社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2019年07月01日

仕事上の裁量を出来るだけ多く与えよう


 もう、今年も六ヶ月が過ぎた。今年に入って、自宅マンションのごみ集積所に積みあがっているアマゾンや楽天の空箱が本当に増えている。昨年、アメリカに行ったとき、ウーバーを利用したが、日本ではオフィス街でのウーバーのデリバリーが活躍しているようだ。デジタル社会で本格的に新しい時代が始まっているのが実感出来る。

 ウーバーといえば、プラットフォームを作っているうちの一人が自死した。ストレスからだと言われている。最近、スタンフォード大学教授の出版物も、ハーバードビジネスレビューも手軽に読むことが出来るようになったが、スタンフォード大学のジェフリー・フェファーさん曰く、所得や性別に関係なく、仕事上強いストレスを受けて、精神的に立ち直れない人たちが、国を問わず多くいるとのことだ。各国、共通して言えることは、どういうことで仕事上、過重に思い、自分を追い詰めてしまうのかというと、①相対的な所得の低さ、②シフト勤務、③仕事上の裁量が狭いこと。である。
 
 今、政府は低所得に切り込んでいる。そして、シフト勤務もそうかもしれないが、働き方改革の中で見直され、更に広がるかもしれない。ただ、その時、所得を除いてシフト管理まで、自分の裁量の範囲を広げるということをしなければならないだろう。ウーバーの場合にはどうだったのだろうか。株式を公開したとき、期待値よりも株価は安かった。また、データドリブンで、しかもプラットフォームビジネスであるから、やらなければならないことが決まっただろう。しかし、社内での裁量はどうだったのだろうか。

 会社の仕事だから、結局、裁量が多くあるわけではない。それは社長も同様である。そのときにその裁量は、社会的な善を行おうとする意識と大きく関わってくるのであろう。まずは、話し合って、そして、決め事をしていく。これをやれ、ではなくて、あなたたちにどうやったらもっと上手くやれるか一緒に考えて欲しい、と。制約条件の中でも訓令に近いものを一緒に話し合って、決めるのが良いことではないだろうか。そうすることによって、本人が重圧と感じるストレスを少なくさせることが出来る。しかし、ストレスは人を成長させるために欠かせないものでもある。主体的に、どう働いてもらうか。良い会社は、社員一人ひとりを信頼し、大切にして社業を行っている。従って、その会社にいたこと自体に、その人のキャリアの箔がつく。大切なのは、主体性であろう。



投稿者 磯村信夫 16:33