社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2020年01月13日

CHROの必要性


 “人口減による需要不足”が本格化している。これと併せて産業構造、需要構造の変化を鑑み、大手企業は黒字の内にリストラを本格化させている。一方、生産から輸送、卸売市場、小売までの農業に携わる人たちは、生産・小売ともに戦中、戦後派がリタイアし、人手不足、縮小均衡となっている。これを誰もが実感出来る状況になってきたので、もう一度、人材について考えなければならなくなってきた。大手企業の場合には、違った角度からの人材発掘、人材育成となるが、生鮮食料品花き業界においては、人手不足からの人材活用、人材教育である。

 さて、物を運び届ける物流でAI・ロボットを活用したり、ビックデータの収集等で省力化を行っても、最終的には“人間”である。この点から、運営責任者の社長(CEO)とお金の責任者(CFO: Chief Financial Officer)の他に(デジタル化は当然のことなので、情報責任者(CIO: Chief Information Officer) は無論のこと)、人材活用の責任者(CHRO:Chief Human Resource Officer) が必要だと言われるようになってきている。これは、新しい考え方だ。進化、経済成長の延長線上にAIの発展と、AIのシンギュラリティの心配が挙げられるが、今は成長ではない方向で、すなわち、“人々の幸せ”という方向で、経済活動まで含め、価値観の転換を行おうとするステージとなってきているのだ。個々の人間力の開発やチーム力(力を合わせて一つの方向に向かおうとする思いやりや共感の力)、そして人事が、その組織にとって非常に重要なものとなる。皆様方の組織では、どのようにお考えだろうか。研修や適切な人事配置、優秀な人への年功序列ではない役割報酬が出来ているか、女性が差別されていないか等、チェックをする必要がある。もしCHROを会社に作らないのであれば、それは、社長が兼務していることになる。
 
 優秀な人に働いてもらわないと、その会社、業界の発展はある筈がない。「発展」とは、成長の場合もあれば、深堀の場合もある。新しいお客さんが増えることもあれば、使われる頻度がより高くなる場合もある。色々な「発展」の形があるのだ。それは誰がするのだろうか。“人”がするのだ。
 
 
 

 
投稿者 磯村信夫 16:14