社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2019年06月17日

花き業界も、プラスチック関連資材の使用を減らそう


 16日、軽井沢でG20のエネルギー・環境相会合が開催され、初めて、海洋プラスチックごみ対策の国際合意が検討された。

 リオオリンピックの時、TVに映る海岸に打ち寄せられるプラスチックごみの多さに唖然とした人も多いだろう。食物連鎖によって、我々もそのプラスチックの破片を食べてしまうことに対する恐れもある。海洋資源を大切にする日本でも、積極的な取組みが検討されている。例えば、ストローを紙素材に替える。あるいは、スーパーマーケット等で配られるプラスチック製のレジ袋の有料義務化が、2020年にも実施されようとしている。少し風の強い日に外を歩くと、プラスチックゴミが舞っているのを目にするが、それを見る日も少なくなるかもしれない。
 
 大田市場協会では、ゴミ会計を水産・青果・花きの三つに分けている。青果では木製パレットの廃棄が増えてきており、これをリサイクル式の共通11型パレットを使用する動きが近年出てきた。しかし、一方の花き部では、運賃軽減からか、あるいは、持ちやすくするためか、PPバンドを使用して荷物をまとめることが一般的だ。直送産地も昔のように三箇所留めを行っており、卸売市場では当然、一箱ずつにバラさなければならない。従って、このPPバンドのごみが半端ではない。また、日本では、切花収穫後から1,000温度時間位で卸売市場から小売店に届けられれば、消費者の家庭で一週間花をもたせることが出来る。必ずしも湿式輸送でなくても花もちは問題ないことが証明されているのに、未だに湿式・立箱方式を採用している産地が多くある。その結果、仲卸が地方の小売店へ航空輸送する時、中の水とプラスチック製バケツを出して輸送することとなる。また、セリ買いの買参人や、大田市場で支店ごとに品揃え分荷している買参人も、横箱形式にして、中の水やバケツをゴミ集積場に置いていく。バケツ輸送はすぐ販売出来て良いのだが、既に販売用の器がある小売店にとって、バケツは産業廃棄物になってしまうのだ。更に、痛まないように、また、セリで見えるようにスリーブを使って荷造りされているが、これらもゴミとなってしまう。オランダではこのスリーブも使わない方向へ向けて努力している。文化や自然を売り物にしている花き業界は、もっと自然環境に敏感にならなければならない筈だ。花き業界も、プラスチックごみを無くす努力をすべきなのだ。

 東京 オリンピック・パラリンピックが来年に迫っている。国際基準のHACCPやグローバルGAP、MPS等が必要である。花き業界でも、フードロス問題の延長戦で、今年の母の日でカーネーションの鉢物ロスの問題があったが、あらゆる業界を巻き込んで、あるいは、世界の一つのムーブメントとして環境問題を捉えられてきているのだろう。日本は環境問題について、ヨーロッパと同レベルで配慮しながら、社会生活を営んでいるとは言えない。サッカーの試合が終わって、自分で出したゴミを、他の人の分まで持ち帰り、分別処理しようとする。こういう素晴らしさが日本人にはある。しかしその一方で、「なんでも水に流して仕舞えば自分のところは綺麗になる」というような、豊かな森と海、そして世界レベルで言えば急流である日本の川への甘えも、我々日本人の中にある。もう一度、サスティナブルな地球の営みを考えることが必要だ。各人の仕事もそれぞれサスティナブルな価値に合わせてやっていくことが重要だ。



投稿者 磯村信夫 14:13