社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2021年01月18日

会社のパーパスは何か。仕事のやり方を変える。


  先週の15日、大田花きの取締役会、そして、執行役も交えた経営会議を開催した。大田花きでは取締役が会社を経営・判断し、執行役が実際の業務の執行責任者となる。日本では、取締役と執行役の差が職位でしか表せていないことが多いが、大田花きの場合には明確な役割分担があり、15年以上も前からイギリスやアメリカと同じシステムを採用している。大田花きの取締役は、会社経営をリタイアした方から現役の方まで、いずれも名だたる方々だ。執行役の日常の仕事のやり方をすっかり見透かしてしまう。今回の会議で指摘されたことは、コロナ禍において誰の仕事にも当てはまることであったので、ここでお知らせしたい。それは、仕事のやり方を変える必要性についてだ。  

 たくさんの変化がウィズコロナで起こり、また、アフターコロナの見通しでも示されている。コロナ禍で良かったこと、また、SDGsを目標にしていく社会になって良かったことは、花き業界だけに絞ってみると、植物や花の素晴らしさが生活に欠かせないものとして認知されことだろう。しかし、それ以外のコロナ禍の変化の前では、我々は圧倒的に仕事の在り方や仕組みを変えていかなければならない。DX化ははもちろんだが、仕事をする上で、常に消費者起点から物事を捉える必要があるのだ。生産者、メーカー、中間流通業者、小売業者、物流上は、効率というような意味で意義があっても、それを乗り越えるような物流手段が出てきている。コミュニケーションのツールもそうだ。例えば、行き所の無くなった結婚式の花や、葬式の追悼の花、あるいは、ホテルのメインロビーにはまり役の花々などは、どうしたら良いのか。在宅勤務がこれからも恒常化する中で、納められなくなったオフィスの緑用の観葉植物はどうしたら良いのか。これらを家庭用にするにはどのような規格が良いのか等、生活する上で当たり前に入ってくる情報をも自分の仕事に関連付けて、どうすれば生活者が、そして、生産者が、今後ともサステイナブルに満足し、仕事や生活を続けてもらえるか。当社はこれらへの対応、施策が遅れていると、取締役より指摘をいただいた。

 難しく考えるのではなく、物事は単純で、「花や緑にお金を出してくれる生活者」のニーズや、「もっとこうあったら良いのに」というウォンツを見極めて、財やサービスを供給していくことだ。今までと違うのは、業界の枠が取っ払われて、力のある企業があらゆるものを手掛けていく時代だ。卸売市場法の改正で、卸も仲卸も、一定の条件を満たせば花き以外の青果や水産も扱えるようになった。その中で、大田花きは花や緑しか今のところ扱っていない。ただ、ここで混乱をしてはいけない。消費者目線で仕事のエネルギーの力点を変えて、自分が出来ることをやっていく。これこそ、生産者や輸入業者の方々が「やっていて良かった」と思ってもらえる仕事に結びつく。その結果、自分も食べていける。こうなるであろう。取締役会ではこの指摘をいただいた。

 
投稿者 磯村信夫 10:38