社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2017年08月07日

迷いがふっきれ、がっちりと取組みだした生産と卸売市場


 大田市場事務棟には、経済連や全農県本部の消費地マーケット事務所が多数入っている。農業競争力強化支援法が8月1日から施行されたことで、大田花きでは主要産地の経済連、全農県本部の方々やJAの方々とのコミュニケーションの頻度が増え、その結びつきが大変強くなっている。

 このコラムでもご紹介した通り、出荷者は大田花きの付与したIDがあれば、大田花きホームページ「OLIVE+」の「仕切情報」から、自分の出荷物が今、いくらで、誰に販売されているか閲覧することが出来る。「悩み」の時には、セリ前取引で同じ階級商品の価格が何層にもなっていることが分かる。反対に、「もがき」の時は、時間とともに相対価格やセリ価格がハネていることを、リアルタイムで見ることが可能だ。このように、出荷者は絶えず自分の出荷物の相場をチェック出来、誰がいくらで買ったか分かるので、我々卸売市場と同様、次の作付に繋がるマーケティングが出来るだろう。各県の経済連、全農県本部の職員の方々や、個人産地の方で、まだ弊社の24時間リアルタイムの取引情報を見る権利を得ていない人は、早速、弊社営業本部か情報システム本部へ申請をお願いしたい。これは勿論無料サービスだ。有料サービスとして、在宅ゼリの画面を出荷者・そして買参人は閲覧出来るものがあるので、こちらもオススメしたい。このようにオープンな開示をしているので、日本農業新聞の市況欄には、大田花きの各品目の高値・中値が掲載されているが、これらが実態に即しているものだと分かって頂けると思う。

 価格に敏感な消費者ではあるが、過去3年間、生鮮食料品は健康管理上、倹約の対象になっていなかった。しかし、本年に入ってからは、生鮮食料品すら倹約の対象となった。主要の野菜の低調相場はしばらく無かったことだ。花きは、8月の盆需要期でも、花の売上シェアが5割にならんとするところまで来ているスーパーマーケットの販売価格に配慮したかのような価格となっている。

 日本はエマニュエル・トッド氏のいう「長子直系家族制度」であり、8月盆と年末年始の正月が家の伝統に沿って行われる。従って、7月盆の滅茶苦茶な相場からすると、8月盆は実家に集い、花の伝統的な消費が続く。その7月から8月への転換期に、消費者の懐を意識して花を提供していくことは花き業界の役割だ。そして、その相場を作るのが、弊社大田花きの役割であると自惚れている。また、卸売市場は、多種多様な荷が集まり、多種多様な需要を持った買参人が取引に臨む。今夏の、平年より1~2度高い海水温の影響で迷走台風となった台風5号が、日本列島を縦断しようとしている。こういう時に、あらためて全農県本部と卸売市場の価値が再認識される。

 消費の二極化で、専門店は、良い花をお値打ち品としてお客様に提案してもらいたい。量販店は、買い物のついでに買いたいというお客様に花を提供してもらいたい。そして、産地(生産者、JA、全農県本部)は、やや遅れた荷物と、大雨や台風被害に遭った花の売り先を、また、8月盆後の鉢花の売り先を、生産調整を含む販売対策として、卸売会社と共に計画してもらいたい。

   

投稿者 磯村信夫 : 16:20