産地ウンチク探検隊 生産者が語る花に対する熱き思いをご紹介します。

2022年01月27日

vol.135 志木フラワー様:埼玉県 ヒアシンス


今回は突然ですが、なれそめ(≒経緯)からご紹介いたします。

■なれそめ(≒経緯)
ある寒い年の2月14日フラワーバレンタインに、ウンチク探検隊は眉毛濃いめの素敵なジェントルマンに、4寸ポットに3球入った素敵なヒアシンスをいただきました。
嬉しかったこともありますが、何より目の前にあるそのヒアシンスに驚かされました。開花前の球根3球が4寸ポットにバランスよく並んだもので、いただいた瞬間にその球根の大きさとぷっくら加減にびっくり仰天(◎-◎;)!!

IMG_6810

IMG_7055

さらには、上がってきた花芽があまりにも密になってたくさんついてギューギューに詰まったツボミが姿を見せて二度めの仰天。(◎-◎;)!! (◎-◎;)!!

IMG_6984

IMG_6985

おまけに、そのツボミが全部開ひらいたらその発色の良さと形の揃い、大変素晴らしい芳香を放ち、且つ長持ち加減に三度めの仰天。(◎-◎;)!! (◎-◎;)!! (◎-◎;)!!

IMG_6981

IMG_7075

「こ、このヒアシンスはどちらの産地さんなのですか?」

と贈り主に聞いてみますと「埼玉県の志木フラワーさんのだよ」と。
気づけば、大田市場の仲卸通りにこの時期ずらりと並ぶヒアシンスの多くは、志木フラワーさんのではないか!w(゜o゜)ww(゜o゜)ww(゜o゜)w

IMG_7045

IMG_7046

IMG_7050

鉢物を扱う大田花き担当者に聞くと
「志木フラワーさんのヒアシンスは一目でわかるね。ラベルを見なくても、志木さんのと特定できる。そのくらい際立って素晴らしい商品だよ」

いままでウン探は数々の素晴らしい生産者さんをご紹介してきたつもりでしたが、まだまだこんなにも非凡で注目すべき生産者さんが、しかも大田市場からスグソコの埼玉県志木市にいらしたとは。ウン探もなかなか日々ぼんやりと過ごしてきたものだ。
・・・と猛省しつつ、慌ててやってきたのは埼玉県志木市にある志木(しき)フラワーさま。
ひっさびさのウンチク探検隊リアル取材は、美しいMt.Fujiを見ながら、志木(しき)市を訪れました。
IMG_6836

こういう富士山を見ていると、英語で「山」の代名詞としてShe(彼女)と女性の代名詞を使うのは、なんとなくわかるような気がします。
※いや、実際に登るとわからなくなります。

志木市はこの辺↓
mapsiki

首都高の浦和南で降りて、人気の秋ヶ瀬公園と彩湖・道満グリーンパークの間にかかる秋ヶ瀬橋を通り荒川を渡ってすぐソコ。埼玉県でも東京都との県境寄り。チカ!

チカくて都心部へのアクセスがeasyなだけに、東京のベッドタウンとして繁栄し続ける志木市。人口約7.7万人の住宅街の中にひときわ広い敷地を確保してヒアシンスの球根栽培・出荷をされている生産者さんを訪問しました。

ヒアシンスのご出荷なら、生産量、認知度ともに日本一と言っても過言ではありません。水先案内人は専務取締役の金子竜(かねこ・りょう)さん。

IMG_3786
※お詫びと追加情報:写真撮影が下手すぎてすみません。写真から受け取る印象よりももっとにこやかで明るく優しい印象のお方です。

本日はご案内お願いします!!!

