社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2017年09月25日

流通チャネルのこと


 生産から流通、そして消費者へとパスされてゆく生鮮食料品花き流通が、将来を見据えて再び集中化の方向に移ってきた。

 2010年以降、2011年3.11の混乱期を経て、2016年の上半期までは、大手に集中してきた。しかし、一部マスコミが取り上げたのは、きめの細かい流通をさせる為の新たな産直プラットフォームや、様々な生鮮eコマースだった。新たな動きとして、輸出まで含め、いかにも水路は縦横無尽に、沢山の流通経路があるかのような取り上げ方だった。実態は、大きな川の流れと、的を絞ったきめ細やかな流れがあり、新たな流れが出来たとしても、天候不順等で急に品物が納品出来なくなったりすると、大きな川の流れに入り込むという具合であった。まさに、集中化、大手へと、生産も、卸売市場を中心とした流通も、小売りにおいても、インターネットでこれだけ情報のやりとりがあっても、集中化していたのだ。

 それが、2016年の下半期から、分散出荷、多岐にわたる仕入れ先への動きが、誰の目にも明らかになってきた。消費者の節約志向から、値を上げたら消費者に買って貰えなくなるかもしれない。結局、自分だけの工夫では追いつかないと、もっと良い所はないかと、出荷物を分散させ、仕入れ先も販売先も分散させる。暦年では、2017年1月から、この分散化の動きが一般的とも言える程、多数の流通チャネルが出来てきた。

 今の時代、変化が早い。嘗て三年で変化していたものが、今では一年で変わってゆく。今年の4月から、人手不足とeコマースの増大から運賃の値上げが行われるようになった。もう物流費は安くならないと皆が理解した。その結果、eコマースがこれだけ発達しても、B to B(事業者間取引)は物流の制約から、地産地消型と、定期的に生産地から消費地に便が出せて、しかも帰り荷が確保できる大消費地型へ。この二つの型となってきた。結局、分散化は手間暇かかり、消費者に渡るまでに高くなって、出荷者は手取りが少ない。これが分かって、切り替わってきた訳だ。新たな集中は、地産地消と、全国レベルでは大手への集中、すなわち、人口の多い都市圏の集中、この二つの流れである。農業競争力強化支援法といい、どうなるかわからない卸売市場法という問題はあるが、この二つの集中への流れは今後とも変わらないだろう。

 では、これに漏れた所はどうすれば良いか。それは、合併してより大きくなり、一つの取引辺りの利益が少なくなってもペイ出来るようにしていくか、或いは、廃業していくかではないだろうか。生鮮食料品花き流通業者を取り巻く環境はすっかり変わってしまった。10月からの下半期、この二つの流れに沿って仕事を続けていき、生き残りを図りたい。

 


投稿者 磯村信夫 : 16:12