コロナ禍後、花き業界は今、目標達成までの三分の一くらいから、疲れを感じ始めたところ…
花き業界
お釈迦様の誕生日だけでなく、みんなが生まれた日には誕生花があり、その花をプレゼントするとより深い想いがその人に伝わるだろう。私も、実際には花を手向けてはいないのだが、父・母の誕生日の時には二人を想い出す。祥月命日よりも、誕生日の方が深い想いにふけるのは何故だろうか。そういえば父はどんな食べ物が好きで、花は何が好きだったとか、母はどうだったかとか、そんなことが想い出されるのである。
以下は一卸の大田花きの毎日だ。きっと皆さんの会社も同じだと思う。
卸売市場の立場からの需要喚起は、買参人、生産者と共にある。大田花きを利用いただいている小売店がもっと繁盛するような店づくり、商品づくりを一緒になって考える。あくまでも仕事の目的は大田花きから買ってもらうことではなく、その生花店がもっと売れる店になること。そのための手段として大田花きから仕入れていただいている。生産者に出荷いただくのも同様だ。どんなものがどんな消費者に買ってもらえるか。その時々の多岐にわたる需要を分析し、その生産者の得意技を生かして生産いただく。作られた商品をお預かりし、需給バランスを考慮して買参人とチームを組み消費者に販売する。このように仮説を立てて日々努力をしている。その経過の中で相対の相場決定や、セリ取引での相場決定がある。この相場決定もとても大切な仕事だ
花き業界の仕事は花で人々に幸せになってもらうための仕事だ。全てが利己的ではなく、人の為を想う仕事だ。もっと花を買ってもらえるように、使ってもらってその場を華やいだものにしてもらうために、大田花きの全社員は、平凡だが当たり前の努力をしている。努力と言っても嫌々やっている訳ではない。例えばハードなトレーニングであっても、今度の試合に勝つためにするのであれば、辛いけれども辛いことは何もない。また、食後に皿洗いをするのも、「なんで自分が」と思っていたらツマラナイ作業になってしまうだろう。「友人のため」「家族のため」と思えたら、努力でやるというよりも、むしろ楽しいことに繋がっていく筈だ。あらゆる仕事、あるいは作業が心で決まる。私は社員に「何でも面白がってやりなさい」といつも伝えている。心と身体は一体だからだ。面白がってやれば努力は「辛い」より「面白い」になる。
よく言われるように、目標があると上手くいく。目標達成までの道で、三分の一まで進んだところから辛くなってくる。そして三分の二を過ぎて、あと残り四分の一まで来たところ、ここが一番大変だ。このように人は出来ている。これが分かっていれば、辛い局面でも「そういう場面だ」と思い、集中を切らさずに目標に向けて仕事が出来る。花き業界も同様だ。農水省は2030年の花き産出額4,500億円、2035年の6,500億円を目標としている訳だから、ここに向かっていかなければならない。しかし、ここから先、特にあと四分の一までいったところが一番苦しいだろう。でも、大田花きはしっかり走っていきたい。その為にも、日々、人に役立つ仕事を確実に繋げていく。凡事を積み重ねていく。このようにしたいと思っている。
日本は国を挙げて「人を大切にしていく経営」で日本の良さを引き出していこうとしている。その中での花き業界の在りようはどうなっていくだろうか。仏花需要を除いた個人需要(家庭需要・パーソナルギフト)は、全体の三分の一の需要量に増えてきた。ここが不確実性の世の中で一番難しいところだ。しかし疲れを感じ始めたが、それでも仕事に取り掛かり、不安を感じながらも信じて、挑戦して前に進んでいく。
投稿者 磯村信夫 17:15