■基本情報 その1■志木フラワーさま
所在地: 埼玉県志木市
設立: 昭和55年
従業員数:約20名
主な生産品目:ヒアシンス・チューリップ・カラーなどの球根植物ポット商品
面積:全体で約1ha、ガラス温室10棟


■基本情報 その2■ヒアシンス
学名:Hyacinthus orientalis
分類:キジカクシ科ヒアシンス属
原産地:トルコ南部、シリア、レバノン周辺(小種名のorientalis)は「東方産」の意味。
オットマン帝国時代から500年以上に渡り人々に愛され栽培されてきた植物です。
1596年に欧州に紹介されました。※諸説あり、1585年としているものも。
チューリップと前後して欧州に紹介されていますが、注目されるようになったのは18世紀半ば、さらに1890年ころには球根植物の中で最高の位置を占めるようになったのだとか。 大輪で密集した大きな花序をつけるダッチヒアシンスと呼ばれる。日本への渡来は江戸時代末期の安政年間(1854-1859)。「ヒヤシント」と呼ばれていた。

志木フラワーさまがなぜヒアシンスを手掛けていらっしゃるのかは後程ご紹介するとして、なによりウン探がうかがいたかったことをいきなり切り込んじゃいます!


★志木フラワーまんの球根はなんでこんなにぷっくらジャイアント?
普通の球根よりひとまわり大きいように思うのですが、どのようにしてこんなに大きくするのですか?
IMG_6811

「これは注文でこのサイズをお願いするんだよ。例えば球根の円周で15-16cmのものを幾つくださいってね。もっと大きいものも注文すればあるけど、全体のバランスを考えてこのサイズにしている。球根はオランダで作っていて、日本の代理店を通して仕入れるんだよ。」
IMG_3759

球根の胴回り、15cmもあるんですね。どれどれ・・・?¬д¬) 。。。
テープにメモリを入れて球根に巻き付け測ってみますと・・・


ほんとに15cmだった~!
6987

IMG_7072
↑3つの球根の中でも大きめサイズを緩めに巻いています。

「もっと大きいものも指定するのは可能だけど、この4寸ポットに3つ入れてバランスよく仕上がることや、消費者の皆さんが買いやすい価格帯の商品づくりとしては、これがベストなんだ。
でもオランダからの球根の仕入れにトラブルはつきもので、毎年何かしら心を砕くよ。」

球根の仕入れにトラブルはつきもの・・・・この一言に金子さんのご苦労が凝縮されているように思います。
チューリップの球根を仕入れたら、カビなどで8割が使えなかったとかということも過去にはあったそう。

「カビや腐れが多いんだけど、チューリップの場合は“ブラインド”と言って、そもそも花芽がなかったり、花芽が上がってきてもシケちゃってシワシワになって咲かないとかそういう問題が多いんだよ」
IMG_3710

↓チューリップのツボミがシケちゃう現象
IMG_3712

本来ならピンク色なりに色付かないといけないタイミングで小さくしわっしわのツボミでもう全く元気がない感じ。こういう現象見たら、ほんとショックですよね。

とりわけ昨年、今年コロナの影響もあって大変だったのではないかと想像しますが・・・?
「いつものタイミングから5週間納品が遅れたよ。何とか巻き上げてそれでもいつもより3週間くらい出荷スタートが順遅れになってしまった。しかもその遅れは現在進行中でね・・・」

納品が遅れたのは、やはりコロナの影響が大きいのですか?
「コロナの影響も大きいし、それだけじゃない。例えば今年は“花芽の確認ができないので出荷できません”と言われてしまってね。天候不順(雨が多くて寒かった)が理由だったようなんだけど、出荷が1週間遅れたんだ。
過去に経験したことがないから出荷予定も分からないと言われたくらいだったよ。それに加えてコロナの影響があって、経由地でコンテナ渋滞があったりして、いつも以上に輸送に時間がかかったりしたんだ。 通常なら12月初旬には店頭に並ぶようにうちから出荷したいんだけどね」

IMG_3718

では到着したときには、遅れを挽回すべく慌てて植え付けですね??
「いやいや届いた球根をすぐに植え付けるわけじゃないんだ。
いくら遅れてもね。絶対にやらないといけないことがある。」

え?“絶対にやらないといけないこと”・・・?「(゚ペ)
球根届いて、すぐに植え付けないのですか?遅れて到着したなら、なおさら急いで植え付けたくなるのが心理のように思いますが・・・。

すべて検品、選別するんだよ。
等階級を指定しても良し悪しは混在するからね。そのまま検品せずに植え付けたらお店に並ぶ品質もバラバラになってしまう。品質にアタリ・ハズレが大きいものだとしたら、生活者の皆さんを裏切ることになってしまうし、買った方だってもう嫌になって買わなくなっちゃうでしょ。買ってくれた人を裏切らない地道な検品が重要なんだ」

