1、人はファンづくりが大切 2、商品は買ってもらってからが勝負

花き業界
 先週の6/1(土)、市場流通ビジョンを考える会※春期研修会が開催された。今回は会員企業の若手社員を対象に、豊洲市場見学、そして大田花き会議室での座学が行われた。農業の流通業務をDXする「nimaru」を展開する(株)kikitori 上村社長に事務局を務めていただき、また、ご講演いただいた。他三名の方からもお話をいただき、若手社員の皆さんにとって大変有意義な会になったのではないか。デジタル社会が進めば進むほど、“人間力”が必要になる。良い人材が業界に入ってきてもらわなければ、業界の、そして会員各社の存続が危うい。このような危機感を持って、研修が行われた。

 以前から言われている通り、あらゆる商行為、あるいは行動が“物”から“コト”へ移行している。物を購入、あるいは所有するということは、精神的な豊かさを購入、所有することに他ならない。美味しいものを食べたいという欲求。病気ではなく健康になりたいという欲求(病老死を避けたいとする欲求)。花を飾ることは「豊かな生活をしよう」と文化を欲する欲求。「自然」を欲する欲求。これらの欲求が人の中にはあるが、購入・所有しても、精神的な豊かさが実感出来なければ、次の購入に繋がらないのだ。また、「良いものを選んで良かった」と思っても、値段が割高でコスパが悪ければ、精神的な豊かさの気持ちも吹っ飛んでしまい、これも次の購入に繋がらない。その品物だけでなく、その店で、その市場・仲卸から買うこともしなくなる。従って、「売っておしまい」ではなく、売った後の結果とケアが大切だ。売った先のお客様が、購入したことによっていい商売に繋がるよう取引することを、卸売市場の社員は一番に考えなければならない。そして、取引先に喜んでもらう、応援する、このような気持ちがある上での、その社員の笑顔や立ち振る舞い、考え方がファンを作る。その社員の人間的な魅力で取引先にファンになってもらい、また社内の同僚にもファンになってもらう。そうすれば、ミスや不満があっても直接言ってもらえて、解決に向けて努力が出来るのではないか。もちろん、もう少し構造的な、科学的なことも事業にはあるが、このファンづくりが大切な要素になると思う。
 
 さて、6/1(土)の研修会終了後、私は銀座シックスで開催中の展覧会を観に行った。画家の知人の展覧会だ。今年も昨年に続いて、ちょうどご本人がいらっしゃらない時に行ったようでお会い出来なかったが、ますます魅力的な絵になっていた。絵も花も、動物にはない、人間だけが持つ文化的な欲求によって購入されるものだ。それを値段にして推し量るので、値付けがなかなか難しい。また、諸物価高騰の折、値上げをどのようにしていくのか。生鮮食料品花きも大変難しいのだが、それと同じ難しさを絵にも感じた。

 大切なことは、物を所有した時の「精神的な豊かさ」だ。所有してから実際にお料理しみて、食べてみて等といった買った後のところだ。「売っておしまい」という態度では、もう次に買ってもらえない。こう考えて仕事をしていかなければならないと感じた次第である。

※市場流通ビジョンを考える会
東京聖栄大学の藤島先生が中心となり、青果・水産・花きの卸・仲卸有志が幹事になって進めている勉強会


 投稿者 磯村信夫 12:12