社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2022年01月10日

日本花き卸売市場協会が定めた箱を使い合理化する


 先週の6日の雪は、交通麻痺を起こした。翌日の金曜日は7時開市であったが、首都高速や湾岸線が閉鎖で、大田市場の周りが大渋滞のため、開市時間を遅らせて7時半からとした。また、交通情報を聞き、今日は在宅せりにしようと思った人も多く、100人以上が在宅せりでセリに臨んだ。三連休を控えた金曜日、大雪にもかかわらず相場は堅調。問題は、買った荷物を自分のお店まで運ぶ人と在宅せりで荷を取りに来た人が大渋滞に巻き込まれ、店についたときにはヘトヘトで、その日じゅうには、売れなかったことであった。

 横浜から千葉の幕張まで、特に川崎扇島から舞浜ぐらいまでの間は、物流の大動脈である。どこに行くにも高速道路でスッといける。このエリアは、トラック・飛行機(羽田と成田)・船、生鮮品は横浜の大黒ふ頭と大井埠頭。大田市場から歩いて5分のところにJR貨物の大ターミナル、大田市場の下は線路が通っていて品川方面から川崎に抜ける貨物線が走っている。いざとなったときに、それぞれの交通手段を使って、物流をしていこうとしているのだ。しかし、鉄道を除いて雪には参った。万が一に備え、今後の対策をしていくべきだろう。また、道路には、大型車や物流拠点だからトレーラーが多い。トレーラーに合わせた道路の線引きや雪対策などもしておく必要がある。

 さて、これが6日の雪の結果だが、今日10日も絶対量が少ないので、市況は高値基調が続いている。そこで、花き業界に提案がある。青果も含め鮮度保持物流、サプライチェーンがもっとも大切だが、コロナ禍で支障をきたしている。特に、供給すなわち生産サイドに問題がある。今年の世界経済で、最大のリスクとして、中国のゼロコロナ政策があげられている。中国でコロナが蔓延したとき、サプライチェーンがさらに寸断され、それがもとで、製品化できなかったり、あるいは、インフレが進行しぎて消費を冷やしたりしてくる可能性がある。そこまでいかないまでも、花き業界は、国産が少なければ輸入品にと、種苗や切花で輸入が潤沢にはいってくることで構築されていたが、これがすでに危うい。そうなると、国産を増やしていかなくてはならない。

 市場流通をみると21世紀になってから特に2010年以降、単価を保つために小ロットになってきた。これをもう一度、1980年代の大箱ロットに直していき、1鉢あるいは1本あたりの輸送コストを下げたり、段ボールコストを下げたり、箱やトレーの中に入れる品揃えの手間を省いたり、あるいは、生産出荷の合理化に繋げたりすることによって、手取りに直接影響する資材や運賃コストの吸収を生産者は図るべきだ。中核市場は、卸と仲卸がともに卸売市場を形成しているはずだから、大箱からの小分けは仲卸がする。地方卸売市場は、せり前にしてもせり取引にしても、箱から出して、買い手が欲しいロットで小分けして販売すれば良い。このようにしていかない限り、少なくとも国内生産量は増えない。青果も含め、パレットは11型パレット(1100mm×1100mmサイズパレット)で、そして日本花き卸売市場協会が定めた箱の規格(※1)で出荷する。11型パレットであれば台車輸送しているところもフォークリフトで台車に乗せられる。

 今は、低温輸送が当たり前になっており、大田花きに荷物を搬入する花の運送会社の90%以上が、もう鮮度保持対策の定温輸送トラックだ。そうなると、リサイクルが100%近く行われている段ボールで、しかも積載効率良く、市場協会規格の箱を使い、11型パレットで運ぶ、あるいは台車輸送で運ぶ。こう物流改革をして、まず生産者の手取りを増やすことが必要だ。そして、少子高齢化で人が少なくなることを前提に、小売店までの物流で省力化できるよう早急に行う。需要があるのに供給が上手くいかず、小売店、生活者は大迷惑だ。もう待ったなしの段階である。

 去年の暮は、小売店にそれなりに値上げしてもらって、業界全体の売上げは良かった。しかし、コスト高をただ短に消費者に転嫁しただけではいけない。新しい物流、荷姿で、それぞれがサプライチェーンのコストを下げていく、少なくとも上げない努力が必要だ。

※1:参照⇒(一社)日本花き卸売市場協会ホームページより



投稿者 磯村信夫 11:52