「市場流通の人の問題をどうする」を来期セミナーの主題に。

花き業界
 先週の10日(土)、市場流通ビジョンを考える会※①幹事会が開催された。改正卸売市場法見直しの年である「2025年問題※②」の議論の他、来期のセミナーで取り上げたいことを幹事の間で話し合った。卸売市場でも、働き方改革や賃金問題、「セリ時間をもっと柔軟にして良いのではないか」といった議論、セリ時間を自由にするための定温庫等の鮮度保持対策、DX化の推進等、課題は多く蓄積している。その中でも話題に上がったのが、人手不足問題だった。

 今の時代、テレビCMを見ていても、転職会社のCMが目立つ。誰もが「人は財産だ」と言うが、生産、運送店、仲卸、加工業者、小売店まで、どこをとってみても人材不足で悩んでいるところが多い。首都圏はまだマシで、地方はより一層厳しい現状だ。どのようにこれらの問題を解決していくか。卸売市場であれば、卸売市場間の品物のネットワークだけでなく、お互いの社員の出向等、人の行き来も必要ではないだろうか。また、中途社員のリカレントや、採用のノウハウを勉強、共有することも出来るのではないだろうか。

 地域における卸売市場の存在意義については、「マーガレット・ホールの法則※③」や「ロナルド・コースの理論※④」等、基本的な「市場流通はどこよりも効率的に出来る」という経済的なメリットがある。それ以外にも地域文化の発信・供給基地としての存在意義を伝えていくことも必要だろう。さらに、総菜まで作る青果・水産市場のように、花き市場でも花束やアレンジ等の最終商品を市場内で作れるように設備し、新たな機能を発揮させていく。そして、道州制の地域別での地産地消の為に、卸売市場の存在は欠かせない。以上4つを前面に出していくべきではないかと、10日(土)の会議で提案した。会議ではもう少し掘り下げた議論が展開された。卸売市場流通が今後とも日本に欠かせないものになり、地域の生活者に役立てるよう、セミナーを開催していきたい。

※①「市場流通ビジョンを考える会
東京聖栄大学の藤島先生が中心となり、青果・水産・花きの卸・仲卸有志が幹事になって進めている勉強会

※②2025年問題
2018年に卸売市場法の改正が行われたとき、施行後5年で見直すとされたが、2025年がその5年目にあたる。どのような影響があるかは定かではないが、20 世紀の卸売市場行政には明確な一貫した方針があったのに対し、21世紀の卸売市場行政には確固たる方針が見出し難い。再整備期に入った中央卸売市場や地方卸売市場にとって、これからも行政府とともに新しい機能を持った卸売市場を作っていけるよう、業界側が率先して見直し方向に関する要望、あるいは市場流通の望ましいあり方等をまとめ、国や地方自治体に要請することが必要と考えられる。

※③④マーガレット・ホールの法則及びロナルド・コースの説明はこちら


 投稿者 磯村信夫  13:10