社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2017年11月06日

卸売市場の役割を果たす


 衆議院議員選挙も終わり、卸売市場の抜本的な改革を目指す国は、花き卸売会社の一つとして、ある時には(一社)日本花き卸売市場協会の代表として、私に発言の機会を与えてくださっている。先週の規制改革推進会議での意見交換が終わり、今度は「農林・食料戦略調査会、農林部会合同会議」でのヒアリング、そして、明日は「自民党卸売市場議員連盟勉強会」での発言の機会がある。それ以外にも、「市場流通ビジョンを考える会」として、藤島廣二先生と一緒に関係議員に陳情へ行ったり、農水省食料産業局の方にご意見を申し上げたりしている。もちろん、卸売市場のオピニオンリーダーである卸売市場政策研究所の細川允史先生とも、陳情へ行ったりしている。とにかく今動かないと、社会インフラとしての卸売市場の機能が弱体化し、役割を果たせないと考えているからだ。

 農業が地域の産業であること、卸売市場が地域文化による消費に呼応する社会インフラであること。これを念頭に、文化圏を共有する地域の卸売市場と、大消費地の卸売市場の二つに、建値相場と集荷・分配機能を担わせることが出来るようにする必要がある。少子高齢化をふまえ、日本全体で卸売市場数は10以下で足りるという有識者もいるが、まずは、県を跨いだ区域にしても、50くらいは必要であろう。近未来に向け、スムーズな卸売会社の合併が重要になってくる。

 現在の私の懸念は、大手卸売会社の問屋化だ。セリやセリ前取引を、自分の売上を作るための集荷・分配の機能としてしか見ていない。無くてもあっても買い集めて、自分の売上を伸ばす為に、無秩序に他の地域まで売りにいく。これでは、地元の食文化、花文化に根差した卸売市場はたまったものではない。その地域独特の仕方で消費される花や青果物を、天候を鑑み、地元の卸売市場が品物の相場を決定する。また、その強弱により、品物の集分荷の量が決まってくる。あるいは、その地域オリジナルの商品が流通する。卸売市場のそういった地域社会での公共性、公平な流通上の価値の創造という役割を無視し、普通のB to Bの差益商売である問屋と化した卸売会社は、社会的な責任を果たしていない自分勝手な卸売会社だと私はみなしている。

 この秋、農水省卸売市場室から、仕切改ざん等の不公正な取引を行ったと報じられた卸売会社があった。それは、市場法に違反していることはもちろんだが、自社の売上や利益しか考えない卸売会社への警告だ。生産者と消費者のため、準主役の小売店が繁盛する為の卸売市場流通でなければならない。卸売市場を構成する卸と仲卸は、力を併せて、社会に役立つ為、生鮮食料品流通を行っていかなければならないのだ。



投稿者 磯村信夫 : 17:48