社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2017年06月12日

日本花き卸売市場協会 総会の中で


 6月7日(水)、(一社)日本花き卸売市場協会の「第58回定時総会」が開催された。その際、会長としてご挨拶を申し上げた。日本花き卸売市場協会の平成28年(1月~12月)取扱数量・金額については、前年よりマイナス5%未満だった。大きく減少した訳ではないが、年度の下半期、量販店での花売り場での品揃えが、9~11月の悪天候、不作の影響を受け大幅に変わった。すなわち、仏花中心から季節の花やインテリアを意識した花に変わったこと。また、12月を境に、後継者のいない専門店が廃業することが多かったこと。その専門店の減少で、地方市場は品揃えのために大手市場から荷を引くコストが高くなったり、荷揃えが難しくなった分、セリそのものが成り立たなくなっている所も出てきていること。このような業界の動きについて言及した。

 切花の相場は、菊類が相場の指標となる。これは、仏花や葬祭の時に多く使われるからで、白菊やSP菊が減少すれば、代替品のストックやスナップに飛び火して、全体の相場が高くなる。しかし、9月~11月の影響で、菊の需要自体が減少しているのに、相変わらず相場の組み立てを菊中心にしているから、全ての花の値段が下がっていく。白菊が安い、ストックが安い、スナップが安い。こうなっていく。鉢物においても、胡蝶蘭や、12月ならシクラメン等、メインのものが相場を形成する一つの指標になる。従って、それらが安くなると全体が安くなる。

 生産が減少するより先に、花店が少なくなっているので、元気な花店は数少ないから、色々な業者がその花店に売り込みに来る。従って、荷が足りないということもない。ましてや、農業競争力強化支援法が成立し、生産者は直接実需者に売ることが良いとされる。花束加工業者や小売店、仲卸に直接売っていく。すなわち、「卸売市場流通」という言葉はあるが、「市場外流通」という言葉は無くなるのだ。ますます競争は激しくなる。日本花き卸売市場協会には、現在119社の会員がいるが、全ての会社が、今後も花き卸売市場流通を通してお役立ちしていくことは、もう出来ない。従って、社会のインフラとして存続するために、統合を行って欲しい。

 5月12日の法案成立によって、今度は卸売市場の改革が本格化する。国の見方は、卸売市場の経由率が下がっているのは、卸売市場だけに法律の規制があり、自由に出来ず、コストがかかって不便なことが多い為だ。規制緩和が成されれば、本当に卸売市場のシステムが優れていれば、経由率は上がる筈だ。あるいは、法によって保護するのは如何なものか。このような考え方を基に、卸売市場の改革を行おうとしている。ある意味で納得できる。

 公的とは何か。卸売市場の社会インフラとしての役割は何か。かなり厳しくなった現況にある生鮮食料品花き卸売市場業界において、青果と花きの卸売会社は、今後、競争状態が一段と厳しくなることを想定し、どのように生きていくかの検討段階に入っている。日本花き卸売市場協会の会長として、「文化圏を背景にした、地域に欠かせない花き卸売市場を、今後とも存続させて欲しい」と、ご挨拶の中で申し上げた。


投稿者 磯村信夫 : 16:36