社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2018年01月15日

花ってどうしたら買ってもらえるの


 1月21日は松田聖子さんの赤いスイトピーがリリースされた日である。全国のスイトピーの産地が集まって、この日をスイトピーの日とした。 今朝も、宮崎県 東京事務所の流通物産担当課長さんにせり前にご挨拶頂いた。 スイトピーは輸出作物として、現在第一位の稼ぎ頭である。箱にはいっぱい入るし、しかも軽い。アメリカ人は大好きだし、STSを使えば暑いアジアでも花保ちが良い。日本で品種改良されたので、価格競争ではないところで勝負ができるのである。海外の花好きには持ってこいだ。

 さて、肝心の国内消費だが、業界人や花好きにとってスイトピーはよく知られている。カーネーションや金魚草と同じ栄養剤をつけてあげれば、買ってから10日以上保つことが期待できるのだから、フェアをすれば絶対に買ってもらえるはずだ。 問題は、無消費あるいは花のない生活をしている人達にどう買ってもらうかだ。 人は、モノとコトに対してお金を支払う。その目的は、自分がかかえる課題の解決や自分の成長あるいは幸せのためにだ。同じ園芸産品でも、食べるものとは違い花はこのプロモーションの仕方、売り出し方が今までへたくそだった。

 団塊の世代と団塊ジュニアが、年代的に健康に気づかうようになった。野菜は初めに食べ、糖質ダイエットとして最後にご飯を食べるようになった。 では、花はどうだろう。そこにあるだけで自立神経が整う。コルチゾールが適正に出て交感神経と副交感神経のバランスが整う。心という面からお話すると平常心となる。もちろん色や香りによっても異なるが、少なくとも、広い意味での幸せを感ずることができる。

 スイトピーの場合は、「ひと足早い春をお部屋に」だとか、「春の香りとともに生活してみませんか」だとか、人々の購入のきっかけはそこにある。そのキャッチコピーの後にスイトピーと謳う。そして、実利のために、花保ちが7日間以上すると保証も謳う。保証しない場合でも花保ちが7日間以上である事実を書く。そして、最後に金額だ。 スイトピーということよりも何より、その人が幸せになりたい、もうすぐ春を感じたいということが大切で、それによって縮こまっていた体や心がのびのびしていく姿をイメージすることができ、健康になっていく。たぶん、それがその人が健やかに過ごすための問題解決になるのではないか。これさえできれば、無消費の人に習慣的に消費をしてもらうことが出来るだろう。

 モノやサービスをどんなことをしたいから買ったのか、ここを的確にとらえない限り、成功はしない。我々の仕事はここにある。 消費地にある最前線の小売店、ネット販売、卸売市場も今、全力を注がなければならないのはここだ。花は人を幸せにできる。医学的なエビデンスもいっぱいある。そして、それを生産地にも伝え、さらに消費が開拓できる花や緑やサービスを作り上げていく。 これをやるのが我々の仕事だと思う。


投稿者 磯村信夫 : 15:47