社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2018年05月28日

日本の花はcool


 一定の年齢になったからだろうか、土日に予定が結構ある。先週の土曜日は、とある会社の株主総会で、その後、小学校のクラス会、更に、夜は台場の花火だった。本日28日が「花火の日」だが、お台場では二日早く開催された。そして、昨日は成城学園の同窓会だ。このように、何かとイベントが盛り沢山の週末だった。仕事以外でイベントや行事に時間を費やすことは、仕事上でも非常に役立つ。自分が提供しているサービスレベルや、世の中の動向がほんの一部だが分かり、我が花き業界や会社の手法が的確かどうかが見えてくる。

 日本企業も海外に進出することが多くなっているが、同時に、人手不足の日本には海外からも沢山の方が働きに来たり、家族を呼び寄せている。その中で、東京近郊にある外国人の多く通っている小学校で、アレンジメントを教える、いわゆる「花育」を行っている「ワンコインクラブ」という組織がある。日本の花文化に少しでも触れてもらおうと実施しているもので、意義のある活動だと思う。また、先日の同窓会で葛西地域に住んでいる人の話を聞いたが、インドからの人たちが多いという。この地域は「ワンコインクラブ」での活動が出来ていないので、今後、広めていって頂きたいと思う次第である。

 昨日、同窓会から帰ってきた後は、NHK BS「cool japan」の、“花”をテーマにした特集を見た。日本にあるホテルは、メインロビーや玄関のところに、枝物を使ったすばらしい生け花があり、その前で写真を撮っている外国の方をよく見かける。昨日の同窓会の会場のホテルでもそうだった。お花見や、その他の花のイベント、大きな公園での植栽、生け花等々、花を売り物にした公園やイベントが、外国の方には本当に“cool”に映るらしい。世界には、オランダのキューケンホフ公園やイギリスのチェルシーフラワーショー等、大変有名な公園やイベントがある。一方、日本は年が変わってから、いち早く見頃を迎える河津桜から始まり、花を楽しむ観光スポットが沢山ある。紅葉も、嵐山の紅葉狩りだけではない。私は山登りをするが、9月の初旬といったら、もう標高の高いところは色づき始めていて、それを見にいくために体を鍛えているようなものだ。このように、日本の場合、ただ見るだけではなく、自然と一体化する。あるいは、精神性なものを、その花の中から捕らえようとする。

 桜の花見のような、桜の下でお酒を酌み交わし、知らない人もそれで仲良くなる文化。昨日のNHK BS「cool japan」では、こういった日本の文化が、沢山ある花のイベントの中で、最も「cool」だと言われていた。確かに、花は人を喜ばせるだけでなく、いつも人に働きかけ、人をその気にさせる。花と一体になる。コミュニケーションが取れる。「日本は花について特別だ」と、海外の人は見ているようである。

 いつも、ヨーロッパの花文化の例を出し過ぎていたが、このような日本の花文化を、更に家庭の中や、オフィスの中に入れることを、もう一度やっていきたい。番組の中でも、西洋人は「男性に花を贈る」というのが考えられないと言っていた。日本は「say it with flowers.」だ。男女は関係ない。定年を迎えたり、転勤する時にも花を贈るし、プロレスラーにも花を贈る。本来、日本が持っている花文化を絶やさず、さらに浸透させる努力をしたい。

投稿者 磯村信夫 17:50