(株)大田花き花の生活研究所が持つ各種データを元に、産地別品種をノミネートした上で花業界でご活躍されている方々を審査員としてお迎えし、より客観的な選考を行っております。また、(株)大田花き花の生活研究所では、この結果を元に、花の流行分析を行っています。
●FLOWER OF THE YEAR OTA2019 最優秀賞
品目: ツツジルイ 品種: ドウダンツツジ
産地名: 株式会社グリーンテック蓮実様(福島県)
■生産者様のコメント
【所感】
最優秀賞は福島県のグリーン(枝物)のドウダンツツジ。枝物の中では初の最優秀賞です。1本でもその場の雰囲気を大きく変える力のあるドウダンツツジは、日本原産の樹木です。ナチュラルで涼しげな雰囲気を演出し、代替の利かない美しさがあります。生活者の自然回帰嗜好と相まって、イベントや商業施設ばかりでなく、一般家庭でもインテリアとしてドウダンツツジだけで花瓶に生けられるなど、幅広いシーンで使われるようになりました。また、国内需要ばかりでなく、海外にはないことから輸出も盛んに行われ、国内外で圧倒的な人気を誇っています。国内でな各地から出荷されますが、とりわけグリーンテックの蓮実さんが細やかな注文に対応されることが評価され、受賞に至りました。
●FLOWER OF THE YEAR OTA2019 優秀賞
品目: イキシア 品種: アクアマリン
産地名: 高坂園芸様(千葉県)
■生産者様のコメント
【所感】
花全体の出荷量は減少傾向の中、毎年出荷量を伸ばしている生産者のおひとりです。イキシアの開発に要した月日、実に16年。圃場の隅に飛び落ちた1つのタネから生まれた変異種に目を付け、大切に殖やしました。国内流通では無二の奇跡の青い花。イキシアは、ピンク、白、黄色が大多数ですが、アクアマリンは透き通るようなブルーで見る人を惹きつけつける素晴らしい花です。バラやユリのように全体の取扱量は多くありませんが、そのインパクトが大変大きく、一度見た人の心を確実に掴みます。9月の台風15号ではパイプハウスが倒壊したり、ビニールがはがされたりなど大きな被害を受けましたが、2月からの再開出荷に向けて、現在鋭意復旧中です。アクアマリンの出荷期は4月下旬から5月を目指してしています(2020年)。
●FLOWER OF THE YEAR OTA2019 特別賞
品目: ハイブリッドスターチス 品種: 雲竜
産地名: JA信州諏訪様(長野県)
■産地様のコメント
【所感】
ツボミのつぶつぶ感が特徴的で、「咲く前からカワイイ!」とここ数年で人気急上昇。優しくふんわりとした雰囲気、控えめな佇まいからほかの花とも合わせやすくスターチスの新しい活路と地位を確立。一時期の販売低迷を乗り越え、昭和以来の人気再燃中です。この度、生まれ変わった新しいスターチスが令和元年に初受賞しました。JA信州諏訪さまからの雲竜の出荷期は5-6月ころです(目安)。
●FLOWER OF THE YEAR OTA2019 新商品奨励賞
品目: バラ 品種: マンゴーリーバ
産地名: 前橋バラ組合様(群馬県)
■産地様のコメント
【所感】
昨今、ニーズが満たされた雰囲気が漂うバラのマーケットにおいて、ヒットを見通して新品種を導入するのは難しいものです。そこを前橋バラ組合のみなさまは、地道なマーケット調査と先見の明で、映えるマンゴーカラーの‘マンゴーリーバ’を導入し、多くのバイヤーに評価されました。前橋バラ組合の常にマーケットに耳を傾けようという真摯な姿勢と、農業生産者としてはかなり若い40代を中心とした組合員構成で、トレンドのキャッチアップも的確に行ったことが奏功しました。前橋バラ組合は赤城山の麓で、8軒のバラ農家さんが共同で生産・出荷を行っています。独自に培った全国でも珍しい「プランター栽培」で、高品質のバラを出荷。「日本ばら切花品評会」では、最高賞である農林水産大臣賞を2年連続で受賞。品評会の常連として名高く、また某有名小売店からも高い定評を得るブランド産地です。
【トレンド分析】キーワードは「ナチュラル」「たおやかなライン」「”映え“」
受賞商品は自然な雰囲気、空間を捉えるたおやかなライン、SNS映えするフォルムとカラートーンが特徴です。花のトレンドにおいても、SNSの普及が人気を牽引する重要なファクターであることがわかります。なにより、これらのヒットを創出したのは、「マーケットで喜ばれるものを作る」という生産者さまの思いと信念、何十年にも及ぶ積年のご努力の賜物であることにご注目いただきたく存じます。
<文責>株式会社 大田花き花の生活研究所