IMG_3748
球根の良しあしを外観で見分けるポイントなどあるのでしょうか。
「あるよ。分球しちゃっているものや玉しおれ(球根が萎れているもの)、あるいは、球根が出る軸の根本が十二単のようになっているものはNG。」

十二単??•́ε•̀)ぇ?

junihitoe1

「十二単の襟元のように球根の皮が割れてVの字に折り重なっていることだよ」
juuni

ああー、ホントだ。

3705
↑こーゆー感じ。

小野小町の襟元を想像すると、確かにそんな感じの現象ですね、コレ。わー、なんだか急に球根が小野小町に見えてきた(・ω・;)
「十二単現象」とウン探が勝手に命名したいと思います。

「それが全部だめというわけではなく、ここまではOK、ここからはNGと線引きをして植えていくんだ。 ひとつひとつ目視で検品するんだよ。
良いものと規格外とに分けていくけど、規格外と判断したものは捨てるわけではない。栽培してどのような現象が出るかチェックするし、あるいは別のどのような規格で出荷できるかを検討する。 そして規格外だったとしても、その商品価値はあくまでも生活者が決めるんだ。私たちがNGと思っても、それがむしろよしとされる場合もある。評価は世代や時代によっても異なるしね。

IMG_3707
↑※規格外のものも植え付け、どのように成長するか観察する。

もし無選別に植え付けたり、NGの規格外を廃棄してしまったら経験の蓄積にならないでしょ。選別は規格統一のほかに、経験の蓄積のためでもあるんだよ。これは球根栽培で最初の重要ポイントだね。」

今年の品質はいかがでしょうか。
「今のところはまずまず。花芽が出ないという第一報には不安になったけど、その分オランダでよく選別されているのか、届いた球根はどれも良いようだよ」
一球ずつ品質チェックして選別すること、この仕事の丁寧さが志木フラワーさまの品質をより信頼のあるものにしているですね。


★その球根、どーするの?
選別、合格した球根は4寸ポットに植えられます。
こんな感じのポットの形。
IMG_3684

これは志木フラワーさんのオリジナル。
この形、このサイズのポットにおっきめヒアシンスの球根3つという黄金バランスにたどり着きました。
IMG_3747

「球根3球がきれいに入って、全体のバランスが取れて、冷蔵の作業性、ポットの製造可能性など考慮して、メーカーと散々商談を重ねて、やっとだよ。このたどり着くまで結構苦労したんだ。」

とおっしゃるのは金子正(かねこ・ただし)会長。志木フラワーの創業者です。
IMG_3697

昭和40年代、20歳そこそこで花のビジネスを始め、ご苦労が多かったと。このことについてもまたこのあとでご紹介いたします。
さて、このポットの工夫は形だけではありません。
ポットの色も花の色に合わせています。ラベルには何色の花が咲くか示されていますが、このポットの色を見ればラベルを見ずとも、何色の花が咲くかわかるのです。花が咲く前に商品を選ぶ必要のある消費者への最大限の心配り。これも金子会長の優しさとアイデアです。
だからこそ、外観を見ただけで「あ、コレ、志木フラワーさんの!」と瞬時で判別できるのですね。
でも金子専務、ポットに植えてスペースも取ると思うのですが、どこで管理するのですか。

「植えたらまず冷蔵庫に入れるんだよ」

選別した球根はバランスよくポットに植え付け、冷蔵庫に入れます。
fridgeHOME

冷蔵庫ですね!↑こんな感じでカラフルなポットが満杯に入っているのでしょうか。拝見できますか??

