具体的な戦略を立てる

大田花き
 9月に入り、台風10号の影響で、花き業界は一週間ほど需要が低調であった。9月は三連休やお彼岸の需要があるにも関わらず供給量が不足するため、高値が続くことがここ数年続いている。大田花きの予算でも12月・3月に次いで、9月に取扱い金額が大きいのはその影響もある。

 昨日は三連休の中日で、日曜日の友引だった。沢山の結婚式が各所で行われたことだろう。そして本日は敬老の日で、きっとお孫さんからの花のプレゼントが、おじいちゃんおばあちゃんにあるのではないかと思う。更に明日は中秋の名月、十五夜だ。ススキを取り合わせた、ピンポン菊やディスバッド菊のアレンジメントが、9月9日の長陽の節句よりもよく売れる。その後にはお彼岸が待っている。このように花の需要期は続くのである。

 東京圏は一般的に千葉、埼玉、東京、神奈川の、東京都心から50kmくらいのところを指すが、お盆を7月に行うのは神奈川と東京で、埼玉や千葉は8月のお盆だ。7月盆の時期が平日だったりして、亡くなった祖父・祖母や両親のお墓参りに行けず、東京・神奈川でもお墓参りをお彼岸に行ったりすることも増えている。特に団塊ジュニアからそのような傾向のようで、神奈川・東京の秋の彼岸の需要は、8月がお盆だったところに比べて大きい。暑さ(夜間が25度以上の熱帯夜)で、菊類が開花遅れを起こしているし、品質にも問題が生じやすくなっている。そのため出荷量も足りない。このようなことから、本日16日のセリでは高値が出て、買参人が高値に驚き「おー!」と叫び声を出していた。暑い9月にも、12月・3月に次ぐ需要期が東京・神奈川にはあることを知っておいてもらいたい。

 そして9月は(4月はじまりの会社の場合)上半期の最終月だ。本年度に入っての業績はどうだったか、時代と共にカイゼンしなければならないことが出来ているかをチェックし、やり残していることがあれば、下期や来期に向けてどう進化させるかを、考える時になっている。先日の大田花きの取締役会でも、大田花きや業界における課題の議論が行われ、特に従業員の働き方改革が話題に挙がった。広義の働き方改革と捉え、取引先や大田市場で働く人々、花き業界全体で改革を進めていく必要がある。大田花きでも、働き方改革、ワークライフバランスの良い仕事の仕方を模索している。気持ちよく働けるよう、事務所もリニューアル中だ。社員同士のコミュニケーションも活発になるような事務所に生まれ変わる予定だ。

 取締役会では、採用問題も議論に挙がった。本日は敬老の日だが、三人に一人近くは高齢者だ。そして後期高齢者になっても元気に働いている人たちがいる。新卒採用だけでなく、中途採用も大切な人材確保の考え方だろう。そして勿論、女性も働きやすい職場づくりも重要だ。そのための規定づくりだけでなく、社内のムード作り、あるいは、大田市場花き部全体、お取引先まで含めた花き業界全体で女性が活躍出来るような業界の考え方、勤務体系、あるいは施設整備等を検討していく必要がある。
 採用と言えば、ここのところ同業他社から、優秀な人材の育成についての相談がいくつか来ている。戦略を立てて突き進んでいけるような人材が望まれている。将来、各地域で活躍してもらわなければならない卸売市場には、そういった人材が必要不可欠だ。大田花きは、同業他社への人材育成のノウハウの共有等のお手伝いも、花き業界を繁栄させるために必要だと考えている。
 最後に、給与体系も重要な検討課題だ。単身世帯ももちろん増えているが、子育て世帯も多い。教育資金や家のローン等、やはり55歳くらいまでが一番、お金のかかる時になる。勿論、実力本位だが、いかに手取りを多くしていけるにはどうすれば良いか、時代に合った形にしていけるよう検討する必要がある。

 
投稿者 磯村信夫 12:43