社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2019年11月25日

自分の役割を専門家の領域に


 すっかりボーナスシーズンだが、皆様方の会社の今年の業績はいかがだっただろうか。いつの時代も景気の良い業界と悪い業界を峻別する。かつて上場会社は総じて売上規模、所得も高く、ボーナスも一定金額出ていた。そして、それらの下請けは中小が多いが、事業規模も小さく、所得も安かった。その構造は、日本ではまだあまり変わらないが、世界ではすっかり様変わりしている。「同一労働同一賃金」で分かる通り、業種によって差が出ることはあっても、会社の規模で差が出るとは限らない。ただし、個人による格差は大きい。アメリカなどは人種別、性別、年齢別に差があることを良しとしない実力主義である。例えるなら、ブロードウェイのオーディションのような人事政策(タレントマネジメント)、また、取引を行なっているのだ。個人の役割における能力で差が出る社会となっている。

 もう一つ、個人の役割における能力について、スポーツの面からお話ししたい。スポーツは強い者が勝つ。日本が強いのは、その中でも個人競技だ。ダブルスまでは世界ナンバーワンになることがある。そして団体競技でも、個人が一対一で戦いながら、あるいは、一人ずつ演技して、その総合得点で競い合う種目も強い。しかし、団体で一緒になって競う種目はそうはいかない。野球はポジション、攻守とも役割が明確になっているのでまだ強いが、ラグビーやサッカーは、役割は明確だが、変化とともにその役割に応じたふるまいの難易度が高いスポーツなので、なかなか世界では勝てない。団体種目は、攻守ともの役割に応じた選手の働き、そして、プロとしての監督の役割が相まって世界一になるのではないだろうか。例えばミッドフィルダーの役割で活躍する選手は、別のチームに移動してもミッドフィルダーだろう。きっとミッドフィルダーとしてヘッドハンティングされたに違いないからだ。
 
 個人の役割における能力を発揮することは、会社にも言える。ここの役割の人がいないから雇う。あるいは、この役割が他社と比べて弱いから、増強するために優秀な人を雇う。場合によっては、今までその役割にいた人が適任でなければ、別の役割に異動させる。このような人事をもっと積極的に行う必要があるのではないか。良い点もあった日本の慣行だが、誰をもゼネラリストにしようとし、異動させる。このような人事制度は役割を意識させないために、上手くいかないところも多かった。社会がより高度化し、得点のゴールの幅が狭くなってきている現在を考慮すると、やる気が一番だが、二番目に専門知識をもった、そして、高次元のその分野のパフォーマンスが出来る人間が必要だ。その人の身に着けているスキルによって、その人の成果が出しやすいような職種を見つけ、その人の能力×マネジメントで、専門×専門の力を掛け合わせて最大のパフォーマンスを引き出す。このような時代に入ってきた。人事政策の改革を、日本の組織でも行う必要があると考える次第である。

 
 
 
投稿者 磯村信夫 16:34