「いいよ。」
はい、こちらですね。この作業場の中にあるのかな?
IMG_3723

IMG_3724

「はい、これが冷蔵庫。」

IMG_3739

はい、これがれーぞーこて、えぇーーーーーー!!!!(;゚д゚)ェ…
建物の一角が冷蔵庫かと思ったら、この建物がまるごと冷蔵施設でした!
3723

金子専務のお姿↓でサイズをなんとなく掴んでいただけるかと。
3739

ぬぉおおおおおおおおー!Σ(`0´*)ヌォΣ(`0´*)ヌォΣ(`0´*)ヌォΣ(`0´*)ヌォΣ(`0´*)ヌォ!!!
中に入るとこんな感じ。
IMG_3736

IMG_3729

想像以上、冷蔵庫。
ファンもたくさんある!冷蔵庫っていうか、冷蔵倉庫。デカッ!

「一つの冷蔵庫で6万ポット管理できるんだ」

IMG_3734

冷蔵庫が二つあるから12万ポットを管理できるということですね?
「そういうこと」


ん?冷蔵庫の上にずらりと並ぶあのスポンジ、ナニ?

IMG_3741

「冷蔵庫に入れているときの押さえに使っているんだ。」

押さえ??
「ヒアシンスは冷やしているときに根がぐいぐいと生長するんだ。つまり寒いときが根の成長期。
根の成長が旺盛だから、押さえていないと球根が浮いて、まるで火星人になってしまうんだよ。
・・・・火星人、見たことないけど(笑)」

か、火星人出没!!?Σ(ОД○*)
kaseijin1129550

この冷蔵倉庫に?そら大変です(((((°°;)
つまりどういうことかというと、上から軽く押さえないと根が伸びて立ってきてしまい、球根がどんどん浮いてきてしまうのだそう。その姿はまさに火星人を思わせるのだとか!
通常は土の中に植わっているので、浮きを押さえるのは土の役割。でもポット商品では土がなく球根が浮いてきてしまうので、土の代わりにスポンジを置いて浮くのを押させるということなのです。
IMG_3727

IMG_3735

このスポンジは火星人の襲来を防ぐ重要な役割を担っているのです。
もし火星人が襲来したら?
「売り物にならない。火星人は売れないよ、さすがに」
ですよね・・・。
zeroyen
「スポンジを忘れたらすべて売り物にならなくなってしまうんだ。だから1ケースずつスポンジを入れて冷蔵庫で管理する」
これはなかなか繊細なお仕事ですが、これも地道に積み重ねていくことで、火星人の襲来を未然に防ぐことができるのです。
マニュアル上は、この冷蔵倉庫は9度で管理、10週間入れて冬を感じさせます。球根が「あー、今冬なのね~」と思っているときに根(火星人の足にあたるところ)がギュインギュインに伸びるのです。 球根を先にポットに定植してから冷蔵庫に入れる理由はそこにあったのですね!

「チューリップの場合は球根を先に冷蔵処理して、植えたいときに植えるんだけど、ヒアシンスは冬を感じさせると発根し始めるので、これらの性質を考えると先に土に植える必要があるんだよ。 球根のまま冷蔵すると腐っちゃうんだ
うげっ!く、腐るΣ(*゚Д`;)??

なんでまた?

「ヒアシンスの特性でね、冬を感じると、翌春に向けて根が動き始めるんだ。
その時に土がないと発根した根の生長点が腐って、そこから腐りの菌であるフザリウムやピシウムなどが入ってしまい、ダメになってしまうんだ。 そこで定植してから冷蔵庫に入れるんだよ」

先ほどこの球根が外に出ていたのを見かけましたけど、なぜ?
IMG_3777

IMG_3778



「最初はスポンジで押さえているけど、芽がこのくらい出てきたら、
IMG_3719

今度は芽の先が傷んでしまうので、スポンジを外すんだ。外してまた冷蔵庫に収める」

ここまで成長するともはや火星人は襲来しない(浮かない)のです。スポンジを施すのは全く芽が出ていないとき。芽が出たらスポンジを外す。ヒヤシンスってそういう特性があるのですね。

「本来、土の中にずっと植えてれば、そういう必要はないんだけど、意匠性、デザイン性を出すためにこういう仕組みにしているんだよ」

2回冷蔵庫に出し入れして、出荷に合わせて温暖なハウスに移動します。丁寧なお仕事ですね。
IMG_3751

そんなふうに丁寧に地道に一つ一つの作業を重ねるからこそ志木フラワーさんの品質が維持されるのですね。

だからこそ、この根ですよ。
IMG_3762

次のチャプターへ続く。


★ツヤッツヤの根!(火星人の足はこんなに白かったのか!?編)

