社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2018年04月09日

透明感を強める


 本年の全国人民代表大会(全人代)が始まる前、中国の地方都市が集計したGDP値に大幅な虚偽があるとのニュースが出回った。中国の経済実態が分からないのはもはや常識であるが、ようやく、少しずつ実像が現れつつあるということだろうか。

 我々の業界でも、事実を反映していない取扱高や仕切金額、営業収支等が、農水省だけでなく、マスメディアからも幾度か指摘されてきた。また、昨今、政府による書類改ざんや、事実隠蔽とも言われかねない、書類紛失の虚偽報告もあり、こういった事実に対する対応が問題となっている。集団依存主義、運命依存主義で、表面上は何事も無かったかのように水に流してしまっては、現実的には、これからの成長が無くなってしまう。しかし、過去の事実を捻じ曲げてまで、自分を正当化しようとする国や人もいる。

 一神教の公平の観点からすると、日本の卸売市場はフェアではないという。そして、私も実際のところそうなってしまっている部分があると実感している。取引所での価格形成を行うセリ取引はフェアだが、相対取引、予約相対等のセリ前取引においては「ホールセール」であり、力関係が入ったものである。しかし、「ホールセール」を卸売会社が行うので、日本は量販店も利用できる卸売市場システムになる。このシステムは、世界では日本と、他には唯一、オランダの花市場くらいのものだろう。

 生鮮食料品花きの、その時の“真実”の価格は、相対の場合、証券取引所で行われている言葉で言えば、「板寄せ方式」なのか、それとも、「ザラ場方式」で生み出されたものなのか。我々の業界は、あまりにも産地と買い手の力関係で、取引が処理されていないだろうか。卸売市場行政を司る農水省は、恣意的になりがちな卸売会社のセリ前取引等、市場外流通も含めてチェックする為、この4月から小売価格を定期的にチェックすることにした。不正に廉売されている場合には、公正取引委員会へ該当する小売店を訴えていくだろう。一方、需給バランスを崩しているのにも関わらず、一定価格以上で販売しなければならない卸売市場もある。その時にどう対応するかという問題も残されている。相対は特定価格になりがちだ。何も全て平等にせよと言っている訳では無い。価格まで含めて、透明感ある取引になっているかを出荷者、買い手ともにチェック出来るようにすることが、不公正になりがちなセリ前取引、契約取引をよりフェアなものにしていく欠かせない要件となる。グローバリゼーションの中で、少なくとも、透明な取引を目指すべきなのだ。

 透明性を確保する。嘘を言わない。パワハラを排除する。これが、あらゆる分野で世界に求められていることである。文書の改ざんも同様だ。商取引において、これらを行う必要がある。

 

投稿者 磯村信夫 17:13