国産と輸入で構築するトキ消費

花き業界
 本日、磯村はお休みをいただいておりますので、シンクタンクの(株)大田花き花の生活研究所桐生所長のコラムを掲載させていただきます。




国産と輸入で構築するトキ消費


 この週末スーパーマーケットに行きましたら、国産ワインフェアが開催されていました。ずらりと国産ワインの新酒が並んでいて、ずいぶんと増えた印象でした。そこで、改めてワインについて調べてみますと、日本のブドウを100%原料として製造したものを日本ワイン、原料の原産地はさておき日本で製造したワインを国内製造ワインと表記します。スーパーで見かけたワインは日本ワインだったように思いますが、日本ワインの国内流通シェアは伸びているようです。

 ところで、11月のワインといえばボージョレ・ヌーヴォが有名ですが、フランスのボージョレ地区で収穫したブドウで作った新酒ワインのことです。今年の解禁日にあわせて、あちこちの店頭でワインフェアが開催されることでしょう。国産のワインフェアもボージョレ・ヌーヴォの解禁日を意識してのことか、その少し前が多いように思います。販売戦略ではありますが、生活者からすると様々なワインと知り合うことのできる楽しいときでもあります。つまり、日本ワインとボージョレ・ヌーヴォフェアを組み合わせることで、結果Win-Winになっているのです。

 このような戦略はほかの農産物でも見られます。例えばサクランボです。サクランボの場合には、米国産の輸入が先に出て、その後国産が流通します。サクランボの世界を長く楽しんでもらうため、輸入と国産があたかもリレーしているかのような流通構成になっているのです。
 ワインとサクランボ、両方が生活者に提案していることは、「今、ここで今年の出来を味わっていただく」といういま限定の風物であることです。それから、その楽しみは決して短すぎてもいけませんし、長すぎても価値が薄まってしまうように思います。

 同じようなことが花きでも提案できるのではないでしょうか。国内の花き生産は減少傾向にあり、また気象条件の変化で出荷時期が少しずつ変わってきています。このままでは生活者のイメージする旬の時期に、そのときにふさわしい国産花きが十分に供給できないケースが増えてしまうかもしれません。
 それをカバーできるのは一つに輸入品でしょう。従来輸入切花は、キク、バラ、カーネーションの三大品目以外は、国産の旬とは違う時期に出荷する戦略が多かったと思います。今後は生活者にとってどう季節を楽しんでもらうか、そのために国産と輸入が共創することを軸にして検討してもいいのではないでしょうか。博報堂生活総研が提唱するトキ消費(※)時代ですから、いわゆる旬の時期をどう盛り上げていくかということが重要なのです。

 ※「トキ消費」とは、博報堂生活総合研究所が2017年から提唱しているモノ、コトに続く消費潮流です。


株式会社大田花き花の生活研究所
代表取締役 桐生 進

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