産地ウンチク探検隊 生産者が語る花に対する熱き思いをご紹介します。

2020年02月27日

vol.130 翠光園芸様【後編】:台湾 トルコギキョウ・ラン類・グラジオラス


台湾の翠光園芸様後編です。
(前編はこちら)

今回は次の3軒をダイジェストでご紹介いたします。

・トルコギキョウ 林さん 嘉義縣新港郷
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・レナンセラ、バンダなど 陳さん 屏東(ピントン)縣竹田郷
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・グラジオラス 陳さん
 嘉義縣六脚郷
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ではまず林さんのトルコギキョウから。
◆トルコギキョウ 「日本で寒い時期のトルコギキョウを台湾で支える絶対的班長!」
トルコギキョウといえば、翠光園芸さまが輸入商社の中で、あるいはあらゆる花き生産地の中においても特異な取り組みをした品目の一つ。というのも一昔前までは「夏の花」「国産」が定石だったトルコギキョウ。とりわけ気温が上がることで必然的に日持ちに問題が出やすい真夏において、華やかなバラに似た輪サイズと姿からバラの代用品としてマーケットで存在感をアップした品目のひとつです。その真夏の流通に強みを持つトルコギキョウが冬場に、しかも輸入のトルコギキョウのスタンダードを築いたのです。

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もちろん冬場に国産のトルコギキョウがなかったわけではありません。しかし流通量は夏場の半分以下。そこに国産の品質と変わらない台湾産のトルコギキョウを投入することで、欲しい時に欲しいだけ使える信頼の周年品目に押し上げることに成功したのです。

“当初、マーケットでは結構な抵抗があった”という翠光園芸様。そこを翠光様がどのように切り拓き、現在の花き流通のスタンダードを作り上げたのか、その一端を見てまいりましょう。

【基本情報】

・生産者 林元茂さん
(リンさんです。はやし・もとしげさんではありません。台湾のお方です!くれぐれも。以下、「林さん」)
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・場所 嘉義(かぎ)県新港郷(しんこう・きょう)
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・生産品目 トルコギキョウ (品種数17)

・冬場の最高気温25度、最低気温15度前後
新港というこの地域は日照量が多く、夜温もしっかり下がるので花き栽培に適した気候。なるほど、圃場には冷暖房がありません!
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「1-2月の台湾はトルコギキョウにとって季咲きの季節なので栽培に最適なんです」
と友美さん。
でもどのようにして、台湾におけるトルコギキョウの栽培技術を確立したのでしょうか。
大きくは3つ。

1. 日本の生産者さんに指導を請い、まず自ら(商栄実業様)が技術を習得する。
台湾で生産者さんに技術指導を行う商栄さまの従業員が、日本の生産者さんに弟子入りをして技術を習得。積年に渡り指導を受けました。
「今や日本の生産者さんにもお墨付きをいただけるほど、しっかりとしたつくりができるようになりました。嘉義に自分たちの試作圃場を作って、栽培研究を続けています」
と翠光園芸の友美さん。

2. 自ら習得した生産技術を台湾の生産者さんたちと共有
上記1で習得した技術を惜しみなく生産者さんと共有するということがポイントです。台湾の生産者さんとともに自ら栽培に携わり、生産の苦労も体験しながら技術を共有していきます。お互いの交流を経て信頼関係ができてはじめて本来の技術を共有できるというものですね。


3. 生産現場の管理
技術を習得したら、それで終わりではありません。ずっと商栄実業さまが生産者をサポートしていくのです。

サポートってどんなふうに??
「ポイントはこちらのタグです」
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畝の端にかかっているタグ。これで生産工程を管理しています。

林さんのお名前と生産者番号(11)、品種名(セレブゴールド)、定植した日(10/04)、「一月上旬」は出荷予定日を示しています。右下の数字は出荷予定数量。

翠光友美さん曰く、
「咲いたから出荷しましたという出たトコ勝負ではなく、いつこれだけ欲しいからと逆算して定植してもらい、出荷予定日を目指して栽培してもらいます」

なるほど、マーケットが欲しいときに欲しいものをいかに的確に出荷するかというアプローチですね。

あら?右上のABCDはなんでしょうか。

「生産過程のチェック事項です。ABCDの工程をきちんと行ったかどうか。
Aは、最初の芽かきの日付
定植⇒活着⇒どんどん出てくる脇芽を早い段階で整理する。 早く整理する(取り除く)ことで、養分が早晩取り除くことになる脇芽に分散することを防ぎます。

Bの段階で頂花を取り除き(摘芯)、枝決めをします。
つまりどの枝を残し、どの枝を捨てるか、この段階で姿を決めるということです。

Cの段階で、草丈が伸びてきたトルコギキョウの脇芽と不要な花芽を整理(2回目)。

Dの段階で、花芽の最終整理
確実に残すツボミを見極めて、草姿を整える。

ウチはこれをきちんとやっていただいています。そして、この段階のいずれかがうまくいかなかった時点で、うちは出荷をご遠慮いただいています」

え?w( ̄△ ̄;)っ!

