年度末最終回、今週中にチェックしておくべきこと

経済
 本年度、最後のコラムとなった。振り返ってみると、コロナでステイホームが始まり業務需要が激減したが、家庭用の花の需要は拡大した。その後、新型コロナウイルスがインフルエンザと同じ扱いの「5類感染症」となり、今まで抑制されていた外出や会合、旅行等、出来なかったことへの支出の優先順位が高まった。一方で、花もご多分に漏れず生産価格が上がり、卸売価格も上がったので、当然に小売価格も上げざるを得ず、特に日常的な花を販売する街の小売店や量販店等が販売に苦慮した。しかしながら、イベントやギフト、そして小さくなったとは言えども、冠婚葬祭や様々な儀式等の需要がコロナ禍から復活し、仕事花事業者や大手花き専門店は、順調に事業を進めることが出来た。

 来年度は物流の「2024年問題」で、経済合理性の観点から、大型産地からの出荷が一定規模以上の卸売市場に集中することが予測されている。新しい物流動線をどう描くかが課題だ。地域の卸売市場において、また、花き専門店にとって、特に品揃えの問題から流通を新構築していく必要があるだろう。各事業者で既にプランは出来ていると思うので、着手していただきたい。
そしてその時に必要なのは、自社の利益だ。人手不足の中でも生産性を向上させて利益を確保し、社員に金銭的にも生きがい的にも還元していかなければならない。また、省力化投資、物流投資等のDXを推進していかなければならない。一方、義務としての生産性向上とは別に、GX(Green Transformation)を実現するため、地球環境や生物多様性等の対策を、事業規模に囚われず行っていかなければならないだろう。

 年度末に際して、上述した内容を盛り込んだ目標が出来ているだろうか。会社がその方向性に向き、かつ、社員が「何故この目標なのか」を理解しているだろうか。そしてそれが人事考課に反映するような仕組みが出来ているだろうか。これを今週中にチェックをして来年度に向かっていこうではないか。今年度よりも来年度がより良い年になりますように。花き業界も日本も、地球環境もステップアップしていくことを目指したいと思う。


 投稿者 磯村信夫 13:39