社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2019年04月22日

用途別に花の規格や納期を合わせる


 昨日のニュースで、スリランカの教会でテロがあったと報道された。キリストの復活を祝う復活祭(イースター)に、大変悲しいことだ。

 今年は21日が復活祭(イースター)に当たる日だった。日曜日だったが欠かせない用事があった為、イースターの賑わい具合を見に都内を散策することが出来なかった。しかし、大田花きでは、年々白のテッポウユリ(マリア様の花)と、うさぎや卵、ひよこをイメージさせる色が売れてきている。ニューヨークのように今後の楽しいイベントになるかどうか、日本でも広がるかどうかは、今がちょうどタイミングのところである。毎年日にちが動くので、日本で宗教ではない行事として行われるとなると中々上手くいかないのではと心配しているが、まずは春を楽しむイベントとしてテイクオフさせたいところである。
 
  さて、花や苗物であれば素材流通、鉢物なら完成品流通をしているが、どのようなシーンで消費者に買ってもらうのか、使ってもらっているのかを明確にイメージしなければならない。2018年、花きの末端チャネル別(業態別)市場規模を見ると、おおよそこんな風になっている。花き小売店が50%、量販店が約10%、ホームセンターが約17%、貸し植木等のリース・レンタル業が5%弱、そして造園業が15%強、その他を入れて計100%、1兆円弱の市場規模だ。更に花き小売店の需要分野別市場規模を見てみると、業務用では、葬儀関係の仕事が業界全体の10%弱、ブライダルが5%弱。イベントの装花等で1%弱。コチョウラン等の法人需要で0.5%だ。家庭用では、ホームユースが業界全体の約20%、おけいこ花で約10%、パーソナルギフトで10%弱だ。これが小売店で販売されている花の需要形態だ。
 
 中間流通の卸・仲卸は、一人の消費者が用途別に小売店を使い分けることを認識すべきだ。そして地域の需要に合わせて、小売の業態も用途も多岐に渡る。従って、生産者と小売店の効率化の為にも「セグメンテーション・マーケティング」を行うことが欠かせない。自分の卸売市場を利用する小売店に合った品物を、出荷者と協働して流通させていくことが必要なのだ。花は冷凍も出来る食品と違い、常に生きている状態で取り扱っている。従って、工業化は難しくとも、小売りは十分活躍出来る業界だ。しかし、ここのところの異常気象で食品より出荷量が多かったり少なかったり、時期がズレたりしやすい。その分プロとして、想定の範囲内の変動に抑えていく施策をとっていく必要がある。昔のように「産地は良いものを出せば良い」というような、モノが不足していたり、モノそのものだけに価値がある時代は終わった。これだけ消費者の用途別使い分けが進むと、小売店にもそれぞれ得意な分野が出てくる。それに卸売市場も産地も合わせることが必要だ。実行しなければ、花き産業全体の売上は減る。実行していけば、花き市場のマーケットは必ず広がる。
 
投稿者 磯村信夫 18:41