ご出荷、ご遠慮・・・!!
って厳しいようですが、これがあるからこそ翠光様のブランドがあるわけですね。

うーん「(゚ペ)、でもきちんとABCDの過程を行ったかどうかはどのようにチェックされるのですか?

「ヴィンセントたちが行います」

ヴィンセントとはヴィンセントさんのこと。商栄実業の従業員で、日本のトルコギキョウの生産者さんの元に長期研修に出向き、現在嘉義でトルコギキョウの生産指導を行っています。
こちらがそのヴィンセントさん。
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ヴィンセントさんは、日本へもトルコギキョウ栽培の武者修行に出た後、現在は台湾で生産指導を行っているチームのメンバーです。生産者さんを訪れてきちんとそのステージが完了しているかをチェック、日付はそのチェック日だったのですね。チームで生産者さんをサポートしています。
そのチームの功績あり、確かによく揃っていますねー。
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「土がしっかりしていて、この工程をきちんと消化していれば、トルコギキョウのクオリティは揃うはずなんです。
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選花場に持ち込んでから、それらしく形を整えるのではなく、“圃場で作り上げること”が最も重要視しているところです。そうすることで花1本の生命力も最大限に引き出すことができます。」
と友美さん。

たしかに、完成品を引き算して後から整えるよりも、作りながら生命力をどこに注力するかをイメージしながら作り上げた方が、植物が持つパワーを最大限に使えますね。
「そうです。完成品の姿を想像しながら芽かきをしていくんです。」

「ABCD通りに早い段階で芽かきをしてしまえば、決してトルコギキョウの芽かきはそれほど煩わしい仕事ではないよ」
と林さんはいいます。
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株の勢いがあり成長が盛んなトルコギキョウの芽かきはどなたに伺っても大変だとおっしゃいます。
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でも林さんにとっては、それほど苦にしていないようです。トルコギキョウの生産と向き合い22年。
「真面目に花と向き合うことが重要なんだよ。
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苗が悪かったり、天気が思うようにいかなかったりするから大変は大変。土の管理、肥料の管理、水遣り、手間をどれだけかけるか次第。そして、良いものを作るには“少しの運”も必要なんだ。」

「と林さんはおっしゃいますが、ここ数年にわたり大変すばらしい品質のものをご出荷くださっています」
と友美さんは太鼓判を押します。
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翠光さんと一緒に取り組みを始めて、大きく変わってきたことはなんですか?
「良品率が格段に上がったというのが一番大きい変化だよ。結果的に収入も増えたよ❤」ウフ
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台湾の生産者さんの「あるある」が、例えば何か農産物を作ってたまたま売れたとすると、みんなで一斉にその品目を作り始めてマーケットに溢れ、価格が大暴落するというパターンなのだそうです。
とりわけ、特別高い生産技術が不要な品目の場合はそうなりやすいのですが、トルコギキョウはなかなか高度な生産ノウハウがあるので、一朝一夕には林さんのように良い品質で規格が揃ったものを出荷できるようにはなりません。真面目にトルコギキョウの生産に長年向き合ってきた人だけが成せる業です。

それに台湾の政府与党は農業票を大切にしていますが、補助金が出るからといっても、生産者さんとしては何を作ればいいかわかりません。何を作るか決めたとしても技術もなく、売り先もわからず路頭に迷うだけ。
商栄様・翠光様のような生産技術も共有した上で、マーケットを意識した輸入商社が計画的に携わることで、台湾の農業生産者に長期にわたり安定的な収入をもたらすことができるようになったのです。
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生産者さんをサポートして、日本のマーケットに受け入れられる一つの生産品目を確立した翠光様・商栄様の功績は大きいというものです。

