社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2024年05月13日

最大の家庭需要である母の日を終えて一段落。花き業界は次のフェーズに


 昨日の5/12(日)は母の日だった。2010年代の一時は、人口ボリュームゾーンの団塊世代がそのお母さんに贈る。子ども世代の団塊ジュニアが団塊世代に送る。このダブルの花のプレゼントの大きな需要があった。今、団塊世代のお母さまは亡くなっている方が多いので、「母の日参り」をする人もいるが、母の日のプレゼントは少なくなった。また、団塊ジュニアからの花等のプレゼントは、いつのまにかニュアンスカラーやピンクの花が多くなり、鉢ではアジサイも多くなってきた。団塊ジュニアの子供たち、Z世代やそれ以降の子どもたちからお母さんへは、やはりカーネーションが主力だ。この若い世代は専門店が大好きで、そこで「見て購入する」コトをお父さんとしたりする。

 日本の人口動態と生活者の懐具合を鑑み、今年の花き業界の母の日商戦は「前年比をクリアしたら上出来だろう」というのが大方の予想であった。結果は、専門店は前年をキープ、あるいは、±5%くらいを推移したところが多かったように感じる。特に今年は、お母さんへプレゼントを郵送するより、直接会ってコト消費のプレゼントの形が多くなるのではと予想されたため、ネットの販売は1~2割減を想定していたが、この業態も結果はまちまちだった。「こういう時こそ」と積極的に打って出たところは、二桁以上の伸びを示した業者もあった。暦年19週(5/5~)の頭から、ネット販売業者の注文は多くなったが、ゴールデンウィーク中が早割をしてもさっぱりだったため、商品の手当てが押せ押せになった。
 5/10(金)から5/12(日)の3日間、専門店の店頭は賑わった。当日のお昼には「カーネーションの切花が足りない」「バラの切花が足りない」等、母の日メインの花材が足りなくなって、仲卸やチェーン展開しているところでは、分けてもらえる店舗に取りに行く等といったこともあったそうだ。
 以上が首都圏の母の日商戦の模様だ。本日、セリ場にいらっしゃった生花店の方にお会いした時も、日頃の何倍も働いたから疲れているだろうが、本日は天気が悪いにも関わらず、晴れやかな顔をして元気に市場に来ている様子が見て取れた。春から初夏にかけての花き業界最大のイベント・母の日。今週の「遅れてごめんね」需要を除いて、一段落した。これからは梅雨、夏に向けての需要の取り込みだ。

 5/11(土)、とあるいけばな流派のお家元の継承会に参加した。その際、参加されていた各流派のお家元や副家元から、「今年、花は菖蒲やカキツバタが本当に不足していて困りました」とお話しいただいた。首都圏では、かつての大産地・伊豆の河津での生産が無くなり、埼玉県の吉川が少し、メインの愛知県の立田、そして一部京都、熊本等に限られている。カキツバタは千葉県の小糸が頑張ってくれていて、茨城県や福島県にも新産地を求めているが、ウイルスの問題等で中々生産が増えない。また、試験所や普及員の方のお力を借りないと、新産地を作っても製品化出来ないことが多い。

 菖蒲やカキツバタに加え、いけばなの花材に欠かせないものに、千両が挙げられる。今、年末の千両の消費減退をストップさせ、ますます縁起物として使ってもらえるようにするプロジェクトを始めている。七草が終わるころ、また15日の小正月になると、実がぽろぽろ落ちてきて片付けるのが大変だと言われる千両。どうすれば実が落ちるのを少なく出来るか。品種の系統や前処理、作り方等々、様々な角度から検討している。一部の量販店では、正月花束に千両の代わりに、ケニア産等のヒペリカムで代用するところが出てきた。お正月は門松を立て、年神様が家に来て今年一年の無病息災を祈り、お祝いする。この日本古来の伝統行事でもあるので、外国産のヒペリカムでは味気なく感じてしまうのは気のせいか。

 花き文化を保持し発展させていくために、いけばなの先生方と(また、フラワーデザインの先生も含めて)一緒に、花市場は生産地の代弁者として取り組んでいきたい。いけばなの先生方は、地元の生花店にお稽古の花材を導入してもらっていることが多いと思う。その生花店が仕入れている卸または仲卸に、あるいは、直接、山切りの人がいるかもしれないのでその方に、コミュニケーション取って欲しい。その地元市場にいつもとは言わないが、生花店と一緒に、または買出人として行って、いけばなをする花材を自ら選んでみて欲しい。納品業者・生花店は、市場といけばなの先生方の仲介役を担って欲しい。是非とも、花市場とともに伝統文化がいつまでも続くよう、協力していただけると有難い。


 投稿者 磯村信夫 12:36