社長コラム 大田花き代表取締役社長 磯村信夫のコラム

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2020年12月28日

今年は最後までチャレンジした年であった。不足は需要じゃない。もっとチャレンジだ


 本日未明、出社中の車の中のラジオニュースで、立憲民主党の羽田雄一郎先生が昨日無くなったと聞き、大変びっくりした。53歳の若さだった。羽田先生は、お父様の羽田孜さんの選挙地盤が長野県の花の大産地であり、またお父様と出身学校も同じだったことから、一時は夫婦でお付き合いしていたこともあった。羽田先生は旧民主党の時代に花き産業振興議員連盟会長に就任され、今度の東京オリンピック・パラリンピック競技大会でのおもてなしの花や、コロナ禍における花農家への支援でも大変ご尽力いただいていた。今後も、農水省が目標としている「2035年に花き産出額6,500億円」実現に向けて応援いただけるものと思っていた。誠に残念だ。心よりお悔やみ申し上げたい。  

 本年はコロナ禍で沢山のことがあった。「押しつぶされた年」であり、いやいや、それを跳ね返そうと「チャレンジした年」であった。花き消費のいくつかはコロナ禍で消えたが、生活空間での花と緑の芽がふいた。この、「自然を代表して園芸の花と緑を取り入れるパーソナル需要」を更に伸ばす、花き生産流通の改革チャレンジの年だった。新規に花を買ってくれた人は「花の初心者」だ。小売店やネットを通じてどう取り扱えば良いかどうか、また、品種名や生産者の苦労等も一緒に伝えていくことが必要だ。さらに、ポイントはその花が「珍しいか」、「割安感があるか」、この2つだ。これを業界全体で生活者にアピールしていかなければならなかった。このチャレンジが十分出来ただろうか。私自身は、気持ちの上ではやってきたつもりだが、移動が出来なかったり、一緒に密に行動出来なかったりして、具体的な手立てが今一つだった。しかし、やっていく方向性は明確だ。下半期には台風が無く温暖な気候の中で、野菜が安くなった。花は、それなりに売れている。園芸農業の中で花の消費量を上げること、もっと沢山生産してもらうこと、生産者にしっかり儲けてもらうこと。このために、飽きがこないもの、珍しいもの、値頃感のあるものを、生産から流通まで協力し合って商品として作り上げ、「倫理的消費(エシカル消費)」、あるいは、「生産・流通過程上のCO2削減」、「『心の健康に大変宜しい』等の医学的なエビデンス」、また、「香り」まで含め、様々な切り口で生活者にアピールし、今後も需要を拡大することが必要だ。

 業界のお客様は、お金を払ってくれる一般の生活者(これにはフラワーデザインの先生やいけばなの先生も含む)だ。生活者の価値観や社会の状況が刻一刻と変化していく中で、お客様を大切にして、需要を拡大するというチャレンジを忘れてしまってはいけない。前を向いて、業界全体でチャレンジしていきたい。

 
投稿者 磯村信夫 11:30