるいは、殆ど金利が付かない時代は終わりを告げ、普通預金も0.1%の金利が付くようになる。業界や業種が本来持つ利益水準や手数料水準、サービスの値段になっていくのである。そして、人の価値観も変わっていく。ワークライフバランスや女性の活躍推進、ジェンダーギャップを乗り越えた人権の在り方、働き方。年齢に拘らない実力主義、日本でも人種問題・人権問題の解決や、同一労働同一賃金を目指す。これらに向かっていくのが新しい時代の在り方だ。地方でも都市部でも、個人でも会社・役所でも、もちろん政治体制も、時代に合わせた価値観で変化していくべきである。そのような中で、ウェルビーイングの思想や、スポーツと同様に芸術文化も貴ぶ。それが国の一つのレベルを表す指標となっていくことと思う。

 文化の産業である農産物の園芸産品、花きでは、いけばな・フラワーアレンジメント、ガーデニング、コンテナガーデン、ランドスケープ等がある。公園や野山の自然を供給するのは“公”の役割だ。我々は民間として花き文化の産物を提供する。そして公民の力を合わせて、今の価値観に合わせた新しい時代を作っていかなければならないと思う。一朝一夕ではいかないが、地方都市の新しい形・繁栄をドイツのように出来ればいいと思っている。日本とはもちろん、歴史が違う。200年かけてドイツはやってきた。しかし、ドイツで実現出来ているのだから、日本でも出来る筈だ。地方だけでなく、国の新しい日本の在り方を意識して花き業界の我々も進んでいきたいと思う。

追伸:地域に必ず花市場を。地産地消で花き文化を。地域文化を映し出す専門店、花売り場が必ず必要だ。

※パタゴニア ( Patagonia) は、 アメリカのアウトドア用品等を手掛けるメーカー。環境問題に積極的に取り組んでおり、その活動は注目を集めている。


投稿者 磯村信夫 12:40