ゴッドファーザー(あるいはゴッドマザー)の核(コア)から家族のように、友達のように、とにかく仲間の輪が広がってゆく組織が、強い組織ではないか。
花き業界
嬉しかったのは、やっぱり良いものは売れているということだ。確かに値段は相対的に高い。しかし「この生産者のこの品種の花」といった、市場業界でブランドの花が、消費者にも評価されている。その傾向がますます強くなっていることが分かって嬉しかった。
さて、正月中に組織のことを勉強したり考えたりしていたが、軍隊を除き、ヒエラルキーのある組織というのはどうも時代についていけていない感じがする。それは大谷翔平さんが入団しているドジャースのチーム運営、そして優勝風景を見てもつくづく感じられる。ドジャースは現場が楽しんで仕事をしていたり、チームの誰かが良いところでヒットしたりすると、チームメイトは勿論だが、そのチームメイトのご家族も一緒になって喜んでいる。家族みんながドジャースの仲間のようだ。勿論、その中ではポジション争い、あるいは試合に出場できるか等の競争があるのだろう。しかし、あの喜び方が出来るのは、本当に結束力の固い、強いチームなのだろう。そうでなければ、大谷翔平さんの愛犬・デコピンを始球式のピッチャーにするといった、ある意味ではイノベーションが現場最先端で起こってこない。ヒエラルキーのある組織の場合、一番下の者が現場の最先端を担当する。命令されて働いているだけなので、一生懸命やるだけだ。しかし、ドジャースのような組織では、現場の最先端が実は、現実に何が消費者を喜ばせているのか、どんなことに困っていたりするか、「潜在需要はこういうものにあるのでは」等が分かるのだ。現場にこそ「真実の瞬間」がある。従って、現場から遠いところに社長や役員がいて、そこが会社の指揮を執っているようなヒエラルキー組織では、強い組織にならない。お客さまを喜ばせる組織にはならないと思うのである。
こういったことがずっと心に引っかかっていた。次の大田花きの組織はどのようにすべきか。かつて日産は縦割り組織のため、車が売れないと「設計の所為だ」とか、「現場の営業の所為」だとか、人の所為ばかりにしていた。そこで日産の元社長は、クロスファンクション、部署横断でチームを組んだ。ローン係まで新車販売のチームに入れて販売を行い生活者に受け入れられ、日産を立て直したのだ。このクロスファンクションをやっていない会社が日本にはまだ多くある。しかし、本当に強い組織、消費者や取引先に喜んでもらえる組織には核(コア)があり、その核(コア)が広がって組織が成り立っている。また権限移譲が進んでおり、責任感や考える力を各々が持ち、コミュニケーションがスムーズに行われている。このような組織体を、農協の生産部会にしても、卸・仲卸の会社にしても、小売会社にしてもつくる必要がある。また、花の場合には、そのような組織同士がサプライチェーンを構成し、コミュニケーションをスムーズにしていけば、生活者にもっと喜んでもらうことが出来るだろう。そして、生活者から購入いただいたお金を、小売店から各社に役割の難しさに応じて分配することが出来る。
大田花きはここに向けて歩み始めたい。皆様方も同様に、このような組織体を作っていって欲しいと思っている。
投稿者 磯村信夫 15:18