(株)大田花き花の生活研究所が持つ各種データを元に、産地別品種をノミネートした上で花業界でご活躍されている方々を審査員としてお迎えし、より客観的な選考を行っております。また、(株)大田花き花の生活研究所では、この結果を元に、花の流行分析を行っています。
●FLOWER OF THE YEAR OTA2024 最優秀賞
品目:ディスバッドマム 品種:クラシックココア
産地名: JA愛知みなみ赤羽根洋花部会ALL4MUM(オールフォーマム)様(愛知県)
■生産者様のコメント
赤羽根洋花部会では生産者16名によりディスバッドマムを始め、季節の草花やバラエティ豊かな各品目を栽培しております。今後も皆様のお力添えをいただき、部会員一同、より一層精進してまいりますので今後ともよろしくお願いします。今回の受賞にあたり、多方面からのご支援に感謝申し上げます。
(写真左から:根木和行 様、JA愛知みなみ 鳥居利広 様)
【所感】
愛知県は全国でもダントツ一位の花き生産地。とりわけキク生産は、国内でも草分け的な存在で、現在においても供給の根幹を担っています。一方で、ALL4MUM様は老舗でありながらも伝統にとらわれず、新しい発想でクラシックココアという大正ロマンを思わせるキク(マム)をプロデュースしたことでマーケットを驚かせました。ぽってりと厚みのある花形と、飲料のココアを思わせる温かみのあるカラートーンが、出荷期である10-11月の季節性とマッチし、絶妙な色合いと圧倒的な存在感が素晴らしいというコメントともに、多くのバイヤーから支持されました。
国内の切り花生産は、ピーク時の52.6%(2023年、農林水産省)にまで減少している中、日本の需要を支える愛知県のキク生産者様におかれましては、今後ますますマーケットを驚かせる花のプロデュースと国内生産の牽引役としてご活躍を期待しております。
●FLOWER OF THE YEAR OTA2024 優秀賞
品目:バラ 品種:オール4ラブ+
産地名: 齋藤 武 様(栃木県)
■生産者様のコメント
(写真:齋藤 武 様)
【所感】
齋藤様は昭和後期よりバラを生産し続け、50年を迎えます。確実に国産バラの品質を引き上げ、バラ生産を牽引してきたおひとりであり、積年にわたり定評を築き上げた信頼のある生産者さまです。「国産バラは上質」という現在の常識を作り上げたレジェンドとも評され、大田花きのバイヤーで齋藤様を知らない人はいないほど。 この度の最終審査でも、「齋藤さんのバラを買っておけば間違いない」というコメントともに得票しました。
尚、栃木県の生産者様がフラワーオブザイヤーOTAをご受賞されるのは、本年が初となります。
●FLOWER OF THE YEAR OTA2024 特別賞
品目:リンドウ 品種:安代のはごろも
産地名: JA新いわて八幡平花卉生産部会様(岩手県)
■生産者様のコメント
(写真左から:JA新いわて 田村公樹 様、部会長 齊藤正樹 様)
【所感】
「安代のはごろも」は、八幡平市のオリジナル品種。標高170~300mの冷涼な気候を持つ八幡平市の気候に併せて育種されたものです。ふんわりと花弁が開く大輪の複色、透き通るような涼やか水色で、その名の通り天女が羽衣をまとったかのような印象です。リンドウといえば仏花(お供え用の花)一辺倒でしたが、優しい色合いの当品種は、ホームユースとしての需要を切り開き、裾野を広げました。仲卸、生花店のみならず量販店やeコマース、サブスクを手掛けるバイヤーなどから幅広く支持されたことが、この度の受賞につながりました。今後ますますリンドウの活用領域の拡大が期待されます。
●FLOWER OF THE YEAR OTA2024 特別賞
品目:枝物 品種:ミモザアカシア
産地名: 榎本バラ園 榎本 雅夫様(千葉県)
■生産者様のコメント
まだまだ小さな部会です。今年から君津市を中心に関係機関と協力して、新規栽培者を募る「ミモザプロジェクト」に取り組み、来年4月の植え付けに向けて指導しております。今後の伸びしろにも期待していただきたいです。買参人の皆様、大田花きの皆様に感謝申し上げますとともに、今後ともよろしくお願い申し上げます。
(写真左から:JAきみつ 吉田譲 様、榎本雅夫 様、ミモザ部会副部長 野老高広 様)
【所感】
もともとバラ生産をしていた榎本様ですが、現在は枝物生産に完全転換。ミモザは、裏山に植えてあった3本を増やし、現在は4,000㎡の畑で栽培。それでも足りないというマーケットの声に応え、お仲間とともに部会を立ち上げ、年間5万本(*)のミモザ出荷を実現しました。シーズン中に生花店店頭にミモザが並ぶのはもはやスタンダードな光景ではありますが、このスタンダードの確立は榎本様の功績によるところが大きいといっても過言ではないでしょう。君津におけるミモザ生産の伝道師とも呼ばれる榎本様はミモザの生産が楽しいといいます。そのスピリットはバイヤーにも伝わるようで、サブスクや生花店など、多くのバイヤーに支持されました。
(*)大田花き直近1年
●FLOWER OF THE YEAR OTA2024 新商品奨励賞
品目:ヒマワリ 品種:ダージリン
産地名: 山田 容礼(まさよし)様(千葉県)
■生産者様のコメント
(写真:山田容礼 様、山田保夫 様)
【所感】
花き生産35年、ヒマワリの中でも国内屈指のブランドとして定評があります。その証左として、評価の高いものから販売される当社のセリにおいて、山田様のヒマワリは常に最初に販売されます。きれいに品質が揃っているばかりでなく、その荷姿は細部まで行き届いた気配りが感じられます。
待望の新品種ダージリンは、茶系の八重品種で珍しいタイプです。紅茶の茶葉の色がにじみ出るかのような絶妙な花弁模様が特徴的で、一度見たら忘れられないほど印象的。茶色の八重は珍しいと生産に取り組まれました。「絶妙な色合い」「仕入れる度に何度でも売り切れた」というコメントとともに、トップフローリストから地方の生花店、数々のデザイナーや多くの仲卸など、広く支持を集めました。
【トレンド分析】~品薄反映し、定番品目へ回帰~
酷暑を乗り越え、“量と品質の生産地”が受賞
ペールトーン、くすみカラーは人気継続
フラワー・オブ・ザ・イヤーOTAは2005年にスタートし、今回で20周年を迎えます。この度は全国、及び輸入品を含む7万点以上の候補から、上記5点が選出されました。
コロナ禍以降、久しく続く品薄を反映して、定番品目からの入賞が目立ちます。また、昨今の酷暑対策を行い、品質を維持しながらもご出荷数量を増やすなど、量と品質との両方を確保された生産者さまが受賞に至りました。また、昨今ファッションでもトレンドとなっているペールトーンやくすみカラーは、花きの人気トレンドとしても引き続き人気です。
<文責>株式会社 大田花き花の生活研究所