「実際のところ、うちのトルコギキョウ生産チーム26軒のうち、当初は良品率約50%でした。しかし、現在は全体の定植に対し70%までアップしたんですよ」
と友美さん。これもマーケットに合わせて生産技術や品種、規格を伝授して、生産者さんと一緒に歩んできた結果ですね。

集出荷場を訪れました。
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予冷庫は温度12度設定。
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圃場で受けて植物体内にこもった熱を取り除くために、4時間から一晩おきます。

次に検品と選別。黙々と検品するのは第三者の立場であるパートタイムの人たち。フェアな立場で検品をしています。
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お陰でほら!この通り!この茎の太さの揃いをご覧ください!!
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10本の茎の太さが見事に揃っています!ぉお!!(゚ロ゚屮)屮

「うちのトルコギキョウに、不要なツボミは一輪としてない!」
という友美さん。
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2花3蕾(「にかさんらい」=開花輪が2つとツボミが3つ)or 3花2蕾が翠光園芸様のスタンダードです。
花の高さが揃い(ツボミや開花輪の花の位置がよく揃っていること)、色、咲きそろい具合が何とも素晴らしいではありませんか。
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予冷、検品が完了したら次は梱包です。

このような水がこぼれにくい簡易バケツを箱の中に固定して輸送します。この水の量にも翠光園芸さまならではのノウハウが隠されているのです。
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「大きく3つのことを考慮して水の量を決めます」
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その3つとは、
1. 季節
2. 気温
3. 花のボリューム


「日本の市場に到着するころには、ほぼ吸い上げているような状態から逆算して水の量を決めるのです。
例えば今ですと、日本は寒い時期なので、バイヤーのみなさまのお手元に届いたときに、無駄に水を残したくないのです。いくらこぼれにくいとはいえ、水を入れ過ぎたらこぼれて箱が損傷する可能性もなきにも非ず。そのようなことを回避したい。 市場のセリにかかるときに、ちょうど水がギリギリ茎についているくらいを想定しています。」

水を簡易バケツに水を充填する様子。
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なるほど、市場でトルコギキョウを受け取った買参人さまは、簡易バケツの水が少なくて心配に思われることもあるかもしれませんが、むしろそれは計算されてその状態になっているということなのですね。

それが終わったらこうして箱とバケツをセットしてパッキング工程に進みます。
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最後はこうして上下を蓋で固定して一つのバンドルとして出荷します。上下のみで、側面の段ボールがないことで、受け取り手のごみの削減になっていますね。
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「夏場の供給が定番だったトルコギキョウだったので、“冬場にトルコギキョウ?”なんて言われて笑われながら取り組んできましたが、今のクオリティに達してからは自信を持って出荷できます」

ひと昔前の夏のバラとまで言われたトルコギキョウの概念を作り変えて、現在ではトルコギキョウの周年流通は当たり前となったといっても過言ではありません。日本のマーケットでの常識を覆し、根気強いお取組みでトルコギキョウの新しいスタンダードを作ったのです。冬場の出荷なら国産と競合しませんし、周年頼られる品目に成長することで日本の生産者さんにもメリットがあるといえるでしょう。

この集出荷場を統括するマネージャーの陳さんにインタビューしました。日頃からあちこち飛び回りお忙しく、取材の日も集出荷場にはいらっしゃらなかったので、テレビ電話で取材。
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う~ん、イマドキ~٩(ˊᗜˋ*)و

日本への輸出の取り組みついていかがですか?

翠光さんと商栄さんの生産者さんへの教育や全体の取り組み情熱を感じています。
生産者さんを日本に連れて行って研修を受けさせてくれたりね。」

陳さんはこの地域のトルコギキョウ出荷に関する統括役。
お話しを伺っていますと、日本のマーケットについてもっと知りたい、何が欲しいのか、どういうものが欲しいのかと言うことに大変興味を持っていらっしゃいました。利用者目線で出荷商品をどんどん良くしていこうという高い向上心を持たれた方なのですね。


商栄さまは的確な栽培指導を行い、農協と生産者さんは真摯に栽培と向き合い求められる品質に達するものを作る、翠光さまは販売に徹底するという関係がしっかりと構築されているのです。
「私たちが求めているのは、輸入と国産の垣根を超えて、多くの方に台湾産の中の翠光トルコではなく、一つの産地としての翠光トルコを認めてもらうこと”なんです」


◆トルコギキョウ 林さんの格言◆

・高い技術を必要とする品目に取り組み、生産と真摯に向き合い、「一斉に作って暴落!」を未然に防ごう!

