社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2021年01月11日

国産化、地元消費をさらに盛り立てる


 祝日の今朝は、15日に向けて予約相対の榊の納品が行われていた。国産榊の生産は、八丈島の生産者・奥山さんのリーダーシップがあり、また、時代の要請もあって増えてきている。20世紀末頃は中国産の作り榊が圧倒的なシェアを占めていたが、現在は売上上位3分の1近くの生花店が、国産榊を選んで生活者に販売している。関東以北では「ヒサカキ」を榊として扱うことが多く、また、神社では「本榊」が多いが、考えてみれば、日本の神様に向けて飾るものだ。この両方とも国産が好ましいのは言うまでもない。榊が国産化の潮流になって喜ばしい限りだ。  

 では、正月飾りはどうだろう。上輪やウラジロ、松等は国産が殆どだが、正月飾りは中国産以外が多い。もちろん、外国産の正月飾りが悪い訳では無いが、やはりメイドインジャパンであって欲しいという気持ちがある。こう述べているのも、日本の伝統文化をしっかり伝えていかなければ、物日用の花きが値崩れを起こしてしまう可能性があり、その結果、生産者が再生産出来なくなってしまうし、伝統文化もますます廃れてしまうからだ。「昨年末で商いをやめます」という、ご年配の方が経営される生花店が弊社のお客様で7軒ほどあった。団塊世代が75歳を超える「2025年問題」は、生産地でも消費地でも、もう押し寄せてきている。バブル世代までは、日本のしきたりや文化がしっかり引き継がれているが、その次世代となると危ういものがある。次世代への文化普及継続活動を、今一度行わなければならないタイミングが今なのだ。しかし、コロナ禍でそれが今一つ出来ていない問題がある。コロナ禍でもやらなければならないから、電話やリモートで活動計画を立てていくということであろう。

 年末から現時点までで「仏花の売れ行きが悪い」と、買参人が異口同音に言う。冬は花持ちが良いため購入頻度が減ったのも一つの要因であろう。それと、物入りになったのか、好調だった若い人の切り花・園芸用の支出が大幅に抑えられてしまった。年配者も同様の動きだ。しかし、ステイホームであっても「エンジョイホームwithフラワーズ」だ。全世代に向けての花の営業活動は今後も欠かせない。また、現在は空前の園芸ブームが来ている。ステイホーム需要と園芸ブームで、ホームユースはさらなる伸びが期待出来る。輸入品の花きが入ってきづらい状況が続いている今は、また、岡山以西からの長距離出荷が難しい産地も多く、地元の直売所も客数が減っていることがあるので、各地域の流通業者は地元の花を中心に一生懸命販売する。この最大のチャンスである筈だ。これを今、我々が行っていかなければならないと強く感じている。

 
投稿者 磯村信夫 15:33