驚かされるのは球根の大きさだけではありません。
ジャン!
IMG_3760


IMG_3763

うっひょーーーー!このナイアガラの滝のようなのような真っ白に流れるこの根の張り、根回り、想像以上。
↓ナイアガラの滝
962170

「発根がいいでしょ。」 はい!
ていうか、この根の白さとツヤ✧*。✧*。
BIG BOSS新庄監督の歯か!ってくらい。
tooth

IMG_6807

と突っ込みたくなるくらいですが、歯(は;葉)ではなく根です。
このまま食べられるんじゃないかと思うくらい、めちゃくちゃツヤッツヤなんですけど?
※食べないでください。お腹空いてもだめですよん。

「下から見るとこんな感じ」
IMG_3764

うぉ~!ナイアガラの滝のような根はポットに収まりきらず下からも出ているのであった~。

「すごい“根量”でしょ」
これも冷蔵庫での管理も良く、球根に力があることを示すひとつの証左。生活者のみなさんは、お花屋さんで許可をもらえれば鉢の下から根の出具合をチェックしてみるのもいいでしょう。(でも逆さまにしないでね♪下から覗いてくださいませ~)


★良いヒヤシンス(球根)の見分け方 ~店頭編~

生活者のみなさんが良いヒアシンスの球根を見分けるには、どこを見たらいいでしょうか。
「軸の太いものがいいね。」

軸?
軸って芽のことですか?
「そうだよ。球根から“きのこの山”か“たけのこの里”(←株式会社明治の大ヒット超ロングセラーチョコ菓子です。ご存じですよね?)みたいに山なりに出てきた芽の軸が太いものがいい。球根の直径は選別してあってだいたい同じだから、球根に対してゴン太の芽が出ているのを選ぶのがおすすめだよ」

IMG_3746

ふむふむ、なるほどこうして上から球根を見てみますと、球根の直径に対して軸の直径が大きいものと小さいものがありますね。この軸の直径が大きいものを選ぶといいわけですね。 IMG_3754

軸太(ジクブト)球根を選ぶべし!

そしてウン探は気づきました。
“球根の色が違う!”
はっ!!Σ(oдΟ;)!!!
IMG_3770

IMG_3771

もしかして、花の色と連動していたりしますか。スイートピーのタネが確かそうだったような・・・
「だいたいだけど関係しているよ。
紫、青系はやはり球根の外皮が赤紫で濃いめ。濃いピンクもやはり赤紫で濃いめ。
IMG_6809
白い花のヒアシンスはやはり球根も白い。

↓これ、白ね。
IMG_3756

黄色、クリーム系の球根は白と同様に白っぽいんだけど、パールがかっているんだ。
↓(写真ではわかりにくいけど)パールがかったこれが茎色~クリーム色。
IMG_3731

少し光っている感じというかね。実物を見れば誰でもよく見分けることができるよ。」

なるほど、球根の色から何色の花が咲くかだいたいは予測できるんですね。
でも、志木フラワーさんの商品にはすべて開花時の写真が付いているので、球根の色で見分けなくても、何色が咲くか一目瞭然。店頭ではお好みの色を選んでいただけます♪

IMG_3747


【良いヒヤシンスの見分け方 まとめ】
・店頭で選ぶときはジクブトを探そう!
・お花屋さんから許可をもらって、鉢の下から根の出具合を見てみましょう。ポットの下から白い根が出ていたら、力のある良い球根の証拠です。
※でも逆さまにしちゃイヤよ~ん!
・球根の外皮の色は花の色の目安になる!咲く花の見本ラベルが付いていますが、参考まで!


