社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2018年07月16日

7月盆 需要あり


 本日16日の「海の日」は、いつもの祝日の月曜日の市とは違う。いつもなら、セリ前の仲卸通りは、レストランやFlower Bizの会社関係の生けこみの人が少ないので、取引も不活発になりがちだ。しかし、本日は急な猛暑だというのに、それなりに賑わいがあった。7月盆で小売店はよく売れ、仲卸も仕入れた商品が土曜日までにすっからかん。本日は「送り火」だから、流石に盆用の花は売れないと分ってはいるものの、和洋全般の品揃えをしたのだろう。暑いけれども、需要量よりも供給が少ない。そういったコンセンサスが、本日の大田市場にはある。 更に、昨日は三連休で、夏の最後ともいえる結婚式需要のピークがあったので、それなりに花は動いた。

 7月盆はもう売れなくなったと、2015年からずっと思っていた。そう考えさせるのは、一輪菊が仏事の物日なのにも拘らず安値となるからだ。特に白菊が浮かばれない。この三年間で、様々な用途に使えるスプレー菊が、仏様の花においても中心の花となった。また、一輪菊のウェイトが低くなり、小菊のシェアが高まっている。

 しかし、本年は3月からの暑さで前進開花し、7月盆用の花が前に出てしまったこと。また、お盆が休日と重なり、忙しい共働き世帯でもお盆をする時間が出来たこと。そして、日本で多発する災害等によって、生きていることに感謝し、ご先祖様を振り返る気持ちが起こったこと。とりわけ、人口動態のボリュームゾーンである40歳代の人達を中心に芽生えたこと。これらから、7月盆の需要が大きかったのではないだろうか。同様のことを、仲卸さんたちも異口同音に言っている。もう無くなったと思っていた「盆」という文化が、それなりにあると感じた。

 「文化」は、行動を起こさせる力がある。そして、花はその「文化」として使われることが多い。お盆の仏花やオリンピックのビクトリーブーケもそうだ。心を形にしたものである「文化」を、大切にすること。このことが、花き業界にとっても重要である。


投稿者 磯村信夫 15:32