・生産ステージはABCDで管理。商栄さまと共有しながら、日本のマーケットに適したクオリティを実現せよ!

・規格は2花3蕾or3花2蕾。無駄な頭はひとつとしてありませぬ!



・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・

◆ラン類 ~『信頼の翠光ブランド』を目指した生産者さまとの取り組みとは?~

次は、台湾最南端の県でその気候を生かしてラン類を栽培される陳さんをご紹介します。

【基本情報】

・生産者 陳宏國さん(以下、陳さん)
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・場所 屏東(ピントン)県竹田郷

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台湾は北回帰線上にある世界最大の島。
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北回帰線を超えて、屏東縣は台湾で最南端の地域。ここまでくるとハワイ諸島でもカウアイ島やホノルルのあるオアフ島あたりとほぼ同じ緯度で、気候としては熱帯地域。

こんな風にバナナもたわわになってしまうわけです。
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となれば、得意とする栽培品目も異なってくるのも必然というものですな。

・面積 合計約3ヘクタール
・生産品目 レナンセラ(1.5ha)、オンシジウム(1ha)、バンダ(0.5ha)


こちらが陳さんの看板商品の一つ、レナンセラの圃場です。

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レナンセラは、花がオンシジウムより大きくバンダやコチョウランよりも小さい中型のランです。房状にたくさんの花が付いて花序を形成します。
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レナンセラという花の名前を聞いたことがある人もない人も、“レナンセラ”という名前はその花粉塊の形に由来しています。まず、その花粉塊がタラコかカラスミか?っという形をしていることから、ラテン語で「腎臓」を意味する「レネス」、またその花粉塊が(やく)の中にあることから、ギリシャ語で「葯」を意味する「アンセラ」がくっつき、レナンセラとなったようです。

原産地は中国南部から東南アジア。台湾でもここも屏東の地域では、お家芸と言っていいほど栽培環境が適しています。陳さんの品目の中でもレナンセラが最も栽培面積を多く占めているのです。


「バンダなどほかのラン類も作っているけど、レナンセラがここの気候に最も合っていて、病気にもなりにくいし、歩留まりがいいんだよ」
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地の利もあり、更には陳さんの肥料配合が良いこともあって、花芽が3本同時に上がることもあるほど。
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その上、この輪数!!
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1,2,3,4・・・途中で数えていてもわからなくなってしまうくらいですが・・・結論として17輪!

「とりわけ10月から今くらいまでの時期は、熱帯といえども気温が下がるため生育スピードがゆっくりになること、また昼夜の気温差が出ることで品質もぐっと高まるんです」

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そのほか花弁に広がる美しい天然の網目模様で知られるバンダやオンシジウムのハニーエンジェルを栽培。
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オンシジウムの培地はこんなサイズの石を使用。地域の気候と栽培品目に合わせた通気性や水の蒸散性を鑑みた選択です。
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◆陳さんの商品の競争力の秘密!?
その秘密は集荷場にありました。
熱帯地域では、とりわけ夏場には湿度が上がって品質劣化に繋がってしまいます。そこで、この出荷場では湿度を下げて管理。こんな風に各部屋、区画によって温度と湿度をコントロールしています。
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集荷場内にはこんな標語が・・・漢字表記だけに、中国語を話さなくても意味が伝わりますね。
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この機械↓でバンドルを施すのですが、ビー玉サイズの球はコロコロと回るようになっています。
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重い商品も効率的に移動できるようになっているのです。効率化、省力化、高齢化対策の一つ。

出荷前にこちらの冷蔵庫で待機。
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プラットフォームに冷蔵車が到着すると、外気に触れずに積載できる仕組みになっています。

毎年、陳さんの品質は毎年安定していて素晴らしいのですが、とりわけ今年はレナンセラ、バンダ、オンシジウムともに例年にも増して良くできたとかで、オススメです。
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さて、陳さんのお父様陳文懃さんは台湾のオンシジウム協会の前理事長をされていて、台湾の花き生産の発展に大きく貢献された方。2005年には「神農民」として、傑出した生産農家に与えられる称号を得たすごい方☆
こちらがお父様の陳文懃さん。
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現在もこの地域で「農業班長」を務め、この地域の農業の発展全体を考えるお立場にいらっしゃいます。