★志木フラワー様に勤続25年以上のアベさん

こちらの素敵なご婦人はアベさん。四半世紀以上に渡り志木フラワーさんにお勤めです。
IMG_3775

金子専務がこの業務に就く前から志木フラワーさんにお勤めの超ベテランさん。

金子専務曰く
「私が教えてもらうことも多くてね、私が球根を植え付けていると
“竜さん、これダメじゃないですかー”
とダメ出しをもらうこともあるくらいだよ。凄腕の方です」

志木フラワーさんで働く魅力は何ですか?
「(ヒアシンスに限らず)球根の状態から自分で植えて、大きくなって花を咲かせたところを見ることができるのは楽しいですね。それが何より楽しくて」
IMG_3776

生き生きとした表情、ツヤツヤとしたお肌、アベさんがやりがいを持って楽しくここで仕事をされている様子が良く伝わります。きっと従業員さん全員がそのようなお気持ちでお仕事をされていることと思います。


★なんでまたヒアシンス?
金子さんは先祖代々代々・・・代々、それこそ江戸時代に遡るまで、ここ武蔵の国(中でも三芳町や川越など)で農業を営んできました。
ここ志木市でも金子専務のご祖父様まではお米専業だったそうです。
それを現会長の金子正さんが兼業で花を始めました。またなんで花??
「会長に聞いたことがあるんだけどね、お米は1年に1回しか収穫期がないでしょ。高度経済成長期にあってお米だけではどうだろうと思ったけど、このあたりは田んぼだから水が溜まってしまって野菜は作れない。そんなときに花の時代が来る!とピンと思ったそうだよ。
わたしはなぜ切花ではなく鉢物を?と聞いたんだけど、
“わがんねぇ”って言ってた(笑)
お米を作りつつ、花壇苗などの施設栽培と両方やっていたんだ。」

IMG_3781
なぜヒアシンスなどの球根にしたのですか?
「“ほかのみな作っていないもので売れるものは何か”を追求した結果、球根にたどり着いたようだよ」

先にご紹介した会長の金子正さん↓
IMG_3693

この辺は田んぼで会長が社長だった時代3haあったのが、いまは1haになってしまったと会長に伺いました。
市街化区域の線引きと相続とでね、3分の1になってしまったんだ」
「市街化区域の線引き」とは、昭和45年、高度経済成長に伴う人口増加を背景に、無秩序な都市の膨張を防止し、農林業との健全な調査を図るため埼玉県で実施された都市化計画。東京にアクセスの良い志木市にもたくさんの住宅が建ち市街化区域の線引きが行われました。
埼玉県の区域区分制度の詳細はこちら。

住宅街の中でひときわ広く土地を確保していらっしゃいますが、つい数十年前まではこの3倍あって、面積減少の背景には経済発展に伴う都市計画があったのですね。


★10年後の存続を目指して

環境が毎年大きく変わる中、どの企業にとっても存続、継続が最大のテーマとなっていますが、志木フラワーさんにとっても例外ではありません。
「球根代、運搬費、燃料費、人件費、資材費ほか、すべてのコストが上がっていく中でいかに事業を継続していくか、いかにお客様に喜んでいただける商品を生産し続けるかを考えつつ、愚直に仕事を積み上げていくことが大事だと思っているんだ。
うちの従業員さんは少数精鋭。こんなに大変な会社なのに、よくみんな長い間勤続してくれるなと思っているよ。

ウチの会長もよく言うけど、“適当に”やるべきことやることが重要。適当というのは“テキトーに流しておけばいいや”の適当ではなくて、本来の意味通りその目的に適うよう適切な仕事を積み重ねていくということ。それをしないと“花に見透かされる”と思っているんだよ。施した分しか花は咲いてくれないからね。」

IMG_3748


★志木フラワーさま FAQ
Q1 「花が咲いたら、切り取って切花として楽しんでもいい?」
A1 満開になったら切り取って切花としてお楽しみいただけます。むしろ、その方が球根にパワーが残りますので、来春の花のためにエネルギーを幾分温存できるでしょう。
IMG_7082

ということで、咲いている花を1本切り取ったら、足元にもう一つ花芽が上がっていました!ラッキー。さすが力のある球根は違います!
IMG_7079

Q2「来年も咲く?」
A2 咲きます。ただ球根の管理を適切に行うことが必要です。
球根が露出しているままだとなかなか難しいので、プランターに植え替えて土をかぶせて管理すればOKです。※火星人も襲来しません。
プランターなどに植え替えるか地植えすれば、日本の夏でもベランダやお庭で管理していただて構いません。また翌春に花芽が上がりますし、分球しながら増えていきます。
※その志木フラワーさんのアドバイス通り、ウン探が数年前にいただいた志木フラワー様のヒアシンスの球根も、いまだに元気ですし、毎年花を咲かせてくれます!
いただいたときの思い出とときめきを、毎年開花とともに思い出させてくれる素敵な春の運び屋さんです。

