社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2019年01月07日

2019年、毎日の業務以外にやるべきこと


 新年、太平洋側は天候に恵まれたが、日本海側の各都市は大雪となったところも多い。クリスマス過ぎから本格的な寒さになったので、日本海側や北海道の小売の皆様方は苦労なさったのではないか。それぞれの地方都市の花の販売が、どうすれば上手くいき、需要が喚起出来るだろうか。(一社)JFTD他、花の小売団体だけでなく、卸売市場も一緒になって考え、協力し合わなければならないと年始に改めて思った。

 年末、日本を含む11ヶ国が参加する環太平洋パートナーシップ協定(TPP)が発効された。さらに、2月からはEUとの経済連携協定(EPA)も発効される。花は関税がゼロなので関係ないように思われるが、決してそうではない。輸入品の流入が多くなる結果、消費者は、輸入の農産品でもあまり抵抗が無くなっていくことが予想される。

 日本の農家1軒当たりの耕作面積は、戦後の農地改革によって2、7ヘクタールに減少した。また、長男が財産・土地等を受け継ぐ長子単独相続制であったが、農業用は別にして、長男以外の子供たちにも均等に土地や財産が分配される諸子均分相続制になった。その結果、農地が1、2ヘクタールから1、3ヘクタールしかなくなってしまったところもある。更に、日本の農地は飛び地も多かったから、小さな所有地がバラバラに点在することになったところも多い。
 
 現在、苦労して農地をまとめていこうとしているが、日本は共選共販の方向性と、大規模農業の法人化の方向性で発展させていこうとしている。この発展を早く進めたい。何故なら、社会が輸入品と国産品との区別をあまり意識しなくなっていること、また、加工品が多くなっているので、国内産と輸入品の区分が分かりにくくなっているということ、更に日本人の60歳代は国産にこだわるが、特に30歳代未満は、産地よりもメーカーブランドにこだわるからである。そういえば、衣料品は中国のものが圧倒的に多い。しかも品質の良いものが多い。こういった現況があり、世界との競争が激しくなると予想されるからだ。
 
 東京2020オリンピック・パラリンピック後の時代をどのように創っていけるだろう か。必要なことは、少子高齢化の中でも、思わず買いたくなる量販店花売り場の創出をする。専門店において、特に鉢物類を奮起して販売していく。そして、地域文化を継承するために、文化の花を集分荷する卸売市場の機能が維持できるだけの規模を確保する。これらを行っていくための設備投資を行う。こういったことが必要である。人口減少の中で、規模を維持するためにも合併し、機能を高めなければならないのだ。また、花も青果物と同様、「球根はどこ産で、どこで仕立てられて生産・出荷されているか」等の情報を、きちんと開示できるようにしておく必要がある。たとえば、それらをQRコード等を利用し、ネット上で購入者にお伝え出来るような仕組み作りを急がなければならない 。
 
 今のままでは、経費倒れになり役割が果たせない。社員が集まらない。そして、的確な投資が出来ないことが見えている。やるべきことは決まっているので、明日を創るために倹約し、メリハリ投資をしながら、今年1年やっていこうではないか。
 
投稿者 磯村信夫 16:10