物流効率化のための2つのポイント

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 本日、磯村はお休みをいただいておりますので、シンクタンクである
(株)大田花き花の生活研究所 桐生所長のコラムを掲載させていただきます。



「物流効率化のための2つのポイント」


 2024年4月1日に施行となる働き方改革関連法。その対象に物流業界が含まれることから、基準となる労働時間を超えないよう既存の業務内容の見直しが盛んに議論されています。もちろん、花き業界においても例外ではなく、本年、試験や実証事業が活発に行われています。

 物流改善の対策としては、主に以下の2つに絞られつつあるように思います。
① ストックポイントの設置
② 作業や荷姿などの標準化

 上記①のストックポイントとは、その名の通り荷物をストックする(蓄える、集める)場所のことです。花きにおいて、産地から市場への出荷に至るプロセスは、実は様々なパターンがあるのですが、運転手さんの拘束時間を規制内に収めるモデルとして考えられているのが、集荷から中継のストックポイントまでを一工程、ストックポイントから市場までを一工程と分割するというモデルです。物流の工程を分けることで運転手の拘束時間が規制を超えないようにするものです。

 さらに業務を効率的にするのが、上記②に掲げるパレットや台車の導入と出荷容器の標準化です。「標準化」には意味があります。一般に物流の効率化を図るには運搬効率が良く、さらに積み込み積み下ろし作業を効率的に行うようにすることが欠かせません。国内の花き流通はトラック輸送がほとんどであることから、トラックへの積み込み・積み下ろしが効率的に行える方法を選択するのが合理的です。

 トラックへの積み込み効率を考える場合、トラックの荷台箱の容積を無視することはできません。大きさは、道路の広さなどと関係があり定められたサイズ内で作ることになっていますし、そのトラックの箱のサイズに適したマテハンとしてパレットもJIS規格が用いられています。一般にパレットサイズは様々であるものの、JIS規格に認定されているのは11(イチイチ)型と呼ばれる1100mm×1100mmの正方形のサイズです。このサイズのパレットであれば、およそどのような幅のトラックにも効率的に乗せて荷物を運ぶことができます。このパレットサイズをベースに花きの出荷容器を設計することは合理的なことと思います。

 農林水産省が花き流通標準化ガイドラインというものを2023年4月発表しておりますが、そのガイドラインにおいて、11パレットとそのパレットサイズに適合した花きの出荷容器が提案されております。
※提案はこちら

 ガイドラインで推奨される切花出荷用の横箱は4タイプあります。大田市場に展示がありますのでご来場の際はぜひご覧ください。4種類あるのは花きが多品種で、その流通サイズもさまざまだからです。そして、4種類の箱の高さに規則性を持たせることで複数のサイズの箱を摘み合わせても高さをそろえることが可能な設計になっています。1つの生産地において、出荷品目が1つということはまずなく、多くの生産地において複数品目を出荷されていますので、それらをパレットに積載した場合に、箱の大きさがバラバラではトラックの容積を効率よく使うことができません。そこで箱の大きさに規則性を持たせることで様々な品目を積みつけたとしても、無駄なスペースが出にくいようにしてあります。

 また、ストックポイントを利用した物流においては、A産地の商品とB産地の商品が合流し、積め合わされる場合においても同じように規則性のある箱サイズの方が容積に対する効率がよく、積みやすいのです。

 物流効率化について考える場合、生産地から市場までの流れ、全体を俯瞰してどのような対策が必要なのかを色々と考え、テストする必要があると思います。今期中に、各市場は生産地さんと連携してテストを行い、2024年問題をクリアし、日本中に花が適切に届くよう物流体制を整えているところです。

株式会社大田花き花の生活研究所
代表取締役 桐生 進