Q3「志木フラワー様のヒアシンスの商品タグに“フィンランドのクリスマスは、国中がヒアシンスで飾られる”とありますが、フィンランドでヒアシンスが多用されるのは本当ですか?
A3 本当です。クリスマスのテーブルデコレーションやリースなどに素材としてヒアシンスをたくさん使うようです。
フィンランドの国旗のカラーである青と白に因み、青や濃い紫、白などがよく使われますが、もちろんクリスマスを飾るフラワーアレンジメントにはピンクなど暖かい色も使われます。

日本でもクリスマスの時期に志木フラワーさんのヒアシンスをお楽しみいただけますので、クリスマスにお楽しみいただくというのもいいかもしれませんね。もちろんこれからの季節、バレンタインや年度末のお祝い、送別用にもご利用いただけます。


【志木フラワーさまの格言】
・球根が規格外にぷっくらジャイアントの理由は、その丁寧な選別にあった!

・一球一球検品、選別を行い、規格外も廃棄せずに品質チェックを行う。これが経験の蓄積となり、持続可能な事業を実現に繋がるのであった!

・“花に見透かされない”よう愚直なまでの努力と積み重ねを怠らない継続力が必要。さぼれば花に見透かされるし火星人も襲来する。日々の努力と積み重ねが10年後の志木フラワーさまを創る!

ちなみに、志木フラワー様ではヒアシンスのほか
春:カラー
夏:カラジウム・イランイランの木
冬(今):チューリップ
をご出荷されています。

是非、志木フラワー様の花にご注目いただければ幸いです。

IMG_3716

IMG_3717

IMG_3782

志木フラワーさまのURLはこちら


☆*・。:*+゜゜+*:*・゜゚・*おまけ(´∀`*).。:*+゜゜+*:.。.*:+☆

★「ヒシンス」か「ヒシンス」か?

販売時の表示に悩まれた方へ
英名ではHyacinthと綴ります。日本語に変換したときに、どちらが正解でどちらが間違っているというわけではないでしょう。
しかーし!一応、花き流通業界共通認識をというのがあり、それがどちらか決まっていますので、それを確認する術をご紹介したいと思います。

「JFコード」(「日本花き取引コード」の略)でといって業界の有識者が集まり、花き流通業界ではこの名前で統一しようと公式名を登録しています。正確な表記、名前で登録されているが特徴です。迷ったときはこのサイトでチェックすることをお勧めします。

それによると、この花の正式な表記は「ヒアシンス」とあります。ご参考まででした。


★花ことば
英国では「スポーツ」「ゲーム」、フランスでは「悲しき愛情」「あなたは私を愛する、そして私に死を与える」とありますが、フランスバージョンはあまりwelcomeなフレーズではありませんねヾ(^-^;)
参考文献:「花ことば -花と象徴のフォークロア」春山行生著

そこでウン探幼少期秘話から新しい花言葉の提案です。
子どものころ、よく食卓に上がった春雨の中華サラダ「ハイサンス」と花の「ヒアシンス」の区別がつかなくて混同していましたヾ(^-^;)
2194410

しかし、大人になってよく調べてみるとハイサンスではなく「バイサンスー」だったのですね。このサラダは「バイサンスー」と名前だと教えてもらえればヒアシンスと混同しなくて済んだかもしれませんが、ハイサンスをよく作ってくれた親もまたハイサンスと誰かに教えられたのかもしれません。
花業界に身を移してからも、暫くヒアシンスを見ると昔ハイサンスと呼ばれていた春雨サラダを思い出していました。そして今でも時々。春雨サラダと混同したウン探からすると、ヒアシンスの花ことばとしては「おいしい」でしょうか?
あ、いえ改めまして「香り良く魅力的」にします。

illust2960

文責:ないとういくこ@大田花き花の生活研究所