また、陳さんのお兄様は大学で観光学を修めた知識と経験を生かして、ラン生産を六次産業化すべく、ウェディング会場やラン生産の現場の見学と直売所を運営し、観光地としての事業展開を行っています。
こちらが陳さんのお兄様。翌日から始まる農業博覧会の展示をされていました。
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観光型のバンダの圃場
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気に入ったバンダの株があれば、お土産に購入できるんです。

そのすぐ隣にあるランの装飾がいかされたウェディング会場。
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池があったり、すいさんが咲いていたり、コイが泳いでいたり、「モネの睡蓮」か「マネの池」かというくらい、そりゃあもう現実離れしたとても幸せなムードに包まれた空間です。
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六次産業化という新しい展開について伺うと、
「生産して出荷して、流通させる、販売するに留まらない新たな展開が必要だと思ったんだよ」とお兄さん。

生産も大事。でも生産だけに留まらず地域貢献、農業普及という高い視座を持つ陳さんご一家なのでした!

◆ラン生産の陳さんの格言◆

・地の利を生かして品目をチョイス!気候の適性を見極め、歩留まりの良い品目を生産拡大せよ!

・めちゃくちゃよくできたランの品質を保つべく集出荷所の温度・湿度管理を徹底。コールドチェーンで日本のみなさまへ屏東の品質をお届けすべし!

・台湾でも生産者の平均年齢は高齢化。体に負担のない仕組み作りを実現せよ!

・ラン生産を中核に置きつつ、地域貢献、台湾の高い農業技術の普及を実現せよ。


・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・


◆グラジオラス グラジオ一筋13年!政府の補助金目当てに始めたグラジオ生産に完全にハマッた真剣おじさん

【基本情報】
・生産者 陳特能さん
(以下、陳さん)
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・場所 : 嘉義縣六脚郷(かぎけん・ろっきゃくきょう)
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・面積 合計6ha
・生産品目:グラジオラス


陳さんはグラジオラス一筋13年の達人。生産するとともに、他の生産者さんへの生産出荷指導を行い、集出荷場でのマネジメントを行います。
それにしてもご覧ください、このキレイな生産圃場!朗らかな陳さんですが、その笑顔に隠された完璧なまでのお仕事のこだわりを感じます。
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ピシーーーーーーーッとした畝立てが丁寧でかなり緻密な印象です。雑草もまったくありません∑q|゚Д゚|pワオォ!!脱帽!!

圃場を拝見していますと・・・

ん?もみ殻?(・_・?)
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なぜか畦道だけにもみ殻がポツポツと落ちています。
これはなんですか?

「毒だよ」


ぎょえーーーッ!!∑(O_O;) ド、ドク?!?!((o(б_б;)o))ドクドクドキドキ

「なんていうとちょっと大げさなんだけど、鳥対策なんだ。
小鳥が来て花芽を食べてしまうんだよ。だからもみ殻を薬(小鳥忌避剤)に浸けて圃場の周りに撒いておく。すると小鳥が何羽か間違えてそのもみ殻を食べるとほかの小鳥が来なくなるんだよ」

つまりトラップですね。ハニトラならぬ、モミトラ


そんな陳さんは他の品目は一切作らず、グラジオ一筋13年。そのような生産者さんは台湾でも珍しいのですが、陳さんはグラジオラス生産の前は農業はやっていませんでした。
グラジオラス生産を始めたきかっけは?

「15年くらい前だったかな、農地を遊ばせずに有効活用すれば国が補助金を出しますよという計画があってね。土地を使っていない人から土地を借りてグラジオラスを作ろうと思ったんだ。単刀直入にいうと補助金目的だよ。だから地主さんに土地を借りて農業生産を始めたんだ。1反につき37万元(約150万円)もらえるっていう計画でね。
そんなに圃場内にびっしりと植えなくても、ぱらぱらっとグラジオラスを植えれば補助金をもらえるってことで生産を始めたんだよ」

