社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2020年02月03日

産地との話題は「手間」のこと


 先月末から昨日の日曜日まで池袋のサンシャインシティで関東東海花の展覧会が開催された。小生が知る限り、国内で最高クラスの品質の切花と鉢物、苗ものが、農林水産大臣賞目指して競い合う、素晴らしいコンテストである。花市場の自分が言うのもなんだが、こんなすごいもの見たことないと思われる花で、会場が埋め尽くされている。今年は、昨年の台風15号19号、大雨で被害を受けた、千葉県が主催当番をする関東東海花の展覧会であったが、千葉県産はキンセンカまで出品され、復興の兆しを見せていた。

 関東東海花の展覧会に合わせて、各地の生産者は、展覧会を見に来るついでに市場に寄るのだが、話題になるのは人手のことである。花を作っていて、大変だというのは、鉢物類と温度が必要なバラ生産者に多い。他の品目を作っている生産者は、このまま花き生産をやっていけば食っていける。ただどうやって人手を確保していくかが問題だ。団塊世代の生産者が辞めていくので、もっと栽培面積を増やしてほしいと市場に言われても、手間をどうするか。またこちらから、「伸びている家庭需要狙いをお願いしたい。」「みんなの持っている花瓶は20センチぐらいのものが多いから、花丈は60センチもあればよいので、短いものを出してもらいたい。」「一本あたりの利益は少なくなるから、多く出してもらいたい。」こういう依頼をすると手間の問題になる。現時点では、作りを変えてもらったり、丈の伸びない品種で家庭用に今の品種を変えてもらったりしているが、手間の問題を解決できたわけではない。
 
 果物などの場合は、生産者が収穫して持って行けば、農協で選果、箱詰めまでするところが増えてきている。野菜も一部そうだ。花も、愛知みなみ農協の菊部会が利用しているマムポートのように、切花を持っていけば、そこで選別して荷造りして出荷してくれる。どうすれば機械化、また研修生を雇ったりして人手を確保できるか。そこに、国内花き生産の問題が出てきた。一部を除いて今作っている花で十分食っていけるが、天候のリスクもあるので、保冷庫まで含めた施設の設備投資が必要だ。それプラス、手間をどうするか。少なくとも機械化まで含めて手間を確保できた産地が、勝ち残れる状況になっている。
 

 
投稿者 磯村信夫 16:42