社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2019年02月18日

消費者のレベルの高さに感嘆す


 16日(土)、(一社)花の国日本協議会が推進する「フラワーバレンタイン」とコラボした、2月1日から公開中の映画『雪の華』を観賞した。10代・20代の人たち向けの映画だったので、若い人たちへ「フラワーバレンタイン」をPRするには良いと感じた。しかし、実際に映画を観に行っても、花の国日本協議会や「フラワーバレンタイン」との関わりが分かりづらい。バレンタインが過ぎた16日だったからかもしれないが少し残念だ。

 17日(日)には、東京ドームシティで開催された『世界らん展2019』、そして、上野の東京都美術館での『第93回国風盆栽展』を見に行った。2月上旬の『第68回関東東海花の展覧会』では、プロの花き生産者の素晴らしい花が勢ぞろいしていたが、こちらは営利栽培を乗り越えた趣味の人たちの出展が多かった。この世界らん展と国風盆栽展で展示されているらん鉢や盆栽には、共通項があるように思う。どちらも徹底的に作りこまれており、一定の空間の中で植物そのものの能力を引き出した芸術品だ。ピンと張り詰めた透明感の中で、存在感のある美しさがある。会場は人が多くザワザワしていたが、その雑念を取り払うだけの強く訴える「生き物としての美」があった。オーラではない。息をのむほどの美しさ、人々の目線だけでなく、魂をも吸い寄せるほどの美しさなのだ。今でも、一コマ一コマその作品を思い出すことが出来る。

 花の愛好家のレベルがここまで高い人たちが日本に一定数存在するということ、また、それを見に来る人たちがこんなにもたくさんいることは、日本の財産である。この高いレベルの人たちが、どのような生活をして花と関わっているのか調べてみたい気がした。花における初心者としての消費者、そして、学ばれて高い次元に位置する消費者、数の多い“中”の消費者。これらをそれぞれ知っておくことは、花で生計を立てている私たちにとって無駄ではないのではないかと感じた週末であった。
 
 
 
 
投稿者 磯村信夫 15:27