(株)大田花き花の生活研究所が持つ各種データを元に、産地別品種をノミネートした上で花業界でご活躍されている方々を審査員としてお迎えし、より客観的な選考を行っております。また、(株)大田花き花の生活研究所では、この結果を元に、花の流行分析を行っています。
●FLOWER OF THE YEAR OTA2018 最優秀賞
品目: スプレーカーネーション 品種: あられ
産地名: 常陸野カーネーション組合様(茨城県)
■生産者様のコメント
【所感】
小美玉市、土浦市、稲敷市など茨城県内に広く点在するカーネーション専門の生産者で構成されるグループで、本年で創設44年目を迎えます。輸入品が過半数を占め、一層競争が激化しているスプレーカーネーションにおいては、独自性を出していくことが必須。作りや品質ばかりでなく、とりわけ品種においても差別化を図り、いかにオリジナリティを高めていくかが課題です。
常陸野カーネーション組合様は、自ら育種を手掛け、高い生産技術をグループ内で共有することで、競争優位に導きました。結果、展開の早い供給型の苗に振り回されることなく、売れるものを作り続けていくという生産プランを実現し、実需者に高い支持を得ました。この‘あられ’という品種ももちろん当組合のオリジナル品種。黄色い花弁の縁にほんのりとオレンジ色が載っているのが特徴です。花付きも良く、スプレーカーネーションの中では輪サイズも大きいことから汎用性が高く、広いシーンで重宝されています。
●FLOWER OF THE YEAR OTA2018 優秀賞
品目: カラー 品種: サッポロ
産地名: 北石狩農協当別支所様(北海道)
■生産者様のコメント
【所感】
創設47年を迎える北海道随一の多品目生産地。オリエンタルユリやカーネーション、デルフィニウム、カスミソウなど、20品目ほどの花きを生産されています。その中でも、カラーはJA北いしかり様にとって一大生産品目の一つ。その中でも圧倒的に多いのが、今回受賞した‘サッポロ’という品種です。‘サッポロ’は写真の通り純白の品種。苞(ほう;花弁のような白い部分)の巻きがふんわりと柔らかく、エレガントな佇まいが特徴的です。
また、カラーの白品種は一般的に、時間の経過とともに変色することがよくありますが、‘サッポロ’は純白のままキープする点が高く評価されています。この純白の‘サッポロ’の出荷量をブライダルシーズンに増やし、市場のニーズに応えようという取り組みが今回の結果に結びつきました。茎も長くて丈夫なので、小売り・冠婚葬祭問わず、広く重宝されています。フラワー・オブ・ザ・イヤーOTAでカラーが入賞したのは史上初です。
●FLOWER OF THE YEAR OTA2018 特別賞
品目: フリージア ユーロスタイル(仕立て)
産地名: 高成園様(埼玉県)
■産地様のコメント
【所感】
全国的に生産量が減少しているフリージア。この現象を受け、髙舘様は生活者に楽しんでもらえるフリージアはどうあるべきかと思案。花の大きさ、花びらの枚数、ツボミの数、強固な軸、芳純な香りなど、フリージア本来の魅力を最大限に引き出すため、試行錯誤の上、世界標準に倣い、1つの球根から複数本採花できる仕立てを採用。これをユーロスタイルとオリジナル名を付けブランドを確立しました。通常草丈40-50cmで出荷されるフリージアですが、髙成園様の場合、圃場で1メートル以上にじっくり大きく育て、十分栄養を蓄えてから出荷するので、ツボミもすべてのちに開花します。1本が60-70cmの草丈にもなり、枝分かれした複数の花茎があるのが特徴です。このスタイルは、従来のフリージアの概念を変え、マーケットに風穴を開けました。また、茎がタテに伸びる草姿も今後のトレンドにマッチしていくものと思われ、将来の販売にぜひ期待しています。主な出荷期は、2月中旬から4月中旬。フラワー・オブ・ザ・イヤーOTAでフリージアがが入賞したのは史上初です。
●FLOWER OF THE YEAR OTA2018 新商品奨励賞
品種: ブルーフレグランス
産地名: 宮崎中央農協国富支店様(宮崎県)
■産地様のコメント
【所感】
赤いスイートピーは有名でも、青系のスイートピーはマーケットに新しく、衝撃を与えました。花色は透明感があり、どのような色とも調和が取れる一方で、アクセントにもなり、また柔らかな曲線を描くステムは空間を捉え、存在感を放ちます。甘いマスカットのような芳香も特徴的。ブルーフレグランスⓇは商標名です。流通期は主に2-4月頃。フラワーオブザイヤーOTAの入賞は宮崎県として史上初の快挙です。
【トレンド分析】キーワードは“自然体”
作り上げられた人工的なものより、昔からあるような自然体の雰囲気を持つことがキーファクターです。例えば、柔らかなラインを描く草姿、ほかの花との調和を取りやすい大きすぎない“中小輪”サイズの花などです。この度の受賞品種はいずれも、花のヘッドが大きすぎず、また茎からヘッドにかけて柔和なラインを描くのが特徴です。元々の植物が持つ草姿を生かすデザインが主流となりつつある今、自然の姿を残しつつ、どのような花とも合わせやすく、汎用性が高いこと、また色・サイズともに調和を取りやすいアイテムが高い評価を得ました。
<文責>株式会社 大田花き花の生活研究所