う~ん、陳さん、なんだか邪(よこしま~) (^▽^;).アハハ!
いえいえ、さすが頭脳派の陳さんだけあります★★

「ところが、37万元/反のはずが途中で12万元/反になっちゃてね、それならちゃんとやろうかと本気で取り組むようになったんだよ」

それでこの圃場ができちゃうところが陳さんですね。
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収穫してきたグラジオラスは、集出荷所に持ち込み。陳さんはこの集出荷所の総監督でもあります。
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まずは冷蔵庫で水揚げをしながら2時間予冷。
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その後選別しながら、グラジオラス長さを揃えます。
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揃えるといっても、この時点では頭(花の先)を揃えておきます。足の長さはまちまち。
今度はそれを電動ノコギリで足元をカットして、すべてのグラジオラスを規格通りの長さに揃えていきます。
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商品の準備ができたらパッキング。
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この時点でグラジオラスの頭はこんな風にきれいにそろっています。
これこれ↓!あまりにもきれいにそろってスゴすぎ。
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「神は細部に宿る!」陳さんの完璧主義までのこだわりは、このような細部からも見て取ることができます。
もちろん、輸送中に商品が箱の中で動かないように足元を箱に括り付けています。
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そりゃあもう、拝見していてかなりスピーディで無駄がない印象ですが、一つ一つの工程は丁寧で緻密ですよ。こういうお仕事を拝見すると、品質に対する信頼が高まるというものです。

それをさらにバンドルにして・・・
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積み込みの準備です。
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それをこちらの40フィートのリーファーコンテナに積み込みます。
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このリーファーコンテナは2℃設定。温度設定が完了したらニコちゃんマークに変わるので、積載開始。
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温度設定完了!積載開始!
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こうして台湾のこだわりのグラジオラスが日本に向けて出発するわけですが、陳さんのグラジオラスは予冷庫を出てか2℃のリーファーコンテナに積み込まれるまでなんと1時間足らず
このようなしくみは翠光園芸さまと商栄実業さまがマニュアルを作成します。それを実践して、業務を効率化するのは陳さんの役目。
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↑左が商栄実業の上条社長。右が陳さん。

陳さん曰く
「生産も管理も選別も妥協しない。必ずサイズを分ける。悪いものは悪いと取り除く。これは私の絶対的な自信なんだ」
どのような花においても農業生産ですから、ある程度の生育のばらつきが出るものですが・・・

「オラのグラジオラスがどんだけ揃っていて、どんだけ美しいか見てみてくだされ。
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オラが出荷したグラジオラスで、日本で値段が出なければ(日本で思うように売れなければ)、オラが全部食べちゃう!」
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ウギョーーーーッ!!Σ(ОД○*)Σ(ОД○*)Σ(ОД○*)
冗談のようにおっしゃっていますが、陳さんのその言葉からはグラジオラス生産に対する意気込みと真剣さを感じます。


グラジオラスの語源は刀剣を意味するラテン語のGladius(=小さな刀)とされますが、まさに真そのものの陳さんは、台湾のグラディエーター(剣闘士)と言えるかもしれません。
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◆グラジオラス陳さんの格言◆

・農業生産を始めるきっかけは、たとえ邪な考えでも構わない!
 一度生産を始めたからには、妥協しない生産と選別で、グラジオドリームを実現せよ!

・陳さんの名言「オラが出荷したグラジオラスが、日本で値段が出なければ、オラが全部食べちゃう!」
 陳さんは毎日がグラジオラスとの真剣勝負。まさに陳さんは台湾のグラディエーターなのであった!


翠光園芸様の前編と後編を合わせ、5つの品目と産地をご紹介いたしました。翠光園芸様は今回の生産者様ばかりでなく、年間を通して台湾の何百もの生産者様とお取引をされ、日本のマーケットに台湾の素晴らしい花をご出荷くださっています。
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商習慣やライフスタイルの異なる台湾の方たちに日本のマーケットをご理解いただき、日本マーケットが求めるクオリティに適った商品を出荷し続けることは、そう容易なことではありません。翠光園芸様は商栄実業様と長い時間をかけて、台湾の生産者様と一緒ブランドを作り上げ、堅いパートナシップを構築してきました。だからこそ、今の日本の花きマーケットがあるといっても過言ではないでしょう。
台湾産花きを品目別に見ると、たとえばオンシジウム約95%、アンスリウム約75%、トルコギキョウ約11%、レナンセラ100%、グラジオラス約11%(2019年大田花き)など、日本の花きマーケットは台湾の花、また翠光園芸様に大いに頼っているのです。


この度台湾で花き生産の様子を垣間見たウン探は、台湾産の花きへのイメージががらりと変わりました。クオリティが高いばかりでなく、さらにはユーザー目線で細かい配慮のいき届いた一流の生産地と認識を新たにしたのでした。

最後までご覧いただきありがとうございました。これからも台湾の生産者様の魂が込められた素晴らしい花きをたくさんお楽しみいただけると幸いです。

翠光園芸様のホームページはこちら。

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写真・文責:ないとういくこ@大田花き花の生活研究所