社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2018年08月20日

8月18日に考える


 先週の18日(土)、家内と長男の誕生日パーティーを自宅マンションで開催した。長男も40を過ぎ、家内も私と同い年だから70前だ。おめでたいのかどうなのかは分らないが、とにかく、子供たちの家族と一緒に過ごし、「幸せとはこういうことである」と実感した。

 1943年の8月18日は、『兵隊さんに愛されたヒョウのハチ※』に登場するハチが、空襲の際に逃げ出して被害を出さないよう、上野動物園で猛獣の中の一匹として殺害された日である。猛獣とても生を全う出来なかった時代。子供たちや動物好きのみならず、全ての日本人に戦争の悲惨さを伝える話として語り継がれている。個人や家族と国家。これは、戦争において相容れないものがある。少なくも、個人や家族の主張を聴き、為政者は戦争をしてはならないことを誓うべきである。しかし、現実的にはこれを考えない国家もあるので、備えを怠ってはならない。

 一昨日の2018年8月18日(土)、インドネシアのジャカルタで「第18回アジア競技大会」開会式が開催された。人種や言語、文化、島々等の国土と、多様な価値観をまとめている国家がインドネシアだ。そのインドネシアにおいて、平和の象徴であるスポーツと文化の祭典が開催された。この8月の時期に戦争について、また幸せについて深く考える日本人の一人として、「アジアはここまで来たのか」と慶ばしく思った。しかし一方には、今後の発展の難しさを考えざるを得なかった。

 「個」や「家族」を大切にする個人主義は、同様にチームや自分の属する組織体、国家をも大切にする。人一人の価値と、その人を形作っている大もとの「家族」を大切にして、そこでの思想や暮らし向きからチームの幸せと経営を考え、国家を考え、世界を考える。この考え方が日本人にとっても大切なように思う。一個人の主張は自分の幸せ、家族の幸せ、組織の幸せを思っての発言なのだとすれば、民主主義の観点からは間違ってはいないのではないか。繰り返すが、一番大切なことは「個人」と「家族」であるはずだ。個人、家族、住んでいる家のたたずまい。洋服や車、化粧品、トイレタリー商品まで含め、その人や家族が身につけるものは、いずれもその人が幸せになっていこうとする手段としてのモノや状況だ。衣食住と文化、手短な自然。この生活環境、状況にこそ、個人も家族も健全な精神が宿る大もとがある。

 8月18日、上野動物園で亡くなったヒョウのハチの死。固有の文化と自然をもっと大切にしていこうとするアジア競技大会。そして、家内や長男の誕生日。これらと自分との関わりに、深い慈愛と幸せがあることを気づかせてくれた。

※『兵隊さんに愛されたヒョウのハチ』祓川 学著、2018年6月、ハート出版


投稿者 